2012年7月19日(木)
セガが運営するオンラインRPG『ファンタシースターオンライン2(以下、PSO2)』。本作のプロデューサー・酒井智史氏のインタビューをお届けする。
『ファンタシースターオンライン2』は、コンシューマハード初となる本格オンラインRPGとして2000年12月に発売された『ファンタシースターオンライン』の後継作品。ネットワークゲームの楽しさや驚き、冒険を再び感じられるゲームを目指して開発されている。PC版の正式サービス開始に続き、iOS/AndroidやPS Vitaでも展開される予定だ。
7月12日発売の『電撃PlayStation Vol.522』に掲載された酒井プロデュサーのインタビュー。その完全版を、電撃オンラインに掲載する。(※このインタビューは7月2日に行ったものです)
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▲『ファンタシースター』シリーズプロデューサー・酒井智史氏。 |
――オープンベータテストでは、早々にキャラクター登録に制限がかけられましたが、予想を上回る規模のプレイヤー数になったのでしょうか?
当初は、各シップに分散してもらうという目的もあり、一時的に登録制限しました。しかし、友人と同じシップで遊べないなどの問題があるため、すぐに解除を決定しましたね。人数は、ID登録が50万以上、同時接続者数のピークは8万人を超えています。1日の平均ログイン人数も約20万人で、こちらが想定していた数を上回る結果になりました。
――それだけの人数が集まった結果、オープンベータテスト初期の通信遅延につながったのでしょうか?
受け入れられるだけのサーバを用意して、プレオープンベータテストでも動作確認をしたのですが、実際にはサーバがそれだけの性能を発揮できなかったというのが一番大きな原因ですね。サーバ強化後は遅延が改善され、快適にプレイができるようになりました。
――やはり、シップ1が一番人数が多いのでしょうか?
シップ1の人数は突出していますね。現在のところ、6~10には余裕があるので、シップの表示順を変えるなどして分散されるようにしました。また、レベル帯にバラつきが出始めてきたので、推奨ブロックを作るなどして同じ目的の人が集まりやすい環境も作りました。(※編注:現在はだいぶ片寄りがはなくなってきているとのこと)
――やり込んでいるプレイヤーも多いですね。
メンテナンスの時間以外は、ずっと接続したままという人もかなりいますね。ちょっとした時間でも遊べる形式のゲームですので、もう少しゆっくり楽しんでほしいな、という気持ちもあります。
――1日1~2時間のプレイだと、ややレベルが上がりにくいと感じる程度のバランスですが、一方でオープンベータテストの期間に30まで上がっている人もいますね。
レベルだけを指標にして遊ぶと、楽しみ方が限定されてしまいがちです。ストーリークエストやクライアントオーダー、プレイヤー間の交流など、いろいろなことを試しながらプレイしてほしいですね。
――7月4日に正式サービスが開始されましたが、オープンベータテストから大きく変わったことはなんでしょう?
一番大きな違いは、アークスキャッシュ(AC)による有料サービスの開始ですね。レベルキャップが40になり、新たなフィールドやクエストも追加されました。
――有料サービスに対する反応はいかがですか?
基本無料という形式を発表する前から、ナーバスな内容に受け取られるだろうと思っていたので、発表の仕方にはとくに気を使いました。すべてのサービスを合計して、「これだけお金がかかる」と言う方もいます。こちらとしては、「必要なものを必要なだけ」という細分化されたニーズにこたえようという考え方なので、すべてを買う必要はありません。オープンベータテストでは、ACが利用できなかったので無料でプレイしているのとほぼ同じ状況でした。その段階でもここまで遊べるゲームなんだということは、実際にプレイした方にはある程度理解されたと思っています。半信半疑の人は、まず1回遊んでみて、それで判断していただけたらいいですね。
――もしも、酒井さんが1プレイヤーとして有料サービスを利用するとしたら何を選びますか?
