2012年12月22日(土)
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第61回となる今回は、『彼女はワロスの盟主さま はじめての天下逃一』を執筆した光野鈴先生のインタビューを掲載する。
▲笹森トモエ先生が描く『彼女はワロスの盟主さま はじめての天下逃一』の表紙イラスト。 |
本作は、『三国志』のソーシャルゲームを舞台に送る、学園青春コメディ。武将として盟主に仕えるという夢見がちな高校生・芝井忠太。そんな彼の前に、カリスマ生徒会長でハーフで美人な周防・S・天音先輩が現れる。「天下統一のためには君の力が必要だ。私は君が欲しい」という先輩のカリスマワードに惹かれ、忠太は「この命、あなたに捧げます!」と、ついつい忠誠を誓ってしまうのだった。
そんな彼が誘われたのは、『三国志』をモデルにした『ワールド・ロード・スリーキングダム』──通称『ワロス』と呼ばれるソーシャルゲーム。ド素人の忠太は、盟主の天音先輩と共にワロス制覇に燃え、かわいいナビゲーター・ムスメにも萌えながら天下統一を目指すことになるが……!?
光野先生には、本作のセールスポイントや小説を書こうと思ったキッカケなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧いただきたい。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
編集担当さんから「エンジニアとしての経験を活かして、ソーシャルゲームを題材にしたラノベを書いてみませんか?」とご提案をいただいたのがきっかけです。日ごろからいろいろと思うことがあった分野だったので、書き始めてみるといろいろなアイデアが湧いてきました。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
本作は『三国志』のソーシャルゲームを題材にしたライトノベルです。ソーシャルゲームをよくプレイされている方なら「あるある」と共感していただける部分は多いと思われます。ソーシャルゲームを未プレイの方は本作を読んで主人公と共にソーシャルゲームの魅力を感じ取っていただければ幸いです。
また、本作では“心眼”や“術者殺し”“二刀流”などさまざまな必殺技を持つプレイヤーたちが登場します。一流のソーシャルゲーマーはプレイヤースキル“心眼”を用いることにより見えないものが見えるようになります。この作品を読めばきっと今まで見えなかったものも見えるようになるでしょう。
僕もいろいろなものが見えるようになりました。己の限界とか。締切のプレッシャーとか。
――作品を書くうえで悩んだところは?
本作は情報量がとても多いので、説明するべき情報の取捨選択に悩みました。主人公は“七大罪(セブン・ギルティ)”というチームに身を寄せることになるのですが、チームメンバーが7人。さらにそのプレイヤーが操作するキャラクターが7体。名前だけで14近くの固有名詞がでてきます。固有名詞は必要最小限に抑え、大事な情報は印象に残るようにイベントを絡めて説明するなど工夫を施したつもりです。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
3カ月程だったかと思われます。もっと早く……加速して書けるようになりたいです。
――執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?
長年の相棒であるノートパソコンのパソ子が途中で力尽きてしまいました。MacBook Airとなって蘇ったパソ子にその誇り高き魂は引き継がれてます。
――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
ヒロインは2人いるのですが、対照的なキャラにすることでそれぞれの魅力を引き出せればと思いました。片方のヒロインは中学時代に尊敬していた先輩をモデルにしています。いま思えばあの人は中二病だったのでは? と思います。
――小説を書こうと思ったキッカケはなんですか?
小説家になるのは子どものころからの夢でしたが、自分はあこがれるだけで本気で挑戦もしないまま大人になってしまいました。社会人になってひとつの挫折を経験して、こんな自分を変えたいと思い小説を書き始めました。
――初の商業作品というところで、その感想は・
1度だけ果てしない不安に取り憑かれものすごくネガティブになりました。でも今はそれを乗り越え、すべての結果を受け入れる悟りの境地に至りました。今まで応援してくださった方や、これから読んでくれる方に少しでも笑っていただけたらうれしいです。
――今後、どういった作品を発表していきたいですか?
読んだ人が笑ってもらえるような、そんな作品を発表したいです。中学時代の自分や弟が楽しんで読めるような作品を意識して書くのを忘れないでいたいです。
――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?
大切なのは執筆の時間ではなく集中力だと考えています。早く書ける人は本当にあこがれますし、私自身ももっと早く作品を書けるようになりたいなと思ってます。
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
自分の場合、実際に文を書いている瞬間が一番アイデアが浮かびやすいようです。なのでなるべく頭を抱えて悩まず、とりあえず手を休めず書くように心がけています。集中力を高めるためには、甘いキャンディーなど舐めたりします。頭を使うと糖分を消費するからでしょうかねー。執筆開始時はBGMをかけるんですが、集中してくるとBGMを止めてしまいます。
――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?
高校時代は推理小説ばかり読んでおりました。綾辻行人先生や有栖川有栖先生、東野圭吾先生の作品を読みあさっておりました。ラノベを読み始めたのは2年前からなので、今は必死にラノベ修行中です。
アニメは『無限のリヴァイアス』という作品が大好きで、後半の衝撃的な展開がトラウマでもあります。
――現在注目している作家・作品は?
私が挑戦した公募は第18回電撃大賞でしたので、その出身の作家の方々の御活躍に注目しております。受賞した方も拾い上げの方も含めて、第18回がゴールデンエイジと呼ばれたらいいなと思います。
――今熱中しているものはなんですか?
ブラウザで簡単にできるお手軽RPGゲームなどを作るのが楽しいです。エンジニアの職業で培った技術力と、ラノベを書いて得た筆力を活かせたらうれしいです。いつか自分で書いたノベルゲームを公開するのが夢です。
――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。
『ウィザードリィ』、『世界樹の迷宮』、『ファイアーエムブレム』、『ディスガイア』のシリーズが大好きです。あとは『かまいたちの夜』や『STEINS;GATE』を代表としたノベルゲームも一度始めたらクリアまで眠れないですし、『サガ』シリーズも『キングダムハーツ』も捨てがたい……数えきれないですね。
――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
かわいいヒロインや仲のいい友だちと一緒にゲームをしているような、そんなワイワイ感を意識して書きました。携帯電話の3.5インチの小さなディスプレイの先に広がる、とても大きな世界を感じてもらえたらうれしいです。
(C)光野鈴/AMW
イラスト:笹森トモエ
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