2012年7月23日(月)
どうも、ごえモンです。電撃オンラインで長期間特集していた、Xbox 360『ルートダブル -Before Crime * After Days-』の発売から1カ月がたちました。そろそろ、たくさんの方がグランドエンディングに到達したことと思いますので……もうそろそろ掲載しちゃってもいいよね?
というわけで、ネタバレ全開の超ロングインタビューをお届けします! 本作の原案・監督・プロデューサーを務めた中澤工さんに、タイトルやパッケージに込められた意味、移植の有無、その他さまざまな裏話を伺いました。実績を100%にしたけど、もう少し『ルートダブル』の世界に浸りたい……。そんなあなたは必読ですよ!
なお、このネタバレインタビューはロングすぎたため、前後編でお届けいたします。設定部分に深く切り込んだ後編は、明日7月24日に掲載する予定なので、そちらもお楽しみに!
※このインタビューは、2012年6月28日に行われたものです。
――まずは無事発売されての感想を教えてください。
マスターアップを迎えた時や発売日を迎えた時もそうだったのですが、「ついにここまで来たな……」という気持ちがまだ続いています。震災以来、いろいろなことがあり発売が危ぶまれることもありましたし、それ以外にもさまざまな逆境やプロジェクトが暗礁に乗り上げるような場面にもまれてきました。イエティさんの担当者とは「マスターアップした時、俺たち泣くかもしれないね。完成させただけですごいことだよ」と話していました。
発売できた後は、意図通りの作品を作れて、それを皆さんの手元に届けられたことが本当にうれしくて。今は、その余韻に浸っているような状態です。徐々にユーザーさんのプレイした感想が出るにつれて、ますますそれを実感しています。
――本作を自己評価するとして、よかったと思う点はどこですか?
感想とも重なるのですが、まず第一に、企画を立ち上げて制作していく過程で、やりたかったことをほぼすべて盛り込めたことです。
今だから言うのですが、公式サイトを停止していた時に、社内やイエティさん、それに日本マイクロソフトさんと何度も会議を重ねました。そもそもこの作品を発売していいのか? 発売するにしても、設定はこのままでいいのか? 設定を変えたら、はたしてそれは作る意味があるのか? 何度も論議を重ねた結果、再開時のコメントでも書いた通り“そのまま作ることに意義がある”という結論に達しました。
メインシナリオライターの月島総記さんにも「このまま作りますが、最悪の場合設定が変わることになるかもしれません」と話していたぐらいの状況でしたので、当初のコンセプトを貫き通せたことが一番よかったですね。
制作を再開した時に掲げた新たなキャッチコピーは、“あきらめない! 本当の君と出会うまで。”でした。この“本当の君”には、さまざまな意味を重ねていました。
1つ目は、“ユーザーの皆さん”。諦めずに、絶対に発売してみせる(ルートダブルと出会わせる)というスタッフの意気込みを表していました。2つ目は、“夏彦”。または“悠里”。Bルートの悠里は、直接夏彦と再会したい。夏彦は、実体の悠里と触れ合いたい。再会を願う、織姫と彦星です。
3つ目は、“渡瀬”。記憶を取り戻した本当の渡瀬を、彼自身もユーザーの皆さんも知りたい。真相を明らかにしたい思い。4つ目は……ここから先は、皆さんで想像してみてください。
▲渡瀬 | ▲夏彦 | ▲悠里 |
――設定を変えることになった場合に備えて、代替となる設定は考えていたのでしょうか?
消去法で代替案を検討しましたね。何に置き換えられるかをまず並べて、そこからどんどん使えないものを削っていくと、本当に“かろうじて現行の設定の雰囲気を継承できる”という代替案が浮かび上がりました。
ですが、代替となる設定を誰に話しても「明らかにグレードダウンしているね」と言われて……。その設定にする作品的なよさがまったくなく、ただ“懸念される物事を扱わなくなるだけ”のメリットしかありませんでした。グレードダウンしていないと言えるアイデアは思いつかなかったので、そのままの設定で発売できて本当によかったと思います。
ゲームは多くの人がかかわって制作されるものですが、『ルートダブル』はいつも以上にいろいろな人から力を貸してもらって、力を結集して作った作品なんです。ゲームって割り切ってしまえばいくらでも手を抜けるところはありますし、及第点さえ越えればお仕事としてはなんとか成り立ってしまいます。でも、そう言わずに最後までみんなが頑張ってくれたことがすごくよかったと思います。全員が同じ方向を向いて力を出し切ったプロジェクトの熱や思いは、ユーザーさんにも伝わっているのかなと感じています。
――自己評価についてですが、逆にやりきれなかったと思う点はありますか?
まず何より、最善は尽くせたと思っています。終わってみれば気になるところがどんどん出てくるものですが、“何ができなかった”よりも“何ができたのか”の方が圧倒的に多い作品になったと思います。そのうえで申し上げるなら、ユーザーの皆さんがプレイして不満に思った部分の多くは、僕自身も次回でもっと気をつけたいと思っています。
――公式サイトではアンケートが実施されていますが、プレイを終えたユーザーさんの反響についてはいかがでしょうか?
アンケートは全員が全員書いてくださるものではないのですが、書いてくださる方の場合、ものすごく情熱がこもった感想が多いんですね。かなりの長文で、1つ1つ読むのにものすごく時間がかかるんです。
アンケートの設問には、本作を点数で評価する部分があるのですが、評価はかなり高いです。それを見て、買って損をするようなゲームではなかったんだなと感じています。もちろん、合わなかった方もいらっしゃるのですが、95%以上の方が5点満点中4点以上をつける高評価をいただいています。5点をつけた方も50%を超えています。
感想に関しても、具体的にどこがおもしろかったとか「こうすればもっとよかったですよ」、「この部分は自分には合わなかったけど、意図はよくわかっています」とか……。アンケートと言うよりは、ちょっとしたレビューになっているんです。今回のアンケートのシステムには文字数制限がなかったので、自由記入欄に500文字以上の長文を書いている人が多数いて、中には3,000文字くらい書いた方もいましたね。
なので、皆さんの意見を吸い出して公式サイトで紹介しようと思っていたのですが、あまりにも長くてまとめられないんです。ところどころつまんでも真意は伝えられないので、どうしたらいいのか考えています。僕らも熱意を持って作品を作りましたが、それをプレイした皆さんも熱意を持って返してくれるのは本当にうれしいですね。
(C)イエティ/Regista
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