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2012年8月22日(水)

まどかたちの大事な設定が決まるキッカケだった? 『鴨川デイズ』の魅力を総監督・佐藤竜雄氏に聞いてみた!

文:電撃オンライン

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――『輪廻のラグランジェ』全体のお話も伺っていきたいのですが、ずばり『輪廻のラグランジェ』作品全体のテーマとはどういうものなのでしょう?

 テーマは“宇宙を何で計るか”です。何かを計るといった時、主人公が男性だと正義や秩序といったものに頼りがちなのですが、主人公が女性だと自分の内にある基準で物事を計ることができると考えたんです。その内なる基準で、宇宙という壮大なものをどのように計るのか? というのが大きなテーマになります。

 事実、まどかって人の話を聞かないで自分の基準で物事を進めていますよね(笑)。そんな彼女が宇宙という舞台に飛び出した時、どこまで行けるのかを楽しみにしてもらいたいです。そのせいもあって、この作品では周囲にいい大人がいて彼女たちを導くということはしていないんです。この作品の大人たちは、どちらかというと手をこまねいています。それは、大人という枷(かせ)を外すことで、彼女たちが自分の基準でどこまで行けるのかをより深く描くためなんです。

――佐藤総監督は、これまでにも宇宙を舞台にした作品を数多く手がけられていますが、総監督にとって“宇宙”という舞台にはどのような魅力があるのですか?

 ビジュアル面の壮大さというものはもちろん魅力としてあると思います。ただ、それ以上に自分の存在確認を描きやすいというのは大きな魅力ですね。宇宙というと重力もなくて空気もなくて、一見枷がないように見えませんか? そうした空間で自分にどうやって枷を作るかと考えた時、最終的に自分の内面を描くことになると思うんです。ただ、素直に内面を描いてしまってもそれはそれでつまらなくなってしまう。内にばかり押し込むのではなく、前へ進み広がっていくというテーマを象徴的に描けるのが宇宙という舞台の魅力なんだと思います。

――舞台と言えば、『輪廻のラグランジェ』には“鴨川”という実在の舞台も大きな存在だと思います。なぜ鴨川を選ばれたのですか?

 漠然と外房を描きたいなと思ったんです(笑)。相模湾とか静岡県あたりのおとなしい場所もいいのですが、外房の海の荒々しい感じもたまにはいいんじゃないかと思ったのがキッカケですね。その中で、鴨川は都心である東京に出るまで約2、3時間という絶妙な距離の場所というのも舞台に選んだ理由の1つです。主人公のまどかは高校生なので、外出するといっても東京まではなかなか足を伸ばさない。でも、宇宙には行っちゃうというギャップがおもしろいかなと(笑)。そして、まどかがやってきた鴨川はすごいところなんだと宇宙人が勘違いする(笑)。そうしたさまざまな要因がうまくまとまるのが鴨川だったので、今回舞台に選ばせていただきました。個人的に、昔ハレー彗星を見に行った場所で思い入れがあったという点も理由の1つですね。

――石原さんたちキャストの3人からも質問を頂戴してきました。まずは、ラン役の瀬戸麻沙美さんからの質問です。

瀬戸さん『輪廻のラグランジェ』の色使いがすごく好きなのですが、なぜメインの3人が緑と青とオレンジに決まったのでしょうか?

 実は『輪廻のラグランジェ』は、ロボットデザインありきで始まったアニメなので、キャラクターのカラーはロボットの色に合わせて決定しているんです。そのせいもあって、まどかなら主人公なのに緑という一風変わった色合いになっているんです。ただ、緑なら緑で濃い緑なのか淡い緑なのかという部分については、キャラクター原案の森沢さんたちと相談して、さまざまな背景に乗っけていく中で一番マッチするカラーを選んでいきました。

――次にまどか役の石原夏織さんからの質問です。

石原さん今、好きなキャラクターは誰ですか?

 好きなキャラクターと言うと、男性はたいがいようこが好きだって言うんです(笑)。多少ヤンキーが入っているくらいが魅力的なんですよ。いや、3人娘ももちろんカワイイんですよ? でも、女性キャラクターで誰が好きかって言ったら、ようこですよね。

――ちなみに、男性キャラクターでは誰が好きですか?

 ベタですけど田所ですね。浩もいいけど、なかなか活躍の場がありませんからね。男性キャラクターなら、田所かモイドに落ち着くんじゃないでしょうか。モイドは、演じている興津さんが毎回「僕はいつ死ぬんですか?」って聞いてきてかわいそうなので、ちょっと感情移入してしまっているのかもしれませんが(笑)。

――最後はムギナミ役の茅野愛衣さんからの質問です。

茅野さんでは逆に、苦手なキャラクターを教えてください!

 う~ん、横にランがずっといるのはイヤですね。気持ちが沈んでいくというか、しょっちゅう励ましてあげないといけなさそうで(笑)。最初は高貴なお姫様だったはずなんですけど、いつの間にかヘタレキャラになってしまいましたね(笑)。

――では、最後に電撃オンラインの読者にメッセージをお願いいたします。

 season2では、まどかたち3人の先輩として登場するユリカノに注目してもらいたいです。彼女がつける“あるケジメ”を見て、3人が何を考えるのかという点を見逃さないでください。また、先ほどのテーマでもお話しましたが、宇宙という広大な世界、そしてポリヘドロンという壮大な歴史を築いてきたものに、これまで好きに生きてきたまどかの理屈がどこまで通用するのか。そこにも注目して見ていただけると、この作品の本当に伝えたいものが見えてくると思います。まずは『鴨川デイズ』でゆったりとしてもらって、この先の展開を楽しんでください。

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データ

▼『輪廻のラグランジェ -鴨川デイズ-』GAME&OVA Hybrid Disc
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:PS3
■ジャンル:ETC
■発売日:2012年8月23日
■希望小売価格:7,980円(税込)
 
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