2012年7月7日(土)
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第46回となる今回は、『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』を執筆した宇野朴人先生のインタビューを掲載する。
▲さんば挿先生が描く『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』の表紙イラスト。 |
本作は、後に名将と呼ばれる少年の半生を描いた壮大な架空戦記。隣接する“キオカ共和国”と戦争状態にある大国“カトヴァーナ帝国”。そこに、とある事情で嫌々ながら高等士官試験を受けようとしている1人の少年がいた。彼の名はイクタ・ソローク。卓越した才能を持ちながらも、戦争ぎらいでなまけ者で女好きな彼は、旧知の仲であるエリート少女、ヤトリシノ・イグセムとともに試験に挑むことに。
そんな折、イクタたちは運命のいたずらで、カトヴァーナ帝国の第三皇女と知り合う。幼くも聡明な皇女との出会いは、イクタの人生を大きく変えていくのだった……。
宇野先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
キッカケを1つに絞るのは難しいんですが、あえて言うなら『皇国の守護者』という漫画を読んだことでしょうか。この作品に影響されて、主人公の初期位置を軍師でも兵士でもなく、その中間存在と言える“下級将校”の立場に置いた作品が書きたいと思い立ちました。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
戦記モノならではの緊張感と、それとは裏腹にユーモラスな主人公たちの青春模様を楽しんでいただければと思います。
――作品を書くうえで悩んだところは?
メインキャラが6人いるんですが、それぞれのキャラ付けにはけっこう悩みましたね。器用な子もいれば不器用な子もいて、強い子もいれば弱い子もいる。それを前提に、パーティ内の最適なバランスみたいなものを模索したつもりです。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
だいたい2カ月です。企画段階もあわせれば3カ月くらいかな。
――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
前作の主人公が優等生タイプでしたから、今回はもっとくだけたタイプのキャラを描こうと思いまして。結果生まれたのが、サボリ魔で女好きで皮肉屋の主人公。あとイケメンぎらいというのも重要なポイントですね(笑)。表面的な振る舞いの器用さと、生き方それ自体の不器用さ。その葛藤が表れるところに書きがいがあります。
――特にお気に入りのシーンはどこですか?
普段いじめっ子属性の主人公が、年下のヒロインから逆にやり込められてるところとか、書いていてほのぼのしますね。
――今後の予定について簡単に教えてください。
次巻はなるべく早く出そうと思っています。ストーリー的にも盛り上がって参りますので、お付き合いくだされば幸いです。
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
自転車に乗ります。突っ走った後には、筋肉中に生じた乳酸量に比例してアイデアが浮かびます。
――現在注目している作家・作品は?
貴志祐介さんですね。あのディテールの圧倒的な密度と、それでいて熱く血の通った作風。目標です。
――今熱中しているものはなんですか?
熱中というと大げさですが、今まで敬遠していたミステリを読み始めています。論理的な緻密さに圧倒されっぱなしですけど、いつか自分の作品に生かせたらと思いますね。
――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。
もう新しくはないのですが、最近面白かったのは『デモンズソウル』ですね。難しすぎて未だにクリアできませんが……。
――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
覚悟はいいのかい? ページをめくる手が止まらなくなっても知らないぜ!
(C)宇野朴人/AMW
イラスト:さんば挿
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