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2013年4月10日(水)

須田剛一さん、上田文人さん、外山圭一郎さんが学生のゲームを遊んで思ったことは――“第2回ゲームキャンパスフェスタ”一次審査が実施

文:megane

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■PS Vitaの機能を活かそうとする意欲的な作品が多い

 審査・試遊後に須田さん、上田さん、外山さんの3人に今回の作品などについて、お話を伺った。

『第2回ゲームキャンパスフェスタ』

 須田さんは第2回ゲームキャンパスフェスタで展示された作品について、「PS Vitaの機能をどう使おうか、うまく考えられた作品が多い」と語った。PS Vita発売前でチャレンジャブルな作品が多かった第1回と比べて、今回は既存のタイトルに近い、落ち着いた作品が多いかと思ったが、実際には「新鮮で意欲的な企画も多かった」とのこと。

 外山さんは今回の作品について、「PS Vitaでできる機能をつめ込みたいという意識が見える」と述べた。その一方で「苦労しているところもよく見える」とコメントした。

 上田さんは「思ったよりも本格的にゲーム制作をしている」と語る。これには役割分担などがきちんと行われており、実際のゲーム制作の現場と同様であるという。

■3人の印象に残ったタイトルは?

『第2回ゲームキャンパスフェスタ』
▲学生たちと同じ20歳前後は、上京して仕事をしており、「東京という魔物と戦っていた」という須田さん。
『第2回ゲームキャンパスフェスタ』
▲学生時代は当時の最高峰の技術が詰まっていたアーケードゲームをパソコンで移植できないか悪戦苦闘していたという外山さん。
『第2回ゲームキャンパスフェスタ』
▲学生当時はゲームを遊ぶ立場だったが、当時に今のような環境があったら燃えていただろうと語った上田さん。

 印象に残ったタイトルについて、須田さんは『桜花爛漫』と『ライジングスター』、外山さんも『桜花爛漫』と『忍足』、上田さんも同じく『桜花爛漫』を挙げた。

 須田さんは『桜花爛漫』について、左右移動のモーションをがんばってほしいとコメント。操作方法でプレイヤーに“?”と感じさせないようにするのはアクションの基本なので、アナログスティックを押しっぱなしにするとリアクションがあると、言葉で説明することなくプレイヤーに伝えることができるとアドバイスした。また、もっと演出としてパーティクル(エフェクト)を盛りだくさんにしてほしいとのこと。

 外山さんは『桜花爛漫』が頭1つ抜けていたとコメントした。『忍足』については、「商業的にも通用する作品を作ろうとする意気込みが感じられた」と述べ、「強烈に高い理想を持つ人がチームを引っ張っているのかも」と加えた。

 上田さんは今回の作品全体について、地に足がついた作品が多いと語る。これについて、理想だけを追い求めるのではなく、きちんと完成させるという気持ちが見えると説明した。

■これからどういった進化を審査員は期待しているか?

 今回の一次審査を経て、5月中旬に二次審査が行われる。その二次審査に向けて、各審査員に期待と注目点を聞いた。

 須田さんはこれからの作品の進化について、「日本のゲーム制作らしいラストの仕上げに期待する」と述べた。これは日本のゲーム制作の強みでもある“ラスト2カ月のクオリティアップ”に根付いたものであるという。この作業に必要なものはチーム全体の人間力とのこと。

 外山さんは「誤解を恐れずに言うと」と前置きした上で、「捨てる勇気が必要」と語った。これは、捨てるところは捨てるところ、残すところはそれ以上に研ぎ澄ますところと説明。ここから先はそういったことを葛藤してほしいと述べた。

 何を捨てればいいかという判断については「いろんな人にとにかく触ってもらって、客観的に見るのがいい」という。長い月日をかけて作っている作品については、自分だけではどうしても客観的に向き合うことができないとのこと。あわせて「自分の思い入れは絶対にズレているもの」とも語った。

 上田さんは、まだ未完成である作品について、「実装したいと思ったアイデアは、ぜひ実装させて見せてほしい」と述べた。

 最後に須田さんは、海外で盛り上がっている“インディーズゲーム”のシーンを例に挙げ、“KickStarter”などで支援を行うという文化も認知されてきたことで、ゲームの可能性がさらに広まったと述べた。一方、日本ではそういうインディーズゲームの土壌が広がりにくい文化ではあるが、ゲームキャンパスフェスタがきっかけの1つになればいい、と語った。

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