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2012年3月23日(金)

「世界を賭けた痴話げんかを見届けて」――TVアニメ『灼眼のシャナIII』アフレコ現場から声優陣&渡辺監督&高橋先生がコメント

文:電撃オンライン

 本日3月23日のTOKYO MXでの放送を皮切りに、各地で最終回が放送されるTVアニメ『灼眼のシャナIII Final』。最終回アフレコを終えた声優陣&制作陣のコメントをお届けする。

『灼眼のシャナIII Final』
▲最終回のアフレコに参加した声優陣。手に持っているのは、シャナの大好物であるメロンパン。

 本作は、アスキー・メディアワークスから刊行されている高橋弥七郎先生原作、いとうのいぢ先生イラストの小説をアニメ化したもの。平凡な高校生・坂井悠二が、紅蓮の髪と瞳を持つ少女・シャナと出会ったことで、異界から渡って来た化け物“紅世の徒(ぐぜのともがら)”との戦いに巻き込まれていくというストーリーだ。TVアニメ第3期となる『灼眼のシャナIII Final』では、物語の結末が描かれる。

 コメントをいただいた声優陣は、釘宮理恵さん(シャナ役)、日野聡さん(坂井悠二役)、江原正士さん(アラストール役)、川澄綾子さん(吉田一美役)、伊藤静さん(ヴィルヘルミナ・カルメル役)、生天目仁美さん(マージョリー・ドー役)の7名。渡部高志監督と原作および監修を手掛けた高橋弥七郎先生には、応援してくれたファンへのメッセージをいただいた。

――最終回の収録を終えた感想をお願いします。

釘宮さん:収録は無事に終わりましたが、『灼眼のシャナ』が終了したという実感はまだない状態です。最終回をTVで見た時に、あるいはイベントなどで見た時に終わったんだと感じるのではないかと思っています。最終回のアフレコの最後に、監督をはじめスタッフの皆さんがあいさつに立った時にはドッとくるものがありました。これから仕上がりへ向けて(スタッフに)エールを送りたい。そんな気持ちでいっぱいです。

日野さん:足掛け7年、思い返すと感慨深いものがあります。『灼眼のシャナIII Final』の収録している最中は、あまり作品を振り返って思い出に浸ることはなかったんですけれども、この最終回のアフレコがオールアップした瞬間、一気にいろいろな思い出が駆け巡ってきてジーンときました。終わってしまうのはさみしいですけど、素敵な作品に巡り合わせていただいたという気持ちでいっぱいです。

江原さん:お疲れさまでした。最終回の収録を終えてまずはホッとしました。学園モノで始まって、一時はシャナと悠二がどうなるのかと心配をしていたのですけれども、このようなエンディングを迎えられて、思わず感動! 本当にうれしかったです。同時に、7年間現場はとても頑張ったと感じています。当初、オープニングの映像を見て「このクオリティーでアニメを描くのは大変だろうな」と思っていましたが、それをここまで仕上げてくれたスタッフの皆さんに心から敬服いたします。

 アラストールはシャナの胸元にぶら下がっていただけですが、顕在化したかったという強い思いもありました(笑)。でも、そのぶん作品全体を客観視もできたと思います。世界に冠たるアニメ文化の中心にいるスタッフの皆さんの気概を強く感じることができ、かつ作品にかかわることができて感謝しています。またウーンと若い人と共演できたことで、元気とパワーをいただき充実したひと時を過ごすことができました。ありがとう!

伊藤さん:「7年かぁ」という思いもあり、「アっという間だったなぁ」という思いもあって心境は複雑なのですが、最後の最後に幸せなラストを迎えられたことは「シャナも悠二もよかったね」という気持ちにさせてくれました。7年間にわたって1つの作品を作ってきて、その作品をやり終えた充実感は、胸をいっぱいにさせてくれます。

生天目さん:7年かけて演じてきて、最後に登場できたことはとてもうれしいです。特に今日この場で取材を受けているキャストは全員第1期の時からずっと出演しているメンバーなので、こうしてみんなでこの場にいられることがとても幸せです。

