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2012年10月3日(水)

『バイオハザード6』リレーインタビュー第3弾でプランナーチームが語ったシナリオを軸とした作り方――ユーザーごとのスタイルを楽しんでほしい

文:電撃オンライン

 カプコンから、10月4日に発売されるPS3/Xbox 360用ソフト『バイオハザード6』。ソフトを開発したプランナーチームへのインタビューを掲載する。

『バイオハザード6』

 本作は、武器やアイテムを駆使して極限状態からの脱出を試みるサバイバルホラー『バイオハザード』シリーズの最新作。これまでのシリーズに登場したレオンとクリス、エイダに加えて、新たな主人公ジェイクの物語が描かれる。

 インタビューは、本作についてさまざまなセクションの開発スタッフに多面的に語ってもらうというリレー形式で実施。今回の記事では、佐々木栄一郎ディレクターに加えて、リードプランナーの田岡次郎さん、プランナーの山下宏さんとモワンヌ秀明さんに、シナリオの作り方やプレイする際の操作性、ゲームシステムなどについてお聞きしている。

『バイオハザード6』
▲左から田岡さん、山下さん、モワンヌさん。3人の左側には、佐々木さんが座っている。

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■合宿と数百時間に及ぶ合宿から生まれる重厚なシナリオ

――まず1人ずつ、『バイオハザード6』における役割の方を教えていただけますか?

田岡:ゲームデザイナーのリーダーをしています。ステージやシステムから、全体の構成を見ています。最初からチームにいて、これまでは『デッドライジング』や『5』をやっていました。

山下:シナリオを組み上げて、外部のライターさんも交えて構築していきました。また、全体を通して、スクリプトを担当しています。

モワンヌ:ゲームデザインをやっています。主に敵と戦闘まわり、ステージの数カ所を作っていました。

――まずは物量についてお聞きします。これまでのシリーズだと主人公は2人程度なので、7人いる本作は単純計算でも3倍以上ですよね?

山下:そうですね。これまでは主人公が2人でもシナリオは1つということが多かったので、3倍以上あります。ボリュームがとにかく多かったので大変でしたが、外部のライターさんとも何百時間も話し合いをして、物語を作りあげていきました。

――シナリオは、全体の作業工程の中では前半部分にあたるのでしょか?

山下:物語を作るという部分に関しては前半部分ですが、開発の後半になってもインゲーム中でキャラクターがしゃべる際のセリフを考える必要があるので、多岐にわたりますね。最初から最後までストーリーを追いかけていきます。

『バイオハザード6』

――本作では群像劇を採用していますが、群像劇にすることが決まった段階でシナリオの本数は決まっていたのでしょうか?

佐々木:本数に関しては、悩んだところです。小説を作るわけではなくて、ゲーム的な要素が入っているシナリオである必要がある。そこは田岡に「何本までいける?」と聞いたら、「3本が限界ですね」と返ってきたので決めました。

田岡:確かに最初は3本でしたね。でも限界を超えて、4本になりました。

(一同笑)

田岡:シナリオが複数あることに対して「複数本あると中途半端になる。1本ちゃんとおもしろいものを作る方がいいのでは?」という意見は、内部からもありました。

 ただ、そうではなくて「シナリオ1本ごとに起承転結があり、おもしろいものにしたうえで、2本目のシナリオをプレイし時にはまったく違う、鮮度のあるものにしたい」と佐々木は考えていました。

――鮮度のあるものにするために、具体的にどういうことをしたのでしょうか?

田岡:シナリオごとに色をつけて、それぞれをおもしろいものにしました。1本目と2本目では違う味わいがあるのでおもしろくて、1回遊んだシナリオに立ち返ると、新たな発見がある。やればやるほど、おもしろさや発見のある仕込みは大量に入れています。

――シナリオにかかわっていて、今までの作品と違ったところはどこですか?

『バイオハザード6』

山下:途中で主人公たちが交錯する“クロスオーバー”があるとはいえ、4つの独立したシナリオを作っていかないといけないことです。制作していくうえで外部のライターさんと話し合い、今までにない作り方を求められるという点では難しかったですが、作りあげていく過程は楽しみながらやっていけたと思います。

佐々木:シナリオはシナリオで、ゲームはゲームという、それぞれ独立で進行していくことはよくあるのですが、本作『6』の場合、クロスオーバーを含めてすべてのシステムがシナリオにリンクしているんです。シナリオのミーティングは本当に何百時間もやっていて、自分が参加しているのだけで200時間を超えていました。

――それはすごい量ですね。

山下:自分が参加しているミーティングは、その倍はいくと思います。

佐々木:シナリオのミーティングには、田岡をはじめ、他のセクションの人間も参加しています。物語としておもしろいだけでなく、ゲームに落とし込んだ時におもしろいかどうかを、その場で決定するためです。いちいちゲームの話が出てくるので、外部のライターさんも初めての経験だったと思います。

――確かに、あまり聞かない手法だと思います。

佐々木:最初に、とある場所でシナリオを固める合宿をやったんですが、いろいろなセクションの人間が集まりました。1カットの演出の話なのに、そこにもゲームの話が入ってくる。やり方としては新しくて複雑なやり方をしました。

――どれくらいの期間、合宿されたんですか?

『バイオハザード6』

山下:2泊3日です。ディレクター、プロデューサー、外部の演出の人を含め、10数人が同じ場所に集まっていました。

佐々木:回答のイメージだと、1週間とかを期待されていたのかもしれませんが(笑)、その場所は2泊くらいでした。しかし、先ほどからも出ているようにその後も打ち合わせは何度もしています。合宿では、カットシーンのカメラを担当してくれる監督さんも招いて、シナリオを固めながら、どういう絵になるのかを含めて話しあいました。

田岡:こういう風になってゲームが流れて、クロスオーバーはこういう感じという大枠は合宿の前に決まっていたので、その流れを見ながら「ここではこういうセリフを言うよね」とか「ここはアクションをやってほしい」という見せ方と遊ばせ方を構築していきました。あとは『バイオハザード』なので、今後もシリーズが続いていくうえで、いままでのシリーズのファンの期待を裏切らないために、気を引き締めましたね。

次のページでさまざまな角度から語られるシナリオについて迫る!

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