1つだけだとしたら、間違いなく“プレミアムセット”ですね。マイルームやマイショップといった機能が使えたり、トレードもできるようになります。プレミアムブロックも利用できますし、月額感覚で円滑にプレイができるんじゃないかなぁ。
――有料サービスの項目は、今後も新たに追加されていくのでしょうか?
ボクらにとっても、有料サービスがどれくらいの収益になるのか未知数ですので、しばらくは追加や変更するつもりはありません。企業としては、収益も考えなければならないので、『PSO2』を気に入ってくれたなら、ちょっとだけでいいから有料サービスを購入してもらえればうれしいですね(笑)。
――プレイスタイルはさまざまですが、データとしてはどのような傾向が見られますか?
緊急クエストが発生するとパーティプレイが増えるのですが、普段はソロでプレイする人が意外と多いですね。PSEバーストなどの仕組みがあるので、もっと積極的にパーティを組んでコミュニケーションをとったほうがおもしろくなると思います。作り手側としても、もっとパーティプレイが活発になる仕組みを考えなければいけませんね。もちろん、コミュニケーション中心に遊んでいるユーザーさんもいます。マイルームにメセタをつぎ込んだり、凝ったシンボルアートを作る職人さんなどはスゴイなと関心させられますね。
――マイルームと言えば、ルームグッズはどれくらいあるのでしょうか?
具体的な数字は言えませんが、「こんなにたくさん!?」と言われるくらい用意しています。ルームグッズの1つであるジュークボックスでは、自社のタイトルを中心とした楽曲のコラボもあります。ソニックチーム時代の作品とか、『きみのためなら死ねる』などですね。
――『PSO2』では、こんな遊び方もできるという提案があれば、ぜひ教えてください。
ただレベルを上げる目的だけでプレイをしている人は、もったいないなと思います。マターボードもクライアントオーダーもやらない人は損しているかもですね。マターボードのキーとなるアイテムには、適正レベル帯で役立つ性能のいい武器を設定しています。クライアントオーダーでは、レベルアップに必要な総経験値の40%くらいが獲得できるように調整しました。また、何度も受けられるクライアントオーダーもあるので、そういったものも活用して、いろいろ遊んでいるうちに自然とレベルが上がっていくのが理想じゃないでしょうか。
――マターボードのキーアイテムは、狙っているとなかなか出ないイメージがあります……。
キーアイテムは、かなり出やすく設定してあるので、そんなに大変ではないはずですよ(笑)。
――クライアントオーダーで、パートナーカードをもらえない依頼者にも好感度のアイコンがありますが、いずれ何かに影響していくのでしょうか?
好感度は、パートナーとして連れて行くだけでなく、そのNPCのクライアントオーダーをクリアすることでも上がります。好感度がある程度上がることで、受注可能になるオーダーもありますよ。
――NPCで人気のキャラクターは誰ですか?
連れて行くパートナーとしては、最初に入るアフィンやゼノが上位に入りますが、ユーザーさんの声ではリサが個性的で人気ですね。『ファンタシースターユニバース』では、NPCが嫌いという人がいたりエネミー(モンスター)の名前を間違えられていたのですが、本作ではしっかり受け入れられていてうれしいですね。
――どのような理由で、受け入れられたのでしょうか?
推測ですが、1つはクエストやクライアントオーダーなどで、特定のエネミーの名前を意識する瞬間が増えたこと。もう1つはフィールドでNPCと触れ合う機会が増えたことじゃないですかね。
――NPCと言えば、キャラクターコンテストの大賞になったキャラはいつごろ登場しますか?
8月のアップデート時に、1カ月限定で追加する予定です。クライアントオーダーの依頼者という形でロビーに登場し、すべてクリアするとアイテムがもらえるという形式ですね。コンテストの投票傾向を見ると、カワイイとかカッコイイというイメージは個人の好みがあるので票が伸びず、逆にインパクト勝負のキャラクターが強いという感じでした。
(C)SEGA
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