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2013年4月15日(月)

『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズ居酒屋座談会 with ヨコオタロウ on 仏滅。聖地・新宿で語られる『DOD』ぶっちゃけトーク

文:タダツグ

■すべての答えはカンペにあり!? 『DOD』がファンを惹きつけるその理由

松下:そもそも、ヨコオさんはなんでゲームクリエイターになろうと思ったんですか? 以前のお話で、もっとモテたかったみたいな話をしてたと思うんですが、それに関係が?

ヨコオ:モテたかったですね。つーか、今でもモテたいんですけどね。でも、モテたいからゲームクリエイターになろうとは思わなかった。そこまでアホじゃないんで。そりゃあ、できることなら僕だってEXILE(エグザイル)に入ってモテたいですけど、入れないからゲームクリエイターをやっているのであって(笑)。

松下:モテること目的でゲームを作っている……ってわけではないと。

ヨコオ:まあ。つまりは適材適所ですよ。自分では、ゲーム業界もあまり向いているとは思ってないですけど。

松下:『DOD』の話に戻しますけど。僕、記事を書くにあたってずいぶん久しぶりに過去作を触ってみたんですよ。

ヨコオ:アレはねぇ……。今遊ぶと、カメラの仕様がクソでしたよね。自分で言っちゃうのもなんですが。クソって言うか、今の時代には合ってない。

『ドラッグ オン ドラグーン3』 『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲開発者自身が「カメラの仕様がクソ」とおっしゃる『DOD1』のプレイ画面。どうでもいいが、ようやくこの記事の中でゲームのスクリーンショットを掲載できた。ちょっとほっとした。▲ちなみに電撃オンライン編集部内では「空中戦のカメラワークも……ねぇ?」ということで意見が一致。

松下:おっと、某誌さんのインタビューでもそのようにおっしゃられていましたね。

ヨコオ:ええ、あの発言は完全に事実なんですけど、あれを掲載することを宣伝さんがOKしてくれたのは、僕はとてもよかったなと思ってて。普通に「過去も素晴らしかったですけど、今度も素晴らしいものを作ります」とか、そんな鼻クソみたいな話はしたくないんで(笑)。

佐々木:(笑)

ヨコオ:そんな記事とか読みたくないし、人生の時間のムダだと思うので。こういう雑談も含めて、全部書いてほしいですね、今回の企画でも。

野村:もちろん。紙媒体に載せるようなお行儀のいいインタビューじゃなくて、この雰囲気も含めて構成しますよ。で、ダメなところは全部伏字にすればいいってことで。

佐々木:まあ、ダメなところはバッサリいかせてもらいますよ(笑)。

野村:基本的に、ヨコオさんや安井さんの発言は書き換えない。なかったことにするっていうのも極力しない。それでたぶん、今回は大丈夫だと思うんですよね。

ヨコオ:どうですかね。今日、お酒入ってますからね。あ、ビールもう1杯お願いします。

染谷:(無言でうなづき、店員の呼び出しボタンを押す)

野村:正直なところ、ぶっちゃけトークをしていただいたほうが、ユーザーさんも読んでおもしろいと思うんですよ。ファンって、そういったものを求めている側面があると思いますので。

佐々木:たぶん、一番心配しているのはプロデューサーの柴でしょうね。自分がこの場にいなくて大丈夫かな……って。

松下:柴さんにはまた別の機会に、いろいろお話を聞かせてもらいたいですけど。でも、結局ファンは『DOD1』のどこが好きだったんでしょうね。

ヨコオ:僕の意見はしっかりそこに書いてありますので。どうぞ読んでみてください。

安井:またずいぶん投げっぱなしだよね。

ヨコオ:さあさあ、せっかく書いたんだから読んでくださいよ!