川澄さん:第3期が始まった時に、長く演じてきた『灼眼のシャナ』もこれで終わりなんだという思いがあり、第1・2期までの思いも乗せて、24話演じてきました。でも、いざ最終回を迎えると、かえって実感がないですね。なんだかまだ続きそうな気がします。最終回は、シャナと悠二が繰り広げた世界に大迷惑な痴話げんかで、2人が初めて感情をぶつけ合いました。その荒々しさは見ていて万感の思いがこみ上げました。悲しい別れなどもありましたが、最後に2人の素敵な笑顔で終わりを迎えられたことはとてもよかったと思っています。

――今期のアフレコを振り返って、自分の演じたキャラクターの好きなところ、演じていて楽しかったところ、難しかったところなどがありましたら教えてください。

釘宮さん:最初のころからすると、心の中で考えごとをすることが増えたなと感じています。自分の中に葛藤やもどかしさといった感情を抱えたまま戦争の大過の中に飛び込んでいく。みんなをまとめなくてはならない立場になるので、心は乙女でも芯の強さは持っていなければならないところが、難しくもあり楽しくもあるところだったと感じています。個でありながらも全体を見なくてはならない、そんなところにシャナの成長が求められた部分があるのではないかと感じていました。この戦争に突き進むしかない状況の中で、悠二のことを好きという気持ちを持ち続けなくてはいけない。そんな思いで演じきりました。

日野さん:いろいろありましたけれども、悠二の思いがブレずにシャナ一筋だったことは、僕自身の中で悠二の好きなところですね。演じていて楽しかったと同時に難しかったところは、やっぱり“蛇悠二”ですね、そこでの速水さんとの切り替えの部分。普段の悠二の感情と蛇寄りの悠二の感情――この差を出しながら表現するところに尽きると思います。

江原さん:ご存じのようにずっとシャナにぶら下がっていただけで、どこにも飛んでいけない。手も足も出ない状態の中で、シャナと悠二の恋を優しく見守るお父さんのようでもあり、またクールな一面を見せることもあり、どちらが本当なのかなと悩むこともありました。そんな中で、最後の最後に2人のいちゃつく様子を見てフッと笑うところで「やっぱり2人を見守っていたんだ」とわかりました。いいお父さんというか、いいお兄ちゃんですね。2人の姿を見て幸せな気持ちになりましたし、終わりよければすべてよしです。

伊藤さん:第1期ではフレイムヘイズ然としていたヴィルヘルミナですが、第2期で悠二とシャナの関係に触れるにつれて少しだけ柔らかくなり、第3期になると、結構とウジウジするタイプなんだというところが伺い知れるようになりました。シャナと悠二が成長していく姿に触れ、彼女にも乗り越えなくてはならないものがある中でなお、ウジウジしているヴィルがちょっとカワイイと思いましたし、それを乗り越え一歩踏み出せたところはやはりよかったと感じています。

 難しい点を挙げるというよりは、彼女を自然に受け止められたことが自分の中では印象的で、これまでやってきたことの積み重ね、少しずつだけれども自分の中にヴィルの気持ちが根付いていた気がしています。最終的にティアマトーがあんなことになっていたのは、ビックリしました(笑)。たった1年の中でヴィルが今まで生きてきたことがひっくり返るくらいの出来事が起こったわけですが、本当に必要な出来事だったんだなと思います。

生天目さん:年数を重ねていくことでマルコとの関係もより昇華していったんじゃないかと実感しています。詩を詠っているところがあるのですが、その掛け合いも阿吽(あうん)の呼吸で進めることができ、第3期ではそれが当たり前のようになっていたのが自分の中でとても不思議でした。何より楽しいと感じたし、うれしかったです。難しかったのは、最後の最後でものすごく戦っていたところです(笑)。演じながら、かなわないまでもそれでも戦う彼女の強さを表現することに難しさを感じました。

川澄さん:今期では吉田自身が大きな変化を見せたと思います。シリーズが進むにつれ、ただの女子高生だった吉田が、自分にできること、やるべきことを自覚し、強い意志を持った少女に変わっていくあたりは、やはり難しかったところです。『灼眼のシャナ』は悠二とシャナの物語なのですが、その中での吉田一美の存在を考えさせられましたし、それでもなお清々しい魅力が出てきたところに、吉田一美の成長を感じることができました。最後まで演じきってとても好きなキャラになりました。私の中では愛すべき女の子になってくれたことが、うれしくて、楽しくて、今後、絶対に幸せになってほしいと感じさせてくれました。いい人生を送ってほしい気持ちでいっぱいです。

