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2012年10月27日(土)

【Spot the 電撃文庫】チームになって1つの目標をなしとげる話を――『アニメアライブ』の秋傘水稀先生を直撃

文:電撃オンライン

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第56回となる今回は、『アニメアライブ』を執筆した秋傘水稀先生のインタビューを掲載する。

『アニメアライブ』
▲わだぺん。先生が描く『アニメアライブ』の表紙イラスト。

 本作は、「心に残るような素敵なアニメーションを自分たちの力でつくりたいっ──!」という夢に向かって頑張る個性豊かな少女たちの姿を描いた青春ストーリー。姉に頼まれ、自主制作アニメの企画・脚本を担当することになった大学生・真田慶介(さなだ けいすけ)。緊張しながら秋葉原にある制作室を訪ねてみると……他の制作メンバーは、女子高生ばかり! 日本のアニメに憧れてドイツから来日したアンネ、引っ込み思案ながら一生懸命の倉持奈菜(くらもち なな)、そしてプロの声優をめざす強気な観前朱(みぜん あか)。

 秋傘先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 本作は第18回電撃小説大賞に投稿した作品を改稿したものです。キッカケは特に思い当たらないですが、前々からキャラクターたちがチームになって1つの目標をなしとげる話が書きたいなと思っていました。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 チームという点です。アニメ制作は共同作業。主人公たちがヒロインたちの能力をどう生かすか、逆にどう生かされるか、チーム制作という場面に重点を置きました。そしてアニメ制作の場面は、メンバーの女の子たちと楽しく、真剣に、時に悩んで、といった感情を詰め込みました。また、アニメ制作の流れなど、1つのアニメ制作チームの裏側を見ることができるところです。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 物語の見せ場・盛り上げ方には悩みました。バトルものだったらバトルを見せ場に持っていけばいいのですが、制作系の話はどうしても静的なので盛り上げるのが難しいです。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 初稿にかかった期間が1カ月半から2カ月ぐらいだったと思います。そこから推敲に時間がかかり、結局最終稿を出せるまで半年近くかかりました。遅いですね。反省してます。

――執筆中の印象的なエピソードはありますか?

 執筆中はむさぼるようにアニメを見ていました。そのおかげで睡眠時間がガリガリけずられました。中でも『銀河英雄伝説』は原稿を忘れるほど大ハマりして、“ライター、還らず”状態でした。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 アニメを題材にするなら、外国人をヒロインに据えようと考えていました。その理由は遠回しの説明になりますが……。私が高校生のころ『プラネテス』というアニメを好きで見ていたんですけど、友人にそのアニメの話を振ると「もう高校生なのにアニメ? アニメは卒業だろ」的なこと言われて、日本はアニメが盛んですが、どこかで子どもが見るものと認識があるのかなーってしょんぼりしてました。

 そんな中、海外における日本のアニメ人気は非常に高く、大人になっても海外の方は「アニメが好き!」と、好きなことを好きって表明できるところが誇らしく見えました。そういう部分にひかれて、ヒロインの1人、アンネをドイツ人にしました。他にも外国人にした理由はいくつかありますが、理由の1つがそれです。

――特にお気に入りのシーンはどこですか?

 物語の序盤に、ヒロインが好きなアニメを列挙していくシーンがあるんですが、主人公も「子どものころに俺もそのアニメ観てた観てた」とアニメ談義に花を咲かせるシーンです。地味で短いシーンですが、書いてて自分の子どものころを思い出したので結構気に入っていたりします。

――今後の予定について簡単に教えてください。

 プロローグで登場した主人公の元相方が登場する予定です。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 あまり今流行っている言葉を使わないってことです。時間が経って読み返した時に、流行的な言葉が廃れたら作品まで古くさく感じてしまいますので。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 ファミレスへ行って、ノートを広げてアイデアが出るまでにらめっこしています。家の中でアイデアを出すってことは減りました。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 映画『クール・ランニング』。熱くて、笑えて、泣けて、チームの素晴らしさを教えてもらって、最高の作品です。

――現在注目している作家・作品は?

 ライトノベルだと、和泉弐式さんの『VS!!』。山形石雄さんの『六花の勇者』。漫画だと、倉田嘘さんの『百合男子』です。

――今熱中しているものはなんですか?

 アニメだと少し昔の作品ですが、『人造昆虫カブトボーグV×V』ですね。なんだこれは……! の衝撃から始まって気付けば夢中になっていました。あとはトレーディングカードゲームのブースター・ドラフト。カード選びから戦いがはじまっていて、あの戦う前から戦いが始まっている感と頭を使うのが好きです。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 一時期にくらべてゲームはやらなくなってしまいましたが、DS用ソフト『ポケットモンスターブラック2・ホワイト2』は手に入れました。高校時代の友人と一緒にやっていて、私はブラック、友人はホワイト。今は一緒にハイツリーのレベル上げしてます。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 日本に生まれた私たちにとってアニメはとても身近なものです。しかしアニメを制作する裏側はあまり知られていないように思います。共同制作が基本のアニメ制作は、大変だったり、熱くなれたり、泣きたくなったり、いろんなドラマが詰まっています。そして、みんなで何か1つのことをなしとげるってのはいいもんだぜ! という思いを詰め込みました。アニメ制作に夢中になるキャラクターたちの姿に、何か心に響くものがあれば幸いです。

(C)秋傘水稀/AMW
イラスト:わだぺん。

データ

▼『アニメアライブ』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年10月10日
■価格:620円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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