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2012年7月11日(水)

【電撃PlayStation】PS Vitaタイトルインプレッション『Dokuro(ドクロ)』――魔王軍の下級兵士『ドクロ』を主人公にしたパズル要素満載のやりこみACT

文:電撃PlayStation

 こんにちは! 今回は、切ないストーリーとやりごたえ十分のアクションが注目を集めている、現在好評発売中のPS Vita用ACT『Dokuro(ドクロ)』をご紹介します。

 チョークタッチで描かれた可愛らしい世界観が話題の本作ですが、実際にプレイしてみると、その見た目とは裏腹になかなか歯ごたえのあるACTです。ACTが得意だという人にもきっと納得いくゲームになること間違いなし! の作品。さっそく、電撃PlayStation本誌レビューでもおなじみのライター、城イドムによるプレイインプレッションをお伝えします!

■世界観&ゲームシステムは個性派ながらセンスは上々!!

 芸術、こと絵画のなんたるかを語れるガラではないが、そんな私でも、色彩豊かな絵が必ずしもモノクロームの絵(単色画)より優れているとは言えないことぐらいは知っている。市場価値の観点であれ、芸術性の観点であれ、パっと目を引く華やかさだけが絵画の善し悪しの決め手になるワケではない。今回紹介する『Dokuro(ドクロ)』はそんな芸術論にも通じる魅力を秘めた、シックな作風のなかにも開発者の才が色濃く表現された秀作である。

 本作は、魔王に仕える下級兵士の1人にすぎない『ドクロ』を主人公にした、ユニークな設定のACTだ。魔王がさらってきた『お姫さま』にほのかな恋心を抱いた『ドクロ』は、大胆にも彼女とともに城から逃げ出すことを決意し、童話チックな物語を紡いでいく。お話そのものはシンプルだし、静止画中心のイベントシーンは簡素ながら、その描写センスの高さには目を見張るものがある。私も最初は「世界観は地味かな」という印象を持っていたのだが、作中の情緒的な世界には心にしみ入るような味わい深さにあふれ、しばらくするとすっかり感情移入させられている自分に気づいた。

『Dokuro(ドクロ)』 『Dokuro(ドクロ)』
▲ゲーム画面やイベントシーンは、チョークで描いたような独特のタッチのグラフィックで表現されている。決してハデではないが、温かみを感じさせる雰囲気に注目してほしい。

 冒険の舞台となる魔王の居城は全16ステージ(地区)で構成されており、各ステージには極めて短時間でクリアできるセクションが10個収録されている(一部には、1~6のセクションで構成された特別なステージもある)。基本システムは横スクロールタイプの2D・ACTを踏襲しているが、指先のテクニックが重要な局面と“謎解き”がポイントになる局面がバランスよく盛り込まれていた。メーカー公称ジャンルはACTながら、実際には“ステージクリア型のパズル”といった趣のゲームとして楽しむことができる。

 特徴的なのは、脱出劇が『ドクロ』と『お姫さま』のペアで繰り広げられていくところだろう。プレイヤーが直接操作できるのは『ドクロ』のみで、『お姫さま』はといえば自発的に行動し、とりあえず彼女なりにゴール地点(画面右の方)を目指す努力はしてくれる。しかし、いかんせん『お姫さま』は非力なだけに、ちょっとした段差でも立ち往生してしまうため、その歩みを進めるためには『ドクロ』の手助けが欠かせない。

『Dokuro(ドクロ)』 『Dokuro(ドクロ)』
▲『お姫さま』には、段差のある場所を自力で突破するスキルがない。そんな場所では木箱を並べて道を作るなど、『ドクロ』のサポートが必要になる。うまく彼女をゴールまで導いてあげよう!

 さらに本作のおもしろさを高めているのが、プレイヤーが手にすることになる“魔法の力”の数々だ。例えば、ステージ1-7では青白く光る不思議な薬が見つかり、それ以降のセクションでは従来の不気味な姿である『ドクロ』と、クールな王子様風の『イケメン』という、2つの姿に自由に変身できるようになる。『ドクロ』は身体のサイズが小さいのでトラップを回避する能力に優れ、もう一方の『イケメン』は『お姫さま』を抱き上げて、よりアクティブなサポートができるなど、両者にはそれぞれ得意・不得意が設けられている。トラップなどに行く手を阻まれたとき、どちらの姿に変身すべきかの判断が攻略上の重要なカギをにぎっているのがポイントだ。