――第1期から第3期まで、全シリーズ通して演じ終えた役へのひと言をお願いします。

釘宮さん:「突き進んでよかったね」。シャナは突き進むしかしないけれども、そのぶん大変なことも多かったです。でも、それだけの熱意を持って周囲の人たちに接してきて、最後に幸せになれそうな感じになっているので、今の彼女にはそんな言葉をかけたい思いです。

日野さん:悠二の取った行動が最良であったかどうかはわかりませんが、結果的にその思いがシャナに届いて、2人一緒になれたことは喜ばしいです。本当におめでとうございます。苦難はあったけどよかったです。「これからはシャナをちゃんと幸せにするんだぞ!」と、親戚のおじさん目線でメッセージを贈りたいと思います。

江原さん:新しいフレイムヘイズを求めて、アラストール旅に出る。そして「今度こそ顕現してみせるぞ!」と、思いを込めてひと言言ってあげたいと思います。

伊藤さん:最後のほうのヴィルがユストゥスとして優しい顔をしているのが印象的でした。過去のしがらみや葛藤を乗り越えて幸せな気持ちでいるんだと思うと「よかったね!」と言いたいです。

生天目さん:これまでそばにいたのはマルコだけでしたが、第1期から第3期までを通して、自分のそばにもう1人、佐藤啓作がいるようになりました。「いい女になったね」と言いたいです。

川澄さん:悠二もそうなのですが、日常がある事件によって壊され、ただの女子高生としてはとても受け止めきれないような環境に置かれた吉田一美。その吉田が大人になった時にこの1年をどう振り返るだろう? と考えると心境は複雑です。この大きな事件もこれからの長い一生からすれば、ある夜の夢のように薄れていってしまうかもしれない。でも恋のこと世界のこと、一生をかけても得られないであろう濃い一年を送った彼女に「すごく大変だったけど、いい1年を過ごしたね」という言葉を贈りたいです。

――『灼眼のシャナIII Final』をご覧のファンの皆様へ、メッセージをお願いします。

釘宮さん:長い間応援していただき、ありがとうございました。第3期までついてきてくださった方は、まさにファンの中のファン! 作品を愛してやまない方たちだと思います。第1・2期とやってきて少し間も空きましたが、第3期で再びシャナに出会えたことをとてもうれしく思い、感謝しています。また、この作品は海外の方たちにも応援していただいているとお聞きして、作品を通して世界に何か届けることができたことは幸せでしたし、アニメとしても原作とともに最後まで走り抜けたことは、まれに見る幸せな作品ではないかと本当に感謝しています。

日野さん:足掛け7年という長い年月にわたってアニメを放映できたのは、ひとえに長い年月応援してくださったファンの方のおかげだと思っています。この『灼眼のシャナ』という作品を通して、悠二とともに成長させていただいたし、キャスト、スタッフの熱い思いもたくさん詰まっています。『灼眼のシャナ』は、皆さんのおかげで素敵なファイナルを迎えることができました。長い間、応援いただき本当にありがとうございました。

渡部監督:監督業の業(ごう)と言いましょうか、演者さん、原作者は思いのたけを作品にぶつけることができるのに対して、達観した立場で物ごとを見なければならず、ある意味皆さんの姿をうらやましく見ていました。本当は自分も中に入ってはじけてみたかったのですが、振り返るとグッと我慢し続けた7年間だった思います。最後の最後は、はっちゃけることができたのですが……(笑)。多くの才能が集まり積み重ねていった結果、ファイナルを迎えられたことをヒシヒシと実感していますし、我々作り手の熱い思いをぶつけることもできました。そんな『灼眼のシャナ』を長く慈しんでもらいたいと心から思います。