松下:ちょっとちょっと!! 料理の上にカンペを置かないでくださいよ。だいたい無茶なんだ、見ながら聞きながら食うなんて。

ヨコオ:ほら、ちゃんと書いてますよ。ファンを惹きつける要因はなんなのか! 「知りません」って答えを。

松下:話が終わっとる(笑)。

安井:ヨコオらしいなぁ……。

ヨコオ:ああ、手羽先がうまいなぁ。

染谷:(手羽先をそっとヨコオさんの皿に盛り足す)

松下:僕の個人的な意見を言わせてもらいますと、遊んでて思うのは、やっぱり“ツッコミどころが多いところ”が魅力だと思うんですね。たとえばマナが出てきて、へったくそな歌を歌うシーンがあるじゃないですか。「ララララーララララーララー」みたいな。まずはあのへたさ加減というか、そこにオイオイって思うわけですよ。で、さらに郷里大輔さんが入ってくるじゃないですか。神の声が。そこでまたもやオイオイオイってなる。そういった積み重ねが、なんだかクセになるっていうのはありますよね。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲ツッコミどころ満載のキャラ・マナ。ボイスが郷里大輔さんに切り替わった瞬間にこみ上げた戦慄(そして笑い)を忘れられない人も多いのではなかろうか。

ヨコオ:作ってるほうは、あまりそうは思ってないんじゃないですかね。

安井:いや、僕を見て言われてもわかんないよ、そんなの。でも、みんな至極マジメに作ってたと思いますよ。

ヨコオ:いやいやいや、当時のことなんて覚えてないでしょ。だって10年前だよ?

安井:でも、当時どんな気持ちだったかというと、なんかつらかったことがたくさんあったような。

松下:ヨコオさんからの無茶ぶりとか、そんな感じですか?

安井:無茶ぶりっていうか、ずっと怒ってたよね? いつも何かに怒ってた。

ヨコオ:それは今でも変わらないけどね。

佐々木:え? そうなんですか?(苦笑)

ヨコオ:『DOD1』の時は、とにかくプログラマーがいなくてつらかったんですよ。

松下:どなたがメインプログラマーだったんですか?

ヨコオ:小池さんっていうメインプログラマーがいたんですけど、当時キャビア(※)は、別のゲームも作ってまして。

※キャビア:株式会社キャビア。かつてヨコオタロウ氏や藤坂公彦氏らが所属していたゲーム開発会社。2011年にAQインタラクティブ(現マーベラスAQL)に吸収された。

松下:ふむふむ。

ヨコオ:それと『DOD1』を2本同時に作っていたわけですけど、もう1本のほうが納期的に早くて、プログラマーを根こそぎ持っていかれた時期があったんですね。『DOD1』はクソミソの状況だったんですよ。

松下:食事の場でクソミソって(笑)。

安井:あった! あったなぁ……って、手羽先ほんとにおいしいですね。

染谷:(手羽先をそっと安井さんの皿に盛り足す)

ヨコオ:なんかもうね、ほんとにつらい状況でぜんっぜん進まなくて。それで僕はずっと怒ってたんですよ。だましだましで作ってたというか。

松下:安井さんは『DOD1』の時って、どんなお仕事をされてたんですか?

安井:デザイナーですね。デザイン全般の取りまとめみたいな感じで。まあ、他にもいろいろなことをやりましたけど。

松下:ヨコオさんって、ほんとにいつも怒ってたんですか?

安井:怒ってるか、飲んでるか(笑)。

ヨコオ:怒ってた(手羽先をむさぼりながら)。

松下:なんで怒っちゃうんです? ヨコオさん。

安井:大人の事情とか、すごく嫌がるからじゃないですかね。筋のとおらない話とかを、すごく嫌がる。

ヨコオ:そこらへん、全部そのカンペに書いてありますよ。だから1回読んでくださいって言ってるの。じゃないと話をする気になれない!

松下:わかりました。読みますよ(笑)。急いで読むんで、ちょっとそのまま飲んでいていただけますか?

ヨコオ:はい喜んで。もう1杯、ビールいっちゃっていいですか? ここ、飲み放題ですもんね!?

染谷:(うなづきながら、店員の呼び出しボタンを押す)

→カンペの中身は問題発言だらけ?
10年の時を超えて明かされる『DOD』開発秘話(5ページ目へ)

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データ

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