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2012年4月24日(火)

光学迷彩と弓矢でパスパス撃ち抜け! ハイテクとローテクの矛盾と融合を目指した『クライシス3』

文:電撃オンライン

 エレクトロニック・アーツは、イギリス・ロンドンで開催した同社のプライベートイベント“EA EU Showcase”にて、2013年春発売予定のPS3/Xbox 360/PC用ソフト『クライシス3』の最新情報を公開した。

 イベント会場では、『クライシス』シリーズの開発を担当するドイツの開発会社・CRYTEKのディレクター Rasmus Hojengaard氏によるプレゼンテーションおよび実機デモプレイが行われた。なお、このデモは実際のゲーム内容をそのまま表したものではなく、今作に登場する要素を伝えるための特別バージョンのようだった。ここではそのプレゼンおよびデモから得られた情報についてお伝えする。

▲ドイツの開発会社・CRYTEKのディレクター・Rasmus Hojengaard氏。

 『クライシス』シリーズは、2007年にPCで初代が発売されたFPSで、2011年3月に続編である『2』が発売された。各作品の主人公は、ゲーム内での巨大企業であるクライネット社が開発した“ナノスーツ”に身を包み、超人的なパワーを引き出しながら謎の生命体などと戦っていくことになる。『1』はフィリピン海の孤島“リンシャン島”、『2』はニューヨークが舞台となっている。


■『2』から20年以上たったニューヨークが舞台の『クライシス3』

 今作の舞台は、『2』と同じくアメリカのニューヨーク。『2』からはおよそ20年以上が経過しており、Ceph(セフ)と呼ばれる地球外生命体との隔離のためにニューヨーク全体が、リバティドームと名付けられた建造物に覆われている。そのため、街中はすっかりとジャングルの熱帯雨林のようになってしまっているのが特徴だ。

 今作の主人公は、『2』の序盤で『2』の主人公・アルカトラズにナノスーツを託して死亡したプロフェットである。死亡したはずのプロフェットがなぜ『3』の主人公となっているのか。どうやらナノスーツに取り込まれ、戦う兵器として蘇ったようだ。しかし、物語を通じて戦ううちに、徐々に人間としての意思を取り戻していくという。

 Rasmus氏は、今作の舞台が『2』と同様にニューヨークになったことについて、「ニューヨーク以外にも候補はありましたが、今作で急激に都市の様子が変化しているため、これまでと比べてどのように変わっているのか、というのが見られるという点から、ニューヨークを選びました。また、初めてプレイする人にも、ニューヨークというわかりやすい舞台を選ぶことで、なじみ深く感じられると思いました」と述べた。また、プロフェットを主人公とした理由については「これまで色々なことがあった彼の人生は非常に興味深いものであるから」と語った。


■本当の世界にはないものを作りたかった

 熱帯雨林に覆われたニューヨークで、ナノスーツを来た超人が地球外生命体と戦う。この設定だけを見ると、ただのSFもののように感じてしまうが、実際のゲームを見てみると、どこかリアリティが感じられた。Rasmus氏は今作のデザインコンセプトについて、「本当の世界にはないものを作りたかった」と述べた。

 今作で初めて登場した新武器“コンポジット・ボウ”についても、銃がメインであるはずの世界において、ローテクな弓をあえて使うというギャップが、ありそうでなかった設定でもある。もっとも、弓を引くという行為自体はアナログではあるが、矢そのものは着弾時に爆発・拡散するものなども用意されており、決してローテクなだけではない。ナノスーツのハイテクとコンポジット・ボウのローテク、「このハイテクとローテクが同居しているという矛盾がおもしろい」とRamsus氏は語った。

 ちなみにコンポジット・ボウには、ナノスーツの機能の1つである光学迷彩によって姿を消す“クローク”の使用中でも敵に気づかれずに攻撃できるという利点がある。

 デモ中には、このコンポジット・ボウを使って敵をズームして、そのまま矢を放つと視点が矢を追いかけて敵に命中するまでを描くというエフェクトがあった。しかし、実際には、どういう状況でこのエフェクトになるか確定しておらず、使いどころを見極めているとのことだ。

■分析やハッキングで戦略的に戦えるように

 今作のナノスーツでは、敵の分析や機械へのハッキングが行えるようになった。デモでは、分析に1秒ほどの時間がかかっていたが、建物の影にいる敵の分析なども行えるので、どの方角からどれくらいの敵が来ているのかがわかるようになっている。一方のハッキングは、すべての機械に対して使えるわけではないのだが、道中に設置された兵器に対して、遠くからハッキングを行うことによって、同士討ちをさせるような動きができた。これについても使い道を探っているところだろう。

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 「現世代で最高のグラフィックを目指した」とRamsus氏が語る今作。『クライシス』といえば、初代において当時最高スペックのPCでも最高設定動作が厳しいほどのPC性能を要求していたゲームとして名高い。『2』ではグラフィックをやや抑えめにしたため、スペックはそれほど要求されなかったが、『3』ではどうなるのだろうか。

 2013年春と発売時期がまだ先なため、必要スペックは明らかになっていないが、同社の『バトルフィールド3』が現在のPCのベンチマークテストで人気なように、PCパーツ業界からの期待も大きく、来年を騒がせるタイトルになるのは間違いない。

 ゲーム内容としても、今回はまだシステムの触り部分が明らかになったにすぎない。今後公開されるであろうオンライン要素や、物語についても期待したいところだ。

(C)2012 Crytek GmbH. All Rights Reserved. Crysis, Crytek and CryENGINE are trademarks of Crytek GmbH. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.

データ

▼『クライシス3』
■メーカー:エレクトロニック・アーツ
■対応機種:PC
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年春
■希望小売価格:7,665円(税込)

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