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2012年10月11日(木)

『マリーのアトリエ』にちょっぴり嫉妬!? 『マール王国の人形姫』の裏話も飛び出した音楽制作秘話を公開【電撃日本一】

文:電撃オンライン

 この“新川社長インタビュー”は、日本一ソフトウェアの設立20周年を記念する特設ページ“電撃日本一ソフトウェア”の連載コーナー。2013年の7月までの長期間にわたって、社長である新川宗平氏にさまざまな話をお聞きしていく。

 第7回目となる今回は、前回に引き続いて『マール王国の人形姫』についてクローズアップ。『マール王国の人形姫』がミュージカルRPGとして制作された経緯と、日本一ソフトウェアのゲームの音楽を数多く担当してきた音楽家・佐藤天平さんとの出会いについてお聞きした。


“電撃日本一ソフトウェア”

日本一ソフトウェア 代表取締役社長 新川宗平

 1996年に日本一ソフトウェアに入社後、営業、広報、開発と、さまざまな分野でゲーム制作に携わる。多くのタイトルのプロデューサーを務めながら、『魔界戦記ディスガイア』などではシナリオを執筆。2009年7月に同社の代表取締役社長に就任したのちも、『絶対ヒーロー改造計画』のシナリオを執筆、『魔女と百騎兵』のプロデューサーを務めるなど、ゲーム制作の現場に立ち続ける。


■ミュージカルRPGの発想の原点はディズニー映画だった!

――『マール王国の人形姫』は日本一ソフトウェアとして初となる本格的なRPGでした。どのような流れで、開発を進めていったのでしょうか?

新川:当時、ゲーム業界においてRPGは花形のジャンルでしたが、我々の会社の規模では、まだ手を出すのが難しいと考えていました。そうして我々がパズルゲームで苦戦をしている中、ガストさんがPSで発売した『マリーのアトリエ』で大成功されたんです

 当時のガストさんは、当時の我々の会社と同じくらいの規模だったのに、ちゃんとしたRPGの制作にチャレンジして、そしてユーザーさんに絶賛されました。それを見て、我々の努力不足をとにかく痛感しましたね……。「やっていないだけで、自分たちにも必ずチャンスがある。いち早く行動を起こしてチャンスをつかんだからこそ、ガストさんは成功されたんだ」と、かなり意識しました。その悔しさが、本格的なRPGの制作へとつながっていきました。

――演出としてミュージカルを採用したのは、なぜだったのでしょうか?

新川:当時の日本一ソフトウェアは名も知れぬ会社だったので、なんらかの独自性を出さないと見てもらえない状況でした。だから、『マール王国の人形姫』の企画がスタートした時から、何か突拍子もない要素が欲しいと思っていたんです。

 ゲームって、システム以外にグラフィックやストーリー、音楽、声といったあらゆる要素が全部詰め込まれた総合エンターテインメントですよね。私はその中でも、音楽が与える影響がとても強いと思っていたんです。

 それをあらためて確信したのが、ディズニーの映画を見た時でした。ディズニーの物語って音楽と強く結びついていて、それがより互いのよい部分を伸ばしていますよね。

 じゃあ、日本一ソフトウェアでも音楽を大切にしたゲームを作ろうじゃないか! と思い立ち、かつ、音楽を最大限に目立たせるには何をすればいいかと考えて、ミュージカルという発想に至りました。

――『マール王国の人形姫』は、音楽に合わせて動くキャラのドット絵のクオリティが高かったです。

新川:あれは、うちの職人たちがとにかく頑張ってくれました。ミュージカルシーンでは、視覚的にも楽しんでもらいたかったですからね。

――その続編の『リトルプリンセス マールの人形姫2』もすごかったですね。グラフィックもドット絵の動きもグンとパワーアップしていました。

新川:ストーリーは1作目のほうが評価が高いんですが、ミュージカルイベントは2作目のほうがいろいろとできました。1作目の経験を生かして、あらかじめ“キャラクターの動きは村人1人1人に至るまで細かくつけよう”という計算を立てられたのが大きかったですね。

――『マール王国の人形姫』の音楽は、のちに多数の日本一ソフトウェアのゲームの音楽に携わる佐藤天平さんが担当されました。出会いのきっかけは、どんな流れだったのでしょうか。

新川:ミュージカルにすると決めたあと、ディズニーのような雰囲気の曲が作れる人を捜しました。知り合いのサウンド制作会社やコーディネイターに話を持って行ったところ、紹介されたのが佐藤天平さんだったんです。

――紹介された段階で佐藤さんに作ってもらおうと即決したのでしょうか?

新川:まず、佐藤さんに1曲作ってもらえますかとお願いしました。“本当にミュージカルという形でゲームが成り立つのか?”、“イメージにぴったりの音楽を作っていただけるのか?”など、すべてが手探りの状態だったので。

 こうして作っていただいたのが、オープニングの曲だったんです。聴いてみたら、まさにミュージカルといった雰囲気で、佐藤さんにベタボレしてしまいました(笑)。

 佐藤さんには、日本一ソフトウェアの黎明期で一番苦しい時に支えてもらいましたし、実力も高い方なので、我々の主力タイトルではその後も頻繁にお願いしています。

“電撃日本一ソフトウェア” “電撃日本一ソフトウェア”
▲新川社長がほれ込んだというオープニング曲『いつか会える、きっと会える』。コルネットとクルルのかけ合いの模様や、コルネットの代名詞でもある、“女は行動力”という言葉が登場する。

――1作目だけで10曲以上ありますが、スケジュール的に大変ではなかったんでしょうか?

新川:もちろん大変だったと思いますが、『マール王国の人形姫』の企画自体は『炎の料理人クッキングファイター 好』より先にスタートしていましたし、佐藤天平さんがかなり計画的にスケジュールを守ってくれる方だったので、実はゲーム開発で一番順調だったのは音楽でした(笑)。


【次回のインタビューは10月25日掲載予定】


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