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2012年7月14日(土)

【Spot the 電撃文庫】「私と青春革命はじめましょう?」波乱ぶくみの青春ラブコメ『私とあなたの青春革命。』の広沢サカキ先生を直撃

文:電撃オンライン

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第47回となる今回は、『私とあなたの青春革命。』を執筆した広沢サカキ先生のインタビューを掲載する。

『私とあなたの青春革命。』
▲CUTEG先生が描く『私とあなたの青春革命。』の表紙イラスト。

 本作は、第17回“電撃小説大賞”で<金賞>を受賞した『アイドライジング!』の広沢サカキ先生&CUTEG先生のタッグが贈る学園青春ラブコメディ。主人公・天道優馬(てんどう ゆうま)が入学した白桜台学園は、多くの現役人気アイドルたちを輩出した“アイドル学科”がある特殊な学校。校則は厳格で、生徒会や風紀の取り締まりも厳しい……のだが、その圧政にただ1人立ち向かう少女がいた。その名は、麒麟堂奏子(きりんどう かなこ)!

 謎の合言葉“青春革命”を掲げ、その神出鬼没さで体制側を翻弄(ほんろう)し、抵抗し続ける奏子に見初められた優馬は「わたしと青春革命、はじめましょう?」と誘われて……。

 広沢先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 まず「『アイドライジング!』と並行して別のシリーズをやろう」というお話をいただいたのが始まりです。担当さん2人と僕とであーでもないこーでもないとアイデア出しで悩んでいたんですが、「女の先輩と放課後、危険かつ甘美なことをしたい」という自分のアイデアと『アイドライジング!』との共通点としてアイドルを導入しようという狙いが意外とうまくハマってするすると組み上がっていったので「じゃあこれでいこう!」となりまして。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 舞台が“アイドル科の存在する学園”ということで、まずはそこへの純粋な期待とわくわくですね。夢あふれるスイートな青春というのは、中高生にとっても大人にとってもすごく大事だと思いますし。そして、そんなアイドル科保護のために強権を用いる生徒会、その圧政から脱するため“青春革命”を標榜(ひょうぼう)する革命家……というシチュエーションへの広がりもありますのでその辺のピリッとした刺激も楽しんでもらえたらうれしいです。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 今回は自分でも探り探り書いていた部分が大きかったため、キャラクター像をつかむのに時間がかかってしまったところでしょうか。やるべきイベント自体はわりあい早めに決まっていたのですが、最初に上げた原稿だとイベントにまつわるキャラの動きや心情がどうにも感情移入しにくく……。時間がないのに懊悩(おうのう)し、筆が進まなくてあせりました。その辺は編集さんのアイデアに助けていただいた点が大きいですね。アイデアも僕のカラーリングにあったものだったので、そこを踏まえて書きだすとすんなりと進みました。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 メールボックスのやり取りを見るに……2カ月半ほどです。ちょっと時間がかかってしまいました……。ラブコメを書くのは初めてだったんですが、そこに抵抗はさほどなかったです。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 ラブコメというジャンルを考えた時に、やはり女子キャラクターとの絡みがメインになるだろうと思ったので、感情移入しやすいよう主人公である天道の個性は薄めの味付けにしました。反面、ヒロインの麒麟堂先輩は愉快かつ素敵になったかと。

 暴力系ツンデレでもなければ、あらあらうふふ系お姉さんでもない。強引でいて優しく、麗しく耽美に描けたと思います。読者の皆さんも読みながら彼女に翻弄(ほんろう)されてほしいです(笑)。

――特にお気に入りのシーンはどこですか?

 第3幕の冒頭にあるシーンです。一人称ならではのサービスシーンは1度書いてみたいと思っていたので、それがなかなか上手く書けて楽しかったです。くわしくは読んでいただければと思います(笑)。

――今後の予定について簡単に教えてください。

 アイドルをもっと出していきつつ、世界をふくらませていきたいですね。作中には“カルテットベリー”というビッグネームなアイドルグループがいるんですが、結構キャラクターとして気に入っておりますので、彼女らを登場させつつ華やかにしていきたいです。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 いろいろあって書ききれないので、最近思ったことをひとつ。それはずばり“取捨選択の目を鍛えること”です。自分は、拙作のさほど大したことない部分にムダにこだわってしまうきらいがありまして、その大事と小事を見極める目や、感情の切り替えなどをさらっと行えるようになりたいと思っています。作家は個人作業かと思われがちですが、実際はいろんな人との連携プレイなので少しでも迷惑をかけないように、と。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 音楽を聞くことですね。作品のせいか、もっぱらアイドルソングの割合が増えてきました。Perfumeは前から好きだったのですが、最近はももクロ、9nineなどに手を出してます。初音ミクに代表されるボカロソングも大好きです。

――今熱中しているものはなんですか?

 料理です。……と言っても熱中しているわけではなく、気まぐれに本格的なポトフを作ろうと思いたちバジルやらローリエなら買ってしまったので、それらを捨てることなく無駄なく使い切りたいというなんともケチくさい理由です。バジルはともかくローリエはマジで使い方が……。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 最近は全然できていないです……。せっかく『バットマン アーカム・アサイラム』『バットマン:アーカム・シティ』を買ったのに、できないまま積んでいますし。たまに友人と『コール オブ デューティー モダン・ウォーフェア3』をやるくらいでしょうか。今後は『コール オブ デューティ ブラックオプスII』と『ギアーズ・オブ・ウォー ジャッジメント』が出るということなので、それは楽しみにしていますね。あ、あと『スカルガールズ』も気になっているので、日本語版ローカライズが出てくれることを期待しています。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 不安を抱きつつ探りながら書いていたのですが、いざできあがってみると、とても王道で真っ直ぐでスイートな青春ラブコメディに仕上がったかと思います。続刊中の『アイドライジング!』ファンの皆様はもちろん今回からお手にとっていただく読者様にも楽しんでいただけるとうれしいです。

 これから甘酸っぱい青春を送る人も、もう青春が過ぎ去ってほろ甘い思い出になってしまった人も、「私と青春革命はじめましょう?」

(C)広沢サカキ/AMW
イラスト:CUTEG

データ

▼『私とあなたの青春革命。』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年7月10日
■価格:641円(税込)
 
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