『Dokuro(ドクロ)』 『Dokuro(ドクロ)』
▲『イケメン』では接触してしまうトラップも、小柄な『ドクロ』なら下をくぐり抜けられたりする(写真左)。『お姫さま』では進めない段差も、『イケメン』で抱きあげて突破する手もアリ(写真右)。

 また、ステージ9-1で『青いチョーク』を手に入れると、前面タッチスクリーンをなぞって青い線を引けるようになる。このチョークには不思議なパワーが秘められており、特定のくぼ地に線を引くことで、その場所に水をためることが可能だ(ちなみに、チョークは効果の異なる3種類が用意されている)。これらの変身能力や、チョークなどをどのように使って道を切り開いていくか模索するのが本作のだいご味だが、その魅力を際立たせているものはもっと深いところにあると筆者は見る。

『Dokuro(ドクロ)』 『Dokuro(ドクロ)』
▲特定のくぼ地に青いチョークで線を引くと、その線にそうように水がわき出してくぼ地を満たす。わき出した水で木箱を浮かべたり、ザコ敵をおぼれさせて倒したりと、このチョークにはさまざまな利用方法がある。

■おもしろさの源泉はズバリ『パズル』部分にアリ!

 やり込むたびに感じとれるズシリとした手ごたえには、正直驚かされた。近年の新作ACTと比べても、これほどのプレイ感触はそう出会えるものではない。本作は全体的にていねいに作り込まれているのは確かだが、ベースとなるシステムはベーシックかつオーソドックスそのものだ。先に紹介した魔法の力も絶妙なスパイスにはなっているが、ゲームの魅力の主役になりえるほどの存在ではない。それでいて、ゲームシステムにこれほど本格派の風格を感じるのはなぜか。それはゲームの根幹、すなわちパズル部分が練りに練られているからにほかならない。

『Dokuro(ドクロ)』 『Dokuro(ドクロ)』
▲このセクションでは仕掛けを作動させると、引力の働く方向が上下で逆転! 木箱などのブロックの並べ替えと引力の逆転を適切な手順で行うことで、初めてゴールまでの道を切り開くことができる。

  計算し尽くされた謎解き&仕組み、この完成度の高さは相当なレベルだ。惜しむべきは、本作の紹介記事に軽く目を通したとか、序盤を少し遊んだ程度では、その深さに触れられない点である。頭をヒネり、木箱など複数のブロックをどう組み合わせるかとか、爆発するタルにどの順序で着火させていくかといった試行錯誤に悩むおもしろさ、これはハマる! ただ、そんな本作の真価に気づいていない人は、決して少なくはないだろう。

■パズル好きにとってはコストパフォーマンス極上の一品と断言

 絵画の世界で、モノクロームの絵が色彩豊かな絵に比べて、第一印象で劣るのはやむを得ないことだろう。しかし、根幹に優れたものさえあれば、モノクローム作品も名作たりえる。それと同じように、パズル部分に開発スタッフの確かな力量の高さがうかがい知れる『Dokuro(ドクロ)』もまた、素晴らしい作品と評することができる。ある意味では“小粒にまとまった作品”といえるが、この品質でこの良心価格、かつ全16ステージにわたって140以上のセクションを楽しむことができるのだから、コストパフォーマンスの高さでは手放しで褒めちぎっていいだろう。

 素朴さ(地味さ)ゆえに興味を示さず、ゲームを断じるような人の目に“本物”は届かない。むしろ、ハデさを削ぎ落しても勝負できるなら、それこそ“本物”の証とみなすべきである。「真に優れたゲームとは何か」を改めて問い直す、『Dokuro(ドクロ)』のシックにして秀逸な完成度が再評価されることを、切に願っている。

 ……と、以上が城イドムによるインプレッションです。いかがでしたか? この夏、『Dokuro(ドクロ)』をプレイしてみたくなった! というかた、PS Vitaの準備はOKですか? 「まだ持ってないよー!」 という人に朗報!! ただいま、電撃PlayStation本誌にて“PS Vitaクリスタル・ホワイトが当たる!”サマージャンボキャンペーンを実施中♪ 応募しないとゲットするチャンスも生まれませんよっ。 みなさまからのたくさんのご応募お待ちしています! (電撃PlayStation  ゆっけ)

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データ

▼『Dokuro(ドクロ)』 ダウンロード版
■メーカー:ガンホー・オンライン・エンタテインメント
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ACT
■配信日:2012年7月5日
■価格:¥1,800(税込)

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