2013年3月10日(日)
伊藤さんは、開発における稲船さんを“現場で仕様書を書くタイプではないが、方針を指し示すことでスタッフが安心して開発に臨める”と紹介。開発初期のプレイヤーキャラクターはいささかアクションが地味だったのだが、稲船さんの「スーパーヒーローの戦いにしたい」という言葉で方向性が定まったらしい。
さらに明かされたのが、現場での稲船さんは下川さんへ調子に乗らないようしばしば忠告していたということ。これについて稲船さんは、ゲームクリエイターは手がけたタイトルがヒットした際に慢心すると、そこで成長が終わってしまうためと補足した。下川さんは今回が初めてのディレクターということで、あえてつらく当たっていたという。当日には女性の来場者から下川さんのサインを求めるお願いが寄せられており、これに関しても稲船さんはすかさず「つけあがるなよ」と忠告したということも、余談として語られた。
▲開発中、衝突も多々あったと話す下川さんと伊藤さん。下川さんは仕返しとして、伊藤さんをモデルに魔物・ハーピーを制作したという。 |
岡村さんは、各スタッフの方向性が別々になる時があるので、同じ方向を向かせるのが大変だったと開発の苦労を語った。岡村さんはマネージメント担当ながら開発現場出身のため、ゲーム内のイベント周りや本(リブロム)の表現など、アイディアの提供も行なっている。
本村さんが気をつかったのは、各社の根本の部分をつなぐ作業とのこと。現場のスタッフと話し合いをする時のバロメータとして“鈴木さんの背中が丸まって小さくなっていたらヤバい”、“下村さんが普段よく飲む水を飲まなくなったらとヤバい”など、つぶさな観察のもと、シュークリームを差し入れたり焼肉に誘ったりといったフォローをしていたそうだ。
本作に使用されている楽曲を手がけたのは、数々のゲームミュージックの作曲で知られる光田康典さん。これは鳥山さんの要望によるもので、感情移入を盛り上げるフルオーケストラの音源を希望したという。話は鳥山さんの想定以上に膨らみ、演奏は『スター・ウォーズ』シリーズでおなじみのスカイウォーカー・サウンドへの発注が決定。世界最高峰のスタジオからオーケストラ100名、コーラス20名が参加し、非常に豪華な楽曲が作り上げられた。
ここで話題となったのは、大御所である光田さんの楽曲にNGを連発した下川さん。下川さんは、スケジュールがタイトだったためにゲーム画面の完成品を用意できず、イメージのすり合わせが大変だったという釈明。これに関して稲船さんは、光田さんの経歴を知らなかったから遠慮せずにNGを出せたのだろうと冗談混じりに述べていた。
光田さんはメロディアスで優しい曲調を得意とするため、開発サイドはゲームの雰囲気に合うように何度もリテイクを出したとのこと。その結果、完成した楽曲がゲーム画面に合わせられた時に、稲船さんは鳥肌が立つほど感動したという。本作をプレイする際は、重厚な音楽表現にも注目してほしい。
▲収録風景を動画で紹介。指揮をとるのは鋒山亘さんだ。 |
トークの他、新情報の発表も行われた。発表されたのは、4月上旬のアップデートで追加される新たな魔物・デュラハン。デュラハンは自分を傷つけるのが大好きで、全身を拘束具に包んでいるという色々な意味で恐ろしい相手。左手に持った自分の頭部で強烈な攻撃を仕掛けてくる。
下川さんによると、人間だった時のデュラハンは、攻撃を受けると快感を見せ、それに敵が怯んだ時に倒すという戦法を好んでいたという。自傷の衝動は「死んだらどうなるのか」という興味から発していたもので、最終的には自分の首をはねて自殺し、魔物になったらしい。
その他にも、少年が旺盛すぎる食欲から魔物化したベヒモスが追加される。また、システム面でもアドホックパーティへの対応や文献の追加など、大きくグレードアップするとのことだ。
▲下川さんがデュラハンを紹介。自身を傷つけて、その快感でパワーアップするという正真正銘のドMだ。 |
ステージのしめくくりとして、デュラハンに下川さん、岡村さん、鈴木さん、本村さんが実際に挑戦。4人とも奮闘したが、高い耐久力と攻撃力を持つデュラハンの前に、あえなく全滅してしまった。かなりの強敵なので、実際にプレイする際は万端な準備と的確な役割分担が必要だ。
▲ステージは、巨大生物した兵士の体内“ゴリアテ”。消化液が噴出していて、何もしていなくてもダメージを受けてしまう。 |
▲瀕死のプロデューサー陣(上司)を生贄にして、ディレクター陣(部下)が禁呪を使用するという場面も。 |
▲自傷でパワーアップしたデュラハンを前に、戦況はジリ貧に……。 |
▲ステージの最後には、本作のキャッチフレーズ「魔法で狩ろうぜ!」を観客と一緒にコール。 |
(C)Sony Computer Entertainment Inc.
データ