『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズ座談会でヨコオタロウから飛び出す過去作の衝撃的真実…『DOD1』のアレは神様じゃない!?

文：タダツグ

■『DOD2』のディレクター・安井章が秘める心の闇 その1

松下：そういえば今回の座談会も、つい先日ヨコオさんにお会いした時に、『DOD2』のことに触れるなら、安井さんがいないとって、急に言い出されて。

ヨコオ：だまして呼びましょうって言って、実際だました。

松下：いや、その言い方はおかしい。僕はだまして呼び出すなんて聞いてなかったから、ほんとにびっくりしたんですよ。安井さんがあまりにも不安そうで、ちょっと申し訳なくなりました。

ヨコオ：いやいや。これが僕らにとってはいつもどおりな感じなんで。ただ、今回よくなかったのは、先日の電撃オンラインさんの『DOD2』の記事チェックを、安井さんに回していたことなんですよね。

松下：あの記事、安井さんがチェックしてくださったんですね。ありがとうございます。

安井：いえいえ、僕も久しぶりに『DOD2』を見て、ちょっとうれしくなりましたよ。

ヨコオ：そうなんだよなー。あの記事のことさえなければ、今日の呼び出しは本当に面食らったはずなんだよ。あの記事チェックがあったから、今日はちょっと予感めいたものがあった気がする。

安井：そうね、それはそのとおりだよ（笑）。

松下：本来、そんなサプライズはいらないですよね。

安井：ええ、いらないです（真顔）。でもまあ、いつもの感じだなーとは思いましたけどね。

松下：そのへんは、ある意味ゲーム作りにも通ずるところがあるんでしょうね。プレイヤーを裏切るサプライズを、常に盛り込まないとっていう。

安井：サプライズなのかな、コレは。単なる嫌がらせじゃないの（笑）。

ヨコオ：いや、安井さんには嫌がらせを提供するかもしれないけど、プレイヤーさんにはサプライズをお届けしようといつも思っているんですよ？

松下：でも、サプライズってある意味、嫌がらせだと思いますよ。ゲームだってそうじゃないですか。ストーリー的にもバトル的にも、プレイヤーが思い描いたとおりに気持ちよ～く進んでいったら、遊んだ後に何も残らないわけであって。

ヨコオ：ああ、それはそうですね。相手がギョッとすることを常に考えているわけですから。

安井：ギョッとさせたいの？

ヨコオ：ギョッとさせたいね。

安井：何でギョッとさせたいのさ？　いろいろ困ることも多いんだよ、あなたと付き合ってると。

松下：ビール2杯目にして、本音が出てきましたね（ニヤニヤ）。

ヨコオ：そんなに困らせてたっけ、俺？

安井：うん。それなりに。まぁでも君の場合は、そのへんの裏表がないぶんやりやすいっていうのもあるけどね……。日々を生きている時と、ゲームやモノを作っている時の感じが、感覚的にあまり差がない。

松下：つまり、いつでもこんな感じってことですか？

安井：常にこんな感じですね。

ヨコオ：僕は思ったこと、感じたことをすぐに口に出すので、あまり裏表はないんですよ。付き合いやすいと思うけどなぁ。ちなみに、こう見えて実は、安井さんの裏表はすごくて。

安井：いやいやいや、裏表なんてないですよ。何を言い出すのよ君は。

ヨコオ：僕、大学時代から安井さんとすごく親しくしているつもりだったんですけど。

松下：お2人は同級生なんですか？

ヨコオ：はい、同級生です。今でも思い出すんですが、大学の講堂みたいなところで歓迎会というか、新入生の歓迎式典が行われたんですね。そこで校長先生の話が終わって、僕がふと後ろを向いた時、僕と同じ“視覚情報学科”の紙を持っている人がいて、「あっ、君も同じ学科なんだ、よろしくね」って話をして。それが安井さんとの出会いだったんですね。

松下：そこから親しくなっていった、と。少なくとも、ヨコオさんの中では。

ヨコオ：そう。お互いゲーム好きだし、PCも好きだしってことで、話も合うから友だちになったつもりでいたわけですけど。

安井：なったつもりってなんだよ（笑）。友だちだったでしょ、実際に！

松下：安井さんに好きな女の子を寝取られたりでもしたんですか？

ヨコオ：いえ、違います。大学4年生の時に、安井さんから急に「実は俺彼女いてさぁ」って話をされて。

松下：えっ？

野村：えっ？

佐々木：えっ？

染谷：（無言で薬味の上にこぼしたマロニーを一生懸命取ろうとしている）

ヨコオ：いや、なんですかその「どうでもいいんじゃね」って空気。

松下：いえいえ、続けてください。

ヨコオ：安井さんの彼女、実は2年生くらいの頃からずっといたらしくてですね……隠されていたんですよ。もうね、お前はなんなんだよと。

安井：いや違う違う。違うんだよ！

ヨコオ：俺、知らなかったし。2年間くらい安井さんに彼女がいることを知らないままでさぁ。君とニコニコ楽しく「あー、彼女ほしいわー」って言いながら遊んでたわけでしょ。死にたくなるよ、思い出したらさぁ。

松下：それはひどいなー。

安井：いや、そこまでの話になる？　

ヨコオ：ほんと俺、生き恥じゃんか。戦国だったら腹を切って自害してるレベルですよ。

松下：安井さんを斬るんじゃないんですか、そこは。

ヨコオ：いや、違います。自らを切って恥を雪（そそ）ぐというか。雪（そそ）ぐには死ぬしかないみたいな。

松下：どんな気分で「彼女ほしいわー」って言ってくるヨコオさんを見ていたのかが気になりますよね。安井さん……恐ろしいお人やで（ゴクリと生唾のかわりにビールを飲み込む）。

▲ここから話題は『DOD2』に……というより、そのディレクターである安井氏という人物の人となりにおよぶことに。

→『DOD2』のディレクター・安井章が秘める心の闇 その2

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