2012年8月27日(月)
新作旧作問わず、さまざまなミステリー・ホラー・サスペンス系のアドベンチャーゲームを紹介していく“まり蔵探偵事務所”。今回は、7月26日にスパイク・チュンソフトから発売されたPSP用ソフト『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園(以下、2)』の開発スタッフに、所長のまり蔵がインタビューを行いました。
『スーパーダンガンロンパ2』は、7月26日にスパイク・チュンソフトから発売されたハイスピード推理アクションゲーム。2010年11月に発売されたPSP用ソフト『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生(以下、1)』の続編にあたります。今作の舞台は、リゾート地として有名な南の島・ジャバウォック島。この島に閉じ込められた生徒たちが、島から脱出するために学園長のモノクマからコロシアイを仕向けられるというストーリーになっています。
今回は、本作のプロデューサー・寺澤善徳さん、アソシエイトプロデューサー・齊藤祐一郎さん、ディレクター・菅原隆行さん、シナリオライター・小高和剛さんにお話を伺いました。シナリオやシステム、グラフィックについて話していただきましたので、すでにプレイしたという方はぜひご覧ください。少々ネタバレを含んだ内容となっていますので、未プレイの人は注意してくださいね。(インタビュー中は敬称略)
▲左から小高さん、齊藤さん、菅原さん、寺澤さん。 |
――まず、『スーパーダンガンロンパ2』の開発を終えられた現在の心境を聞かせてください。
小高:一生分働きました(笑)。
菅原:やっと終わったなという気分でもありますし、もっとやりたかったなという気持ちもあります。ただ現時点でできることは、すべてやり切ったと思っています。
――前作の評価が非常に高く、その続編ということでプレッシャーを感じたことはありましたか?
小高:プレッシャーはありました。特にシナリオは、前作と比べられる部分が多いですし。続編を作るというと、前作と同じように作る場合とガラリと変えてしまう場合の2つがあると思うんですね。『2』を『1』と同じように作ろうとしたなら、「『1』よりよくしないと」って、よりプレッシャーを感じていたと思います。でも『2』は最初からガラッと変えていこうと決めていたので、『1』と『2』は別物のように考えていました。最終的に完成させて最後までプレイしてみたら、結果的に『2』は『2』のよさを出すことができたと思っています。
寺澤:僕が開発スタッフたちに言っていたのは、「必ず賛否両論あるよ」ということです。前作からの期待感は絶対あるので、ユーザーさんが次に望むものはそれぞれ違う。それに応えることができれば「よくやった」と言われるし、その人が望んでいたものではなかった場合は「なんか違う」と言われることはわかっていました。ただ、それを気にしていたら何もできないので、それならば自分たちが作りたいものを愚直に作っていこうと。
菅原:変えるプレッシャーは常に感じていました。前作から変えたことがよい方向へ転ばなかったらどうしよう、というプレッシャーはありましたけど、そんな大きなプレッシャーではなく、どちらかというと“ドキドキする”って感じでしたね。
齊藤:“前作を絶対超えないといけない”と一番感じていたのは、プロデューサーの寺澤だったと思います。僕はわりと楽観的なので、前作の不満点を改善して、さらに要素を追加していけば、前作を超えないわけがないだろうと思っていました。
小高:結局『ダンガンロンパ』の制作チームは、自分たちがおもしろいと思ったものを作っていくチームなので、『1』と比べてというよりは、自分の感性が正しいかというドキドキ感ですよね。だから、『1』を作っている時と同じプレッシャーだったと思います。『1』の時も、「ゼロからの立ち上げで、できる! できる! ってみんなには言ったけど、俺は本当にできるのか?」というプレッシャーはありましたし、『2』もそれと同じドキドキ感でした。あとは、『1』の時は社内くらいでしか「大丈夫?」という声は上がりませんでしたが、『2』になったら『1』をプレイしたいろいろな人から「続編を期待しているよ」って言われたことですかね(笑)。
――なるほど、期待する声の規模が大きくなったと。では、前作をプレイしたユーザーの意見を受けて、今作で改善した点はありますか?
菅原:細かいところだと、学級裁判パートのリザルトをなくしたところですね。前作をプレイした方から、「あの部分がゲームのテンポを削いでいる」という意見をたくさんいただきまして。開発でも認識していた部分ではあったんです。今回、あのリザルトを削って最後にひとまとめにしたことで、学級裁判がテンポよく進むようになりました。
“ノンストップ議論”でも細かい調整を行いました。装填された言弾(コトダマ)の数を数字で表示したり、前作では言弾を撃った後に照準を動かせなかったんですけど、撃った直後でも動かせたり、そういった細かい調整はたくさん入っています。
小高:難易度を章ごとに選び直せたり、クリア後にキャラクターの親密度だけを上がられるモードを追加したのも、ユーザーさんからいただいた意見がきっかけです。今回、アクションだけでなく推理もある程度は難しくしているので、推理に自信がない方は難易度を“ヤサシイ”にしたほうがいいかもしれません。
――寺澤さんに伺いますが、発売前のプロモーションで注意した点や工夫した点がありましたら教えてください。
寺澤:注意した点は、ネタバレに尽きますね。ネタバレをしないようにすると、記事で紹介してもらう際に使ってもらえるイラストや画面写真が少なくなってしまうんですよ。特にイラスト素材は最後の最後にならないとそろわないので、2011年の夏に『2』の制作決定に関する発表をしてから次の情報が出せるようになるまで、すごく時間が空いてしまいました。これは、出せる素材がなかったせいです。ただ、最後に素材が一気に上がってくるのはわかっていたので、今回は短期集中型のプロモーションで、発売2~3カ月前から発売日に向かって一気に盛り上げるという施策を打ちました。
――『1』の時は、本編には登場しないフェイク用の絵素材を用意されていましたが、今作もそういった素材は存在したのでしょうか?
寺澤:用意はしました。どれとは言いませんが(笑)。そういう工夫もしつつ、前作とは異なるプロモーション展開を行いました。
――シナリオを書く過程で、小高さんが描きたかったことや気をつけたことを教えてください。
小高:絶望と希望、コメディとシリアスの“大きな振り幅”が『ダンガンロンパ』の大きな特徴だと思うので、その特徴をより伸ばそうと気を遣いました。あとは、主要キャラクター16人全員に、それぞれ見せ場があるような形にしたことですね。
――シナリオを書く上で苦労した点は?
小高:苦労したのは、やはりトリックの部分です。いろいろと制限がありつつ、『1』とは違った要素を入れたいと思っていたので。
寺澤:一時期、「もうネタがない! 枯渇した!」って天を仰いでいたよね(笑)。
小高:最終的にプランナー全員で考えながら、なんとかしましたよ(笑)。
――そういえば、『トワイライトシンドローム』が作中のトリックに使用されていましたね。
小高:今作では“ゲーム内ゲーム”を取り入れたいなと思っていまして、まず『トワイライト』を出すことを前提に、そこから細かい部分を決めていきました。ただ、若い『ダンガンロンパ』ユーザーの方で『トワイライト』を知っている方がどれくらいいるのかなって、ちょっと心配はしましたけどね(笑)。
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