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2012年5月26日(土)

【Spot the 電撃文庫】学園バトルアクション『小悪魔ちゃんとMP0の少年』でデビューした近江泉美先生にインタビュー!

文:電撃オンライン

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第35回となる今回は、『小悪魔ちゃんとMP0の少年』でデビューする近江泉美(おうみ いずみ)先生のインタビューを掲載する。

『小悪魔ちゃんとMP0の少年』
▲nyanya先生が描く『小悪魔ちゃんとMP0の少年』の表紙イラスト。

 本作は、“炎(プロクス)”と呼ばれる力が支配する世界を舞台にした学園バトルアクション作品。小悪魔インクの呪いによって、落ちこぼれ――“MP0(エムピーゼロ)”になってしまった高校生・真柴七瀬(ましば ななせ)。

 そんな彼の人生は、ある日の放課後に、校内でもっとも有名な少女・東雲彪女(しののめ あやめ)と出会ったことで再び転機を迎えるのだった。千里眼や予知を得意とし、その実力から“先見のイヴ”とも呼ばれている彪女を狙った刺客の襲撃に巻き込まれてしまう! そして七瀬は、彼女が囚われている“哀しみの連鎖”を知り、それを断ち切ろうとするのだが……。

 近江先生には、小説を書こうと思ったキッカケや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――近江先生が小説を書こうと思ったキッカケはなんですか?

 特に思い当たることが……。気付いたら書いていた感じですね。

――『小悪魔ちゃんとMP0の少年』を書いた経緯を教えてください。

 超能力が普通に使える世界があるとしたらどんなところだろう、遺伝とか何かあるのかな? とぼんやり考えたのがきっかけです。本作に出てくるイヴというのも、“ミトコンドリア・イブ”から着想を得たものです。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 “まっすぐ!”です。一本筋の通った少年マンガみたいなお話にしたいと思いまして、熱い展開で魅せる! くらいの気持ちで書きました。ラブコメ的には“さわやかなボーイ・ミーツ・ガール”のはずでしたが、なぜか小さな女の子(悪魔ですが)に振り回される苦労人の話になってる気もします。どちらにしても頭を空っぽにして楽しんでいただけるかと!

――作品を書くうえで悩んだところは?

 例えば冒頭の放課後のシーンなんですが、あれは元々別のプロットのワンシーンなんです。深いワケあってあの流れだったのを、編集者さんに「このシーン使ってください」と言われまして。その時はなんてムチャ振りを……! と思いました。

 設定の違う話をどう物語に落とし込むかすごく悩みましたが、予想外のオーダーや難題を出されると同じくらいワクワクしました。本作には何カ所かそういうシーンがありますが、今読み返してみるとどれも狙って作ったようにしか見えないから不思議です。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 1年くらいでしょうか。途中、月単位で執筆を中断せざるをえない時期が数回ありまして、実質の期間となるとちょっとわかりません。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 ヒロインは主人公の同級生・東雲彪女という女の子です。彼女の謎めいた行動が主人公を巻き込んでいき……と、本作の要とも言える人物で、いろんな意味で身体を張っています。ですが、表紙にいるのはヒロインではありません!

 表紙を飾っているのはインクという悪魔で、ワケあって主人公に取り憑いて同居生活を送っています。こちらも重要なキャラクターですが、彪女とどちらを話のメインにするかは流れに任せて書き始めました。ふたを開けてみれば、ヒロインを押しのけてタイトルも表紙もさらっていくという、とんでもないマスコットになっていました。もはや本作のヒロイン、いえ、主人公といっても過言ではありません。

 この現状をイラストレーターのnyanyaさんが見事に表紙で描ききってくださいまして、あれ以上かわいくて笑える表紙を描いてくださる方は他にいないと確信しています。本作を読み終わった後には、ぜひもう1度表紙をながめてほしいです。

――熱中しているゲームがあれば教えてください

 1度ゲームを始めるとクリアするまで何もしない残念な人になってしまうので、小説を書き始めてからは手を出さないようにしています。いやー、それにしてもおもしろいですね、『逆転検事2』! あ、もちろんこれは後学のためであって、遊んでいるわけではありません。DSはいつでもセーブできるから、いつでもやめられるしね! そんな言い訳をする深夜2時です。

――初の商業作品というところで、その感想は?

 うれしい反面、ものすごくビクビクしています。これを話したらまた何か起こりそうでだまっていたんですが……実は、昔から期待したり楽しみにしていたことをしていると、必ずオチのように変なことが起こるんです。

 去年も念願かなって転職! と思った矢先、震災の間接的影響で転職できなくなり、たまに旅行に出れば駅で火災に巻き込まれ、飛行機(※世界一安全と評される某航空会社の)に乗れば、日本まであと少しのところで機内の天井から水が染み出してきて、走馬灯のように記憶をよみがえらせつつランディングとか。まあ、こんな目にあっても常に無傷なので、すごく強運だとも思うのですが(笑)。

 とにかく毎度ありえないことが起こるので、執筆中も「こんな夢みたいなことが続くはずがない、今度のオチは何かなー」と思ってました。だけどいつまで経っても「今回のお話はなかったことに」と言われないし、それどころか原稿も非常に順調に進んでしまい。おかしい、オチはいつ……!? ていうかこんなにうまくいったら反動でどんなひどい目に遭うか――! と、かなり不安でした。1度は開き直ってみたんですが、やっぱりそろそろオチがやってくる気がしてなりません。夢だった小説家になれたぶんのオチ……、今度ばかりは命がけかもしれない。

――今後、どういった作品を発表していきたいですか?

 ……。この質問に答えた瞬間、「俺、この戦いが終ったら彼女と結婚するんだ」と発言して死んでしまうキャラクター並みにひどい目にあう自分の姿が浮かびました。オチが怖いのでここはノーコメントで……!

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 言いたいことはありません! 言いたいこともやりたいことも、全部作品に書き切りました。なので、ここで補足したり、あえてお伝えすることは何もありません。生意気言うヤツだなー、と思われた方はぜひ書店でお確かめいただければ(笑)。なんて、詐欺まがいなコメントで締めるのもナンですので、ひと言だけ。 小悪魔が本屋さんでお待ちしております。よろしければお手に取ってみてくださいね!

(C)近江泉美/AMW
イラスト:nyanya

データ

▼『小悪魔ちゃんとMP0の少年』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年5月10日
■価格:620円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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