News

2012年8月20日(月)

【まり探】続編にも意欲的!? 三池崇史監督&巧舟氏が映画『逆転裁判』について語る

文:まり蔵

●ウィッグを付けたらおばちゃんみたい!? 俳優陣が役作りに四苦八苦

――ゲーム本編『逆転裁判』は、吹き出しが出たりキャラクターの表情豊かだったりとゲームならではの演出が多いですが、映像化する際に不安はありませんでしたか?

三池:不安だらけでしたね! まず役者を呼んで、地毛でやれるのか、ウィッグと合わせるかをチェックしました。実写化なので、役者にあわせてデフォルメしていく必要がある。成宮君(成歩堂龍一役の成宮寛貴さん)には、「魂がそこにあればいいんだよ」と話ましたね。打ち合わせは、役者が納得するまで何回もやりました。

――そんなに何度も試されたんですか?

三池:本人たちも「どうなんだろう?」って言いつつ、いろいろ試しました。髪型をカットして、固めれば近づくんですが腑に落ちなかった。そこでウィッグという結論になりました。でも、かぶってみると単なるコスプレになってしまって、ちょっと違う。それをふまえて、部分的にカツラを使っています。

 そのうちにカツラを担当している人と、成宮君の中ではエッジ感をどう出すかという話になってきました。そういうやり取りをしている中で、自分なりに解釈して調整していろいろな発想が出てくる。それはイメージができている証拠ですよね。そうして形を作っていきました。

――その打ち合わせで印象的だった役者さんはいらっしゃいますか?

三池:石橋さん(狩魔豪役の石橋凌さん)が来て「どうするの?」となって、「いや、このキャラのまんまです」って返したら、「え? 俺がこの……えっ!?」って(笑)。

:ほーーーーー。

三池:ウィッグつけて、「おばちゃんみたいな感じじゃないか?」というところからスタートして、アレンジしていきました。カツラを扱っている人が普段はモード系の人で、映画をやる人ではないんですよ。でもマドンナとかレディー・ガガが来日した際には名指しで指名されるような人で。そんな方がやっているので、彼が「大丈夫だよ!」っていうと、みんな「そうなのかな?」って思うんですね。変な言い方をすると、“誤解を重ねていくことでキャラクターを作っていく”という感じでした。

:なるほど。そんなことがあったんですね。

三池:ゲームのキャラクターに似せるというのは、限界があるんですよね。髪の毛は近づいたけど顔が違うよねとか、もうちょっと身長が欲しいとか。でも、成宮君に「撮影始まるまでに5cm身長伸ばして」っていうのは無理じゃないですか。でもそうやって試行錯誤する中で、ビジュアルイメージが徐々に固まってくる。作っている時は大変だったけど、楽しかったですよ。「いろいろと言われるかもしれないが、いけるだろうな」って思いながらやっていました。

――巧さんから「こういう風にしてほしい」という注文はあったのでしょうか?

:数年前に『逆転裁判』の宝塚の舞台をやったことがあるんですが、その時も「これじゃなきゃいけないんです」というのはなかったと思います。キャラクターの性格など譲れない設定はありますが、『逆転裁判』をもとにした別の作品――パラレルワールドにする時点で、その人の作品として成立しないと意味がないと思うんですね。

 ただ、宝塚の時も三池監督もそうでしたが、原作に対して守ろうというのを持っていただけているんです。『逆転裁判』の世界をどう表現しようか考えていただけているので、僕としてそれを信頼してお任せするのが大事かなと。話を聞いて、その現場を見に行きたかったです(笑)。

三池:アハハハハ。始まったばかりの時は、みんな「どうする?」っていう感じでした。せっかくウィッグやカツラをかぶっているので「変だね」っていうワケにはいかなくて。

:アハハハハ(笑)。

三池:最初は突破口があるかわからない手探りでした。誰かが「こうだと思う」というのが出てくればよかったんですが、誰も「そうじゃない」ということができなかった。その時点で、ゲームのキャラに負けているのを認めているんです。「なぜ映画化するのか?」ということがビジュアルに出ていたんでしょうね。だから、さっきも言いましたが、自分たちで勝手に理由付けを考えていくんです。

 ナルホド君が、頑張り屋さんだから夜遅くまで作業して、そのまま寝てしまう。朝起きると、髪の毛がボサボサだけど、あわてたままで裁判所まで走っていくと風で髪がびしっと決まる。ナルホド君は方向はわからないけどひたすら走っているから、ああいう髪型になったという結論に行き着きました。「なるほど、風か!」と考えて、映画の中での成宮君なりの形ができました。

【まり探】

→次のページでは、好きなシーンについて伺いました。(3ページ目へ)

(C)2012 CAPCOM/『逆転裁判』製作委員会

データ

▼BD『逆転裁判』
■メーカー:バップ
■発売日:2012年8月22日
■希望小売価格:6,090円(税込)
 
■BD『逆転裁判』の購入はこちら
Amazon.co.jp
▼DVD『逆転裁判』
■メーカー:バップ
■発売日:2012年8月22日
■希望小売価格:5,040円(税込)
 
■DVD『逆転裁判』の購入はこちら
Amazon.co.jp

関連サイト