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2012年6月30日(土)

シナリオとプロデュースのテーマとは!? 『ROBOTICS;NOTES』のキーマンであるプロデューサーの松原氏とシナリオライターの林氏に迫る

文:電撃オンライン

 MAGES.のゲーム&音楽ブランド・5pb.から、6月28日に発売されたPS3/Xbox 360用ソフト『ROBOTICS;NOTES(ロボティクス・ノーツ)』。本作のカギをにぎる、プロデューサーの松原達也さんとシナリオを手掛けた林直孝さんへのインタビューを掲載する。

 『ROBOTICS;NOTES』は、『CHAOS;HEAD(カオスヘッド)』『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』に続く科学アドンベンチャーシリーズ第3弾。99%の科学と1%のファンタジーといったシリーズの特徴はそのままに、ロボット・拡張現実・夢をテーマに、ロボット格闘ゲームしか取り柄のない主人公が、そのプレイスキルで世界を救うことになるというストーリーが展開する。

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 インタビューは、『電撃PlayStation Vol.521』(アスキー・メディアワークス刊)の前半部分を抜粋したもの。シナリオとプロデュースという、それぞれのテーマについて迫っている。なお、続きが気になる人は、誌面を確認してほしい。なお、インタビュー中は、敬称略。

『ROBOTICS;NOTES』
▲左が松原達也さんで、右が林直孝さん。科学アドベンチャーシリーズすべてを手がけてきたキーマンだ。

■シナリオとプロデュースそれぞれのテーマは?

――いよいよ発売されたということで、ネタバレしすぎない程度に踏み込んだこともお聞きしたいと思います。まずお2人が、この『ロボティクス・ノーツ』にどういう形でかかわったのかをお聞かせください。

松原:僕はこれまでの科学アドベンチャーシリーズと同じく、全体の監修を担当しました。それと、今回は『シュタインズ・ゲート』以上に制作のほうにもかかわりました。具体的に言うとゲーム内のムービーやインターフェースまわりのグラフィックなど、全体の雰囲気を統一するためのアートディレクション的なことだったりと、今までよりもだいぶ僕が表現したかったことが前面に出てきている感じです。また、今回は僕の下にディレクターを立てたので、そちらに進行管理は任せて、自分は美味しいところを好き勝手に作ったという感じです(笑)。

――プロデューサー兼、重要な部分のディレクションという形なんですね。林さんは?

:僕はシナリオ全般をやらせていただきました。

――科学アドベンチャーシリーズのシナリオは、どうやって作られるのでしょうか? 原案は志倉さん(志倉千代丸氏:株式会社MAGES.代表取締役社長、科学アドベンチャーシリーズの企画・原作者)が作られるということですが。

:志倉からの原案の時点で、テーマや、使うべき設定、全体のストーリーはかなり詳細にできているんです。その企画を志倉からプレゼンされるという形で教えられて、そこからプロットや細かい設定を一緒に作っていく感じですね。『シュタインズ・ゲート』のときは他のライターさんといっしょにストーリー部分を考えていったんですけど、今回は志倉と僕のほぼ2人で作っていったので、かなり孤独な作業でしたね。

――本作の発表直後にお話をうかがった時に「苦戦してます」とおっしゃっていました。

:かなり手こずりましたね。シナリオを書くのに長い時間がかかりましたが、結果的にはいいものになったので、今はホッとしています。

――エンディングまで遊ぶと、前半の熱血青春ものの展開だけではなく、いろいろな展開が見られますよね。これをひとつのストーリーとしてまとめるのは大変だったんじゃないかと思うのですが。

:そうですね、今回は世界の広がりを重要視してくれと志倉から言われていました。今回は“拡張科学アドベンチャー”と言っているくらいですし、テーマである“夢”が、日本の端っこにある小さな島からやがて世界中に拡大していくようなダイナミックさが必要だと思っていたので、そこをいかに自然にやっていくかは試行錯誤した部分ですね。

――体験版で遊べるPHASE01では、まだその広がりというのは見えてこないですよね。『カオスヘッド』や『シュタインズ・ゲート』では最初の章の終わりで展開が動き出す感じでしたが、今回は高校生活がすごく丁寧に描かれている印象を受けました。

:ミクロな部分から入って、最終的に巨大な陰謀に広がっていくという展開になるので、日常のミクロな部分はしっかりと描くようにしています。PHASE01も当初はあそこまで長くなるとは想定していなかったんですけど、志倉に一度見せたら、もっと日常的なシーンを追加してくれと言われたくらいで。種子島という独特な場所の空気感を出せるように、かなりスローな入り方になっていますね。

松原:主人公たちが作るロボットにしても、最初はホビーロボットからだんだん大きなものになっていくので、そういった部分を描くためにも、あえて前半は丁寧になっています。PHASE01で“ツイぽ”や“居ル夫。”、“キルバラ”といったポケコンのシステム部分は全部体験できるようになっていますし、キャラクターの演技の部分もかなり丁寧に作り込んであるので、そういった部分も見てもらえるとうれしいですね。あとはストーリーの進行とは別に、“ツイぽ”やジオタグもかなり散りばめてあるので、そういうことを探すのも楽しんでもらえるといいなと思います。

――今作の制作にあたって、ご自身の中でのテーマのようなものはありましたか?

松原:今までの『シュタインズ・ゲート』や『カオスヘッド』よりも演出面を凝っているところですね。キャラクターが3Dになったのが要素としては一番大きいんですけど、今までは、絵が2Dだというのもあって、目の前にいるキャラクター同士がしゃべっていても、お互いカメラのほうを向いているような演出だったんです。それが3Dになり、いろいろな方向を向けたり、好きな位置に置けるようになったので、しゃべっている時はちょっとだけ内側に向けて視線を絡ませてあげたり、画面の奥に向かってしゃべっているときはこちらに背中を向けていたり。そういった立体的な演出もやりたいと思って、がんばりましたね。

『ROBOTICS;NOTES』
▲あき穂の後ろ姿ごしに展開する職員室でのシーン。立ち位置で空間を演出する。

 あとは、しゃべっている内容に合わせた演技をちゃんとさせないと、すごくウソっぽく見えて、全然キャラクターが生きて見えなくなっちゃうんです。そこもすごく大変でした。

――オートモードにすると、セリフにぴったり合わせてちゃんと演技をするんですよね。

松原:当然全部のセリフに演技をつけるわけにはいかないので、そこをどうシステマチックに作っていくかに苦労しました。モーションを選定して、そのモーション同士がなめらかにつながるようにプログラムを作る。そういった処理部分を作るのがすごく大変で、作り始めてから、これはいくらやっても終わらないぞと(笑)。

 最終的にはうまく構築できましたけど、前2作に比べて、ものすごく大規模な開発になりました。あとは、プレイヤーの目線と主人公の目線をなるべく同じにしてあげるというところも、『シュタインズ・ゲート』から引き続きやってきたことですね。一人称視点で自分がポケコンを使っているように見せるシーンとか。文章で選択肢を出さないのも、科学アドベンチャーシリーズがずっとやってきたことで、そこもある程度、高い次元で実現できたかなと思っています。

次のページで“ツイぽ”やA.R.について語る!

(C)2012 MAGES./5pb./Nitroplus

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データ

▼『電撃PlayStation Vol.521』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年6月28日
■特別定価:690円(税込)
 
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