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2012年10月3日(水)

手軽な開発から幅広いソフトが生まれてほしい――本日始まるPlayStation Mobileについて桐田富和氏が語る

文:電撃オンライン

 本日10月3日より、SCEがサービスを開始したPlayStation Mobile(以下、PSM)。開始に際して、パブリッシャー&ディベロッパーリレーションを担当するSCEJのシニアバイスプレジデント・桐田富和氏にインタビューを行った。

PlayStation Mobile

 PSMは、PS Vitaに加えて、スマートフォンやタブレットなどで、プレイステーションの世界を楽しめるようになるサービス。PlayStation Storeにアクセスして、さまざまなゲームを購入・ダウンロードできる。展開は日本をはじめ、アメリカやイギリスなど、9カ国で行われる。

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▲桐田氏は、“ゲームやろうぜ!”の発起人として、ゲームクリエイターの卵を発掘して、プロクリエイターへの門戸を広げた実績を持つ。

 桐田氏には、いよいよスタートしたPSMについて質問。審査についてやPlayStationらしさ、サポートについて語ってもらった。

――いよいよサービスが開始になりますね。

 世界9カ国でスタートし、日本国内では27タイトルがリリースされます。日本のパブリッシャーが手掛けたものは、12タイトルあります。

――まだ知らない人に向けて、PSMを改めて説明していただけますか?

 PS Vita、スマートフォン、タブレットにて、Sony Entertainment Networkのアカウントを持っているユーザーであれば、さまざまなタイトルをPS Vita、スマートフォン、タブレットというマルチデバイスで楽しめるというものです。タイトルは、PSのクオリティのソフトや手軽なものまであります。作り手の目線だと、シングルバイナリで、マルチデバイスで遊べるタイトルを作れるというよさがあります。

――前身となったPlayStation Suiteについて聞いたのは、いつごろでしたか?

PlayStation Mobile

 2年くらい前ですね……内情は話せませんが、そこから紆余曲折ありました。過去に出たPlayStationの優良コンテンツを配信しようという案もありました。しかし、ユーザビリティを考えると、それをそのままPSMで出すのは難しい。そこに関しては、PS Vitaでアーカイブでカバーするようにしました。

――中心になるのは、簡単に遊べるゲームなのでしょうか?

 5分遊んで終わりというのもあれば、じっくり遊べるものもあります。個人的には、『ユーフロリア』に結構ハマりました。アーティスティックな作品なんですが、おもしろいですよ。あとは、iアプリで出ているものですが『Magic Arrows』は秀逸です。バラエティに富んでいると思いますね。他には『Wipe!』も、笑えて楽しいです。

――SCEとしては『みんなのミニゲーム』と『クルトン』が配信されますね。

 そうですね。今後も予定はしているので、楽しみにしてください。

PlayStation Mobile PlayStation Mobile
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▲気軽にミニゲームを遊べる『みんなのミニゲーム』(写真左)と、キューブを回転させて数字をそろえる『クルトン』(写真右)。どちらも本日から楽しめる。

――東京ゲームショウ2012に出展されていましたが、どのタイトルが人気でしたか?

 『快感足つぼマッサージ』と『ユーフロリア』が人気でした。方向性はまったく逆なタイトルなので、不思議です(笑)。

――PlayStationファミリーでないデバイスで楽しめるこのサービスですが、“PlayStationらしさ”はどのように入っているのでしょうか?

 最終的にはコンテンツが決めることだと思っています。PSMでどういうコンテンツがリリースされるかにかかっていますね。サンデープログラマ(※仕事以外でプログラムをする人)を含めてクリエイターに対しては、いろいろな人たちがたやすくダウンロードできるので、ゲーム開発に一歩踏み出せることをアピールしていきたいです。

 我々からすると、iアプリやAndroidで出ているソフトは秀逸で、それをPSMで遊べるのも1つのよさですが、PSMとしてのユニークなコンテンツが出てきてほしいです。いままでゲームを作ったことがないような人だったり、学生だったりが考えるおもしろいものがPSMでドンドン出れば、PSMの価値だし、PlayStationのDNAの1つだと思います。

――手軽に作れることを生かした広がりですね。生まれたソフトを活用することはあるのでしょうか?

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 考えています。例えば、無名だった人がPSMで何かのコンテンツを出して、光っているものがあれば、SCE側としてはそれをPS Vitaで作ってみるというきっかけ作りにもなる。もちろん、それだけの目的にやっているのではないですが、昔で言うところの“ゲームやろうぜ!”や“PlayStation C.A.M.P!”のようなクリエイターの登竜門になったらおもしろい。そういうマインドも1つあるので、良作を発掘できればいいですよね。

 ポイントとなるのは、開発キット・PlayStation Mobile SDKをダウンロードしている開発者の中で、コミュニティがすでにできていることです。その中では、プログラムはできるけどグラフィックを書けない人がグラフィッカーと手を組んだり、ツールを欲している人にオススメを紹介したりという、流れを作ることが可能です。そういう新たな可能性・おもしろさが埋まっています。なお、11月にはディベロッパーポータルがオープンする予定です。

――RPGを始めとする、容量が多いしっかりとしたゲームも配信できる?

 全然可能です。あとは、“Free to Play”も可能ですね。ソーシャル的なコミュニティも用意していくので、そういうタイトルもアリです。

――審査やタイトルコントロールはどうなっているのでしょうか?

 企画審査はやりません。一定の規定を守っていただくというような形でやろうと思っています。CEROはありませんが、PlayStation Storeで販売する前に、年齢の基準は社内のガイドラインを持って対応します。比較的自由な環境で、作りやすい流れで行っていく予定です。クリエイターが作るための壁は、そんなに高くないと思います。

――開発者を支援することはあるのでしょうか?

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 コミュニティでは、われわれもサポート役として入っていきます。あとはツールですね。「このツールを使えるようにして」というのは、逐一進めています。作りやすい環境は積極的に作っていき、コミュニティをサポートしたいと考えています。

――ソフトの配信日は決まっているのですか?

 決まっていません。基本的に、全世界同時にリリースされます。ただ、日付なのか曜日なのかを決めた方が、ユーザーさんがわかりやすいとは思っています。

――値段が50~850円(税込)ということですが、これは開発者が決めるのでしょうか?

 そうです。我々はあくまで仕入れのようなイメージで、すべてお任せになります。レギュレーション上はゲームに限らず、ツールも配信可能です。

――どうやっていこう、どうなってほしいというビジョンはありますか?

 まだインストールベースで考えると小さいのですが、こないだ発表したようにシャープさんと富士通さんも加入します。ハードウェアが増えていく過程で、Android OS上に乗っている新たなプラットフォームとして、新たなタイトルが出てほしいです。その上にあるユニークなゲームが出ていけば、1つ目の成功。

 そこが皮切りとなり、開発チームだったり会社だったりがさらに加わり、大きなステップになればいいと思います。そのためには、PSMのインストールがもっと増えなくてはいけないので、我々も頑張ってアピールしていきたいと思います。

(C)2012 Sony Computer Entertainment Inc.

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