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2012年7月12日(木)

日本の学生が作ったゲームは世界で戦えたのか? 日本チームが“Imagine Cup 2012”帰国報告会で語る

文:電撃オンライン

 オーストラリア・シドニーで7月6日~10日に行われていた、マイクロソフト主催の学生向けITコンテスト“Imagine Cup 2012”。その5日間のコンテストを経て、本日7月12日朝に日本チームが帰国。その報告会が東京・品川の日本マイクロソフトオフィスで行われた。

 Imagine Cupは、マイクロソフトの創設者であるビル・ゲイツ氏が、自らの経験をもとにした“学生たちに時分のアイデアや技術を発表する場を提供したい”という理念によって始まった学生向けのITコンテスト。2003年より始まったこのコンテストは、10年目となる今では、全世界180カ国、35万人以上が参加するコンテストへと成長しているという。

 日本からは、3つのチームがシドニーで行われた世界大会に参加している。ゲームデザイン部門には、パズルゲーム『ブルーム*ブロック』を作り上げた“Team Blossom”(トライデントコンピュータ専門学校)と震災復興SLG『BLUE FIELD』を作り上げた“Esperanza”(バンタンゲームアカデミー)が、ソフトウェアデザイン部門には、“All Light! ~ 可視光通信による省電力照明システム”を作り上げた“Coccolo”(東京工業高等専門学校)が参加した。

▲前列の4人がソフトウェアデザイン部門2位に輝いたCocclo、中列3人がゲームデザイン部門TOP5に残ったTeam Blossom、後列3人が同部門TOP10のEsperanza。

■『ブルーム*ブロック』は世界TOP5、『BLUE FIELD』は世界TOP10に

 このImagine Cup 2012の世界大会に参加するためには、それまでに行われた予選を勝ち抜いていく必要がある。ゲームデザイン部門は、世界中からエントリーを受け付け、そこで選ばれた100チームの中から、さらに上位の10チームのみが世界大会へと参加することができる。日本からはこのゲームデザイン部門で2チームが参加しているということは、それだけですごいことだ。なお、ソフトウェアデザイン部門は、日本で同様に大会が行われ、そこで1位となったチームが世界大会に参加できる。

 Imagine Cup 2012の世界大会では、複数の審査ラウンドを経て優勝作品が決まる。第1ラウンドではさまざまな国の人で形成された審査員を前に、英語でのプレゼンを行い、審査員による試遊を経て、10チーム中5チームが決勝ラウンドへと進めることになる。

 この決勝ラウンドへと進んだのはTeam Blossomの『ブルーム*ブロック』。その他、アイスランド、ベルギー、ブラジル、タイの4カ国からのチームが決勝ラウンドに進出した。

 『BLUE FIELD』を制作したEsperanzaのリーダー・前川佳嗣さんは、第1ラウンドを振り返って、「自分たちのゲームには、わかりやすいユーザーインターフェースや、プレイした人が楽しく思えたかどうかといったユーザーエクスペリエンスの部分が足りなかったのかな、と思います。あとはプレゼンテーション能力。ソフトウェアデザイン部門で2位に輝いたCoccoloのプレゼンと比べて、審査員の心に残るような何かを与えることができなかった」と語った。

▲Esperanzaのリーダー・前川さん。

 決勝ラウンドに残ったTeam Blossomのリーダー・馬場翔太さんは、「僕たちの『ブルーム*ブロック』は子供たちが楽しめるようなグラフィックに力を入れていました。これまでImagine Cupに出ていたチームで、そういったアプローチをしているところはなかったので、そういったところが評価されたのかなと思っています」と述べた。その他、実際に幼稚園にこのゲームを持っていってテストプレイをしてもらい、「本当にこのゲームで世界を変えていけるのか?」といったテーマをもとに制作していったという。

▲Team Blossomのリーダー・馬場さん。

 なお、シドニーで実際にImagine Cup 2012を取材し、他のチームも含めて作品を見ていたフリーライターの中山智さんはこの『ブルーム*ブロック』について、「ゲームの出来自体は、他のチームと比べても群を抜いてよかった。ただ、Imagine Cupのテーマの1つである“社会問題へ取り組み”といった部分が弱かったのが、TOP3に選ばれなかった原因の1つなのかも」と語っていた。

■Imagine Cup 2012世界大会に挑戦した2つのゲーム作品を紹介!

●『BLUE FIELD』
(Esperanza、バンタンゲームアカデミー)

 『BLUE FIELD』は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震をテーマにしたゲーム。復興への第一歩である瓦礫の処理をドキュメンタリーゲームとして表現しており、この大地震を世界に再認識してもらうとともに、瓦礫問題の深刻さを訴えたいという思いが込められている。実際のゲーム内容については、動画を参照してほしい。

●『ブルーム*ブロック』
(Team Blossom、トライデントコンピュータ専門学校)

 『ブルーム*ブロック』は、日本だけでなく世界中の子供たちにこのゲームを通じて環境問題に取り組むということをテーマに制作されたパズルゲーム。キャラクターの通った道の上に花が咲いていき、ステージ内のブロックすべてに花を咲かせられればクリアとなる。ただ、すでに花が咲いているところを踏んでしまう(通る)と失敗となる。一筆書きの要領で、ステージを踏破していくのが大事だ。実際のゲーム内容については、動画を参照のこと。

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