2012年6月9日(土)
――鳥羽さんからみて、高村監督の魅力はどこにありますか?
▲本作のキービジュアル |
先ほどの企画書の話とかぶってしまいますが、常にお客さんのことを考えているその姿勢と、キャラクターを作る力ですね。とにかくかわいい女の子を描くのがうまいというのはもちろんなんですが、そこに性格をしっかり乗せてくる。いくら絵がかわいくても、キャラクターの性格がかわいくなかったら、魅力的なキャラクターにはならないと思うんです。どういう仕草をするのか、どんなことをしゃべるのか、見た目の絵だけでなくて、性格まで含めてキャラクターを作り込むクリエイターなんです。そこが高村さんの一番の強みじゃないでしょうか?
アニメで一番大事なのは、ドラマではなく、キャラクターである、ということをしっかりわかってらっしゃる。高村さんご自身もインタビューでおっしゃっていましたが、描きたいドラマがあるから、という理由でキャラクターに勝手なことをしゃべらせたり行動させたりはしない。逆にキャラクターを魅力的に見せるためであれば、いくらでもドラマを書き換える、そういう方です。だから、脚本会議でも、まずはキャラクターがかわいく見えているかどうか、それが第一のチェック事項です。それがかわいく見えないのであれば、全部書き直したほうがいい、という判断になります。だからすごい時間がかかるんですよ。週1でやっているんですが、毎回、6時間以上かけています。
――そういうお話を聞くと、監督とキャラクターデザイン、シリーズ構成、すべて兼任せざるをえなかった理由がわかります。自分の企画した作品においては、見た目も性格もとにかくキャラクターをかわいく描いてほしい、と。ご自分の中に確固たるビジョンがあるのであれば、大変ですが、自分でやるべきだ、ということですね。
元々、僕も他の人に振るつもりは一切ありませんでしたけど。僕は高村さんの作り出すキャラクターが見たかったので。高村さんのやる作品で、他の人にキャラクターデザインを振るとそれは高村作品ではなくなってしまいます。今回はさらにシリーズ構成も含めて高村さんがすべて引き受けてくれたし、みんな高村さんを信じてます。スタッフ全員が高村さんを信じている。だから僕も高村さんのためならなんでもしますね。
――惚れていますね。
そうでないとこんな大変なことできないですよ(笑)。
――現在の制作状況を教えてください。
とにかく今は脚本を練っている感じですね。高村さんが脚本をすごく大事にするので、キャラの行動や台詞の語尾までひと言ひと言すごく細かく脚本の中で決め込んでいます。作業量の関係で、監督が自分でコンテを切れるのって、1クールだと大体2~3話分くらいなんですよね。それ以外の話数は他の方がコンテを描いて、それを監督が直すっていうのが、今のアニメのやり方です。なので、各話を担当される絵コンテさんが迷わないようにするためにも、脚本の段階で、わかりやすく細かく決め込むということをすごく大事にしています。
さらには、監督の意図が十分に反映できるようにシリーズ演出も立てています。その方には脚本会議などすべての打ち合わせに同席してもらい、高村さんのフォローをしていただいています。
――大勢の人間が携わって1つのものを作る時には、目標点をはっきりさせるために、まずはイメージを共有しないといけないですから、大変ですよね。
みんなが高村さんの考えていることを理解したりフォローするために、延々と打ち合わせをする。高村さんから考えを引き出したり、こっちが高村さんに逆提案をしたり。基本的には高村さんのOKが出るかがすべての判断基準ですね。
――高村ワールドの共有ですね。
そうですね。その高村さんの基準がどこにあるかというと、お客さんが喜んでくれるかっていうのと、キャラクターがかわいく見えるかどうか、ということなんです。
――プロデューサーとしてこの作品での目標はありますか?
僕は高村さんを信じているので、高村さんがやりきれる作品作りを全力でサポートすることです。今回は、それを実現できればお客さんは喜んでくれるんじゃないかなと思っています。高村イズムがどこまで純度100%に近づくか。そうすれば、お客さんの共感は、自然とついてきてくれると思っています。
――今後の情報公開の予定を教えてください。
まずは順序よく、『電撃G’sマガジン』でキャラクターを公開していきます。それと同時に舞台や世界観を出していく感じですね。具体的なストーリーはその後かなと。そもそもキャラクターを見せるためのお話なので、まずはキャラクター紹介からかと。
――いつごろからキャラクターは公開されていきますか?
6月30日発売の『電撃G’sマガジン』で、今月号の表紙を飾ったヒロインの女の子について紹介できればと思っています。以降、毎月1人ずつは出していきたいですね。
――コミック連載なども予定されているんですよね。
ストーリーコミックはのちのちですが、4コマコミックはキャラクターに馴染んでもらうためにも、放送前からスタートさせる予定です。オリジナルアニメってキャラクターがどういう子かすらわからない状態で放送がスタートしてしまうので、放送前に4コマコミックでキャラクターに親しんでもらいたいですね。
――コミック以外の展開の予定などは?
フィギュアとかはもちろん考えています。グッズやイベントなど、できる限りの展開はしようと思っていますので。僕はこの企画のために、自分の周りや仕事の環境を整えましたので、全力でやっていきますよ。とにかく皆さんに好かれるキャラクターを練り上げていますので、ヒロインみんなを好きになってもらえたらうれしいです。
(C)vividred project
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