高橋先生:今年は2012年。小説の第1巻が出た2002年から、はや10年が経とうとしています。これは、当時小学生だった方が大学生、社会人になっているほどの年月です。これだけ長く書き続けてこられたこと、納得いく形でシリーズ完結まで書かせてもらえたこと、ともに稀有な事例であると思います。これらはすべて、作品を支えていただいた読者の皆様、挿絵のいとうのいぢさん、担当編集の三木一馬氏のお陰です。

 アニメも2005年から始まって、おおよそ7年。2つのテレビシリーズに劇場版、OVAシリーズなどの歩みを続け、ついに最終シリーズにして原作の完結までをアニメ化した『灼眼のシャナIII Final』の放送を迎えています。今期は特に、スタッフ諸氏のご厚意からいくらかアニメの作業にも加えていただき、また相応以上の成果を素晴らしい映像と熱演の形で受け取る幸運にも恵まれました。原作者としての喜び、これに勝るものはありません。すべての方々に感謝いたします。どうもありがとうございました。視聴者の皆様も、どうかこの『灼眼のシャナIII Final』――シャナと悠二の世界を賭けた痴話げんかの行く末を見届けていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

■TVアニメ『灼眼のシャナIII Final』
【放送情報】
 TOKYO MX……毎週金曜 25:30
 チバテレ……毎週土曜 25:00
 tvk……毎週土曜 25:30
 MBS……毎週土曜 25:58
 CBC……毎週水曜 26:30
 BS11……毎週金曜 24:30
 AT-X……毎週木曜 11:00
 ニコニコチャンネル……毎週木曜 24:30
 ショウタイム……毎週金曜 24:30

【スタッフ】(※敬称略)
 原作:高橋弥七郎(『灼眼のシャナ』アスキー・メディアワークス刊)
 イラスト:いとうのいぢ
 監督:渡部高志
 シリーズ構成:小林靖子
 シリーズ構成協力:高橋弥七郎
 キャラクターデザイン:大塚舞
 総作画監督:大塚舞、井本由紀
 徒デザイン:石垣純哉
 プロップデザイン:高瀬健一、亀谷響子
 色彩設計:伊藤由紀子
 美術監督:黒田友範
 撮影監督:中西智一
 編集:西山茂(REAL-T)
 音響監督:明田川仁
 音響制作:マジックカプセル
 音楽:大谷幸
 アニメーション制作:J.C.STAFF
 製作:『灼眼のシャナF』製作委員会

【キャラクター&キャスト】(※敬称略)
 シャナ:釘宮理恵
 坂井悠二:日野聡
 アラストール:江原正士
 吉田一美:川澄綾子
 マージョリー・ドー:生天目仁美
 マルコシアス:岩田光央
 ヴィルヘルミナ・カルメル:伊藤静
 ティアマトー:渡辺明乃
 佐藤啓作:野島健児
 田中栄太:近藤孝行
 緒方真竹:小林由美子
 池速人:野島裕史
 シュドナイ:三宅健太
 ベルペオル:大原さやか
 ヘカテー:能登麻美子

(C)高橋弥七郎/いとうのいぢ/アスキー・メディアワークス/『灼眼のシャナF』製作委員会

データ

▼BD&DVD『灼眼のシャナIII Final』第1巻 初回限定版
■メーカー:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
■品番:BD GNXA-1431/DVD GNBA-1961
■発売日:2011年12月22日
■希望小売価格:BD 7,875円/DVD 6,825円(各税込)
 
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▼BD&DVD『灼眼のシャナIII Final』第2巻 初回限定版
■メーカー:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
■品番:BD GNXA-1432/DVD GNBA-1962
■発売日:2012年1月27日
■希望小売価格:BD 7,875円/DVD 6,825円(各税込)
 
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▼BD&DVD『灼眼のシャナIII Final』第3巻 初回限定版
■メーカー:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
■品番:BD GNXA-1433/DVD GNBA-1963
■発売日:2012年2月29日
■希望小売価格:BD 7,875円/DVD 6,825円(各税込)
 
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▼BD&DVD『灼眼のシャナIII Final』第4巻 初回限定版
■メーカー:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
■品番:BD GNXA-1434/DVD GNBA-1964
■発売日:2012年3月28日
■希望小売価格:BD 7,875円/DVD 6,825円(各税込)
 
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