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2013年4月10日(水)

本戦出場の『Knowall Library 5.0』はもはや市販レベル!? マイクロソフトの学生ITコンテスト“Imagine Cup”日本大会が開催

文:電撃オンライン 取材、文/中山智

 日本マイクロソフトは、学生のためのITコンテスト“Imagine Cup(イマジン カップ)”の日本大会を、東京・品川の同社オフィスにて4月7日に開催した。

 Imagine Cupは、国際競争力のある人材育成の場として提供する、学生のためのITコンテストとして2003年にスタート。11回目となる今大会は、本戦が7月にロシアのサンクトペテルブルグで開催予定となっている。メインとなるコンペティションは下記の3つの部門で争われることとなる。

●ゲーム:Windows、WindowsPhone、Kinect SDK、Xbox 360のいずれかのプラットフォームを使用したゲーム。テーマやコンセプトは自由

●イノベーション:規定されたマイクロソフトのツールやテクノロジーを使用し、技術革新をもたらすアプリ又はソリューション

●ワールドシチズンシップ:規定されたマイクロソフトのツールやテクノロジーを使用し、誰かの人生を変えるようなアプリ又はソリューション

 日本大会は、3部門すべてを合わせた“Imagine Cup競技部門”として開催される。すでにゲーム部門の4チームとイノベーション部門の2チームがファイナリストとして決定しており、このなかから最優秀チームに賞金30万円と、7月の本戦への出場権が与えられる。

 出場チームは下記の通り。

●NFKey(HAL東京):イノベーション部門

『Imagine Cup』 『Imagine Cup』

 “NFKey”という、NFC(近距離型の無線通信)とウィンドウズタブレットを使った自動車のロックシステム。キーロックにNFCのシステムを採用し、かざすとロックが解除され、その情報がウィンドウズタブレットを通じてサーバー上にあがるというもの。災害などの非常時にNFCのマスターキーを消防や自衛隊などが管理・使用することで、車の移動や持ち主への返却などがスムーズに行なえるようになる。

●Clear Voice(トライデントコンピュータ専門学校):ゲーム部門

『Imagine Cup』 『Imagine Cup』

 作品は、Windows Storeアプリとして開発され、タッチ操作に加えて、音声を使ってキャラクターを操作する『Pafffy(パッフィー)』。タッチ操作でキャラクターの方向を、音声で移動距離などをコントロール。現状では音量に反応しているが、これは声での操作が恥ずかしくて敬遠されないようにしたため。今後は音声認識でキーワードを使った操作にも対応させたいとのこと。

●KRAD(太田情報商科専門学校):ゲーム部門

『Imagine Cup』 『Imagine Cup』

 作品は、Kinectを使ったレースゲームの『トイチェッカー』。アクセル操作はオートとなっており、コーナリング操作をKinectセンサーでカラダの傾きを感知して行う。両手をバタバタさせると、空中を浮遊する“ジタバタアクション”といったアクションも搭載。ゲームデザインは、こどものおもちゃをモチーフにしており、Kinectでの簡単な操作性とあわせて、こどもがすぐに楽しめる内容となっている。

●でやんぞ(HAL大阪):ゲーム部門

『Imagine Cup』 『Imagine Cup』

 Kinectを使ったゲームで、作品名は『ぬけがみ』。キャラクターを端から端まで移動させるというゲーム内容で、キャラクターの操作方法が変わっているのがポイント。ゲーム画面全体は影に覆われているが、Kinectで人の位置を検出すると、キャラクターのシルエットを投影。そのシルエットに部分に光があたり別の地形を描画するので、光と影の地形を上手く組み合わせてキャラクターを移動させる。

●flower_shooter(HAL名古屋):ゲーム部門

『Imagine Cup』 『Imagine Cup』

 作品はプレーヤーが画面上のキャラクターを操作して、不毛な大地を緑化していく『Enchant Flower』。アナログスティックでの操作性や、3Dのスムーズな描画に力を入れた作品となっていた。

●Project N(京都コンピュータ学院):イノベーション部門

『Imagine Cup』 『Imagine Cup』

 作品は、2D、3Dにかかわらず、アクションゲームやシューティングゲームが作成できる汎用ゲームフレームワークライブラリ『Knowall Library 5.0』。ゲーム開発用のプログラムに精通していなくても、ライブラリーを活用し、ゲーム製作のほとんどの作業をGUI操作で行える。

 また、日本大会独自部門として“Windows 8 チャレンジ部門”も開催。規定はWindows8の機能やデザイン、コンセプトを活かしたWindows Storeアプリとなっており、4チームが登場。5分間のプレゼンと5分間のQ&Aで審査が行なわれ、審査結果には審査員だけでなく、プレス関係者や会場来場者の投票も反映された。

●青リンゴ(木更津工業高等専門学校)

『Imagine Cup』

 作品は、タッチ操作のゲーム『New War’s』。画面中心部のブラックホールの重力影響を考慮しつつ、相手チームを攻撃するというゲーム内容。

●k.shima07(文教大学)

『Imagine Cup』

 キャラクターとの会話を行なうアプリ『なじみん』を披露。会話の内容はサーバーに収録されており、ユーザーがキーワードを登録して育てていける他、NFCを使った着せ替え機能なども装備。

●Cheer Group for OSS(長野工業高等専門学校)

『Imagine Cup』

 OSS(Open Source Software)用のエディターやプレゼン作成用アプリ。当日のプレゼンも本アプリを使って行なわれた。

●BOTEKO(鳥羽商船高等専門学校)

『Imagine Cup』

 簡易プラネタリウムの『星空投影機』をプレゼン。タブレットを光源にして、ダンボールと虫眼鏡で作った投射機で室内に星空を映し出すアイディア作品。

 すべてのチームのプレゼンが終了したのち、両部門の最優秀賞が発表され“Windows 8 チャレンジ部門”には、木更津工業高等専門学校のチーム青リンゴの『New War’s』。に決定。

『Imagine Cup』
▲チーム青リンゴの江澤拓哉さん(写真中央)と佐藤 陸(写真右)さんには、審査員のバイドゥプロダクト事業部 矢野りん氏から、副賞として『Surface RT』が送られた。

■本戦に出場して世界を相手に戦うのはProject Nの『Knowall Library 5.0』!

 “Imagine Cup競技部門”では、イノベーション部門でエントリーした京都コンピュータ学院チームのProject N『Knowall Library 5.0』が選出。優勝書金30万円とロシアでの本戦出場権を獲得した。この作品について審査員の新清士さんは「今回の出場作品で抜きん出ていた」とコメントし、さらに「作者の2人はゲーム会社からすぐに声がかかっても不思議ではない」とも語っていた。

『Imagine Cup』
▲審査員の日本マイクロソフト執行役員加治佐俊一氏(写真左)と、米山哲平さん(写真中央)と,チェスター・リーさん(写真右)。

 リーさんはマレーシアからの留学生ということで、昨年の東京高専チームに続き、本年も日本・マレーシア連合チームが本大会出場となる。

 惜しくもImagine Cup競技部門で負けてしまった5チームだが、オンラインによるエントリーも行なっており、その結果次第ではロシアでの本戦出場権を得られるチャンスが残っている。日本チームは前回大会でもゲーム部門に日本大会優勝チームとオンラインで通過した計2チームが本戦に出場しており、1チームがベスト5に入るなどレベルが高く、今回も活躍を期待したいところだ。

『Imagine Cup』
▲大会終了後にサプライズとして参加者にプレゼントされた、ビル・ゲイツケーキ。

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