2013年5月14日(火)
昨年11月から今年の2月にかけて行った、ファン投票で2012年のベストゲームを選ぶ電撃オンラインアワード2012。そのコンシューマゲーム部門でトップに輝いた『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』の開発者インタビューをお届けします。
お話をお聞きしたのは、本作の開発スタッフであるプロデューサーの浅野智也さん(スクウェア・エニックス)、アシスタントプロデューサーの高橋真志さん(スクウェア・エニックス)、ディレクターの中原顕介さん(シリコンスタジオ)。2012年10月11日の発売から約半年を経た今だからこそ語れる、ぶっちゃけ気味の内容もお聞きしてきました。
今回お届けするのは、あえて完全新作として挑戦することにした意気込みや、世界観やシナリオに関する裏話について。最終ボス戦での熱い演出に関する裏エピソードもお聞きしました。
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※この記事には若干のネタバレが含まれていますので、まだ真終章をクリアしていない人はご注意ください。
▲左から浅野プロデューサー、中原ディレクター、高橋アシスタントプロデューサー。 |
――真終章のエンディングが顕著ですけど、『ブレイブリーデフォルト』を遊ぶと知り合いと話し合いたくなることが多かったです。初めてクリアした時は隠しジョブを入手できなかったので、どんなジョブがあるのかの予想で盛り上がりました。その時は、1,000年前の戦いのキーワードである“天使”と妄想していました。
中原:天使! その発想はなかったですね(笑)。
――あの“天使”という表現は、どんな由来があるのでしょうか?
浅野:そのへんは網代さんが考えて、フィックスさせた表現です。林さんとストーリーの大枠を作った後、細かい設定を詰めていく過程で生まれていったものです。
中原:まず、ヴァンパイアのジョブについて特殊な流れがあったんですよ。先にジョブの名前やアビリティがあって、それをどうしようかという時に、網代が背景を作って、すべてを語れるような人物にしようという感じで、設定が決まっていきました。そういう流れで、天使という表現も決まっていったんだと思います。
ただ、“ヴァンパイアは倒置法が好き”といったキャラクター性は林さんの発案ですし、そのあたりはスタッフ内でいろいろと話し合って作っていった形です。
――なるほど。深読みしすぎました。ちなみに、編集部での妄想話では、アナゼルの正体がティズの弟だという説もありました。
中原:発売前のネットでの憶測では、兄弟説をよく見ました。
▲仮面で顔を隠したアナゼルや、記憶喪失のリングアベルについては、発売前からさまざまな予想が飛び交っていた。 |
――6章でティズの弟が生存している世界が描かれたので、彼がタイムスリップして記憶を失ったところをエタルニア公国の元帥に拾われて暗黒騎士になったという流れで、真終章ではティズ兄弟が再会するに違いない! なんて妄想していました(笑)。羊飼いは聖書におけるアベルとカインの兄弟を示していて、そこにリング“アベル”という名前も符合して……とか、本当にいろいろな妄想も含めて、『ブレイブリーデフォルト』は盛り上がったゲームです。
中原:イデアがリングアベルの娘だなんて説もありましたし、おもしろいなあと思いました。
浅野:ノルエンデ村が存在するのかしないのかという議論を見た時は、かなり驚きました。
中原:「あの村はティズの心の中にあるんだ」なんて説もありましたからね。あの解釈には、心が震えました。
――どんな危険な場所にでも登場する冒険家についても、ユーザー間でいろいろな想像が語られています。
高橋:冒険家については、けっこう想像の余地があると思います。まだ表に出ていない設定なんかもあったりするので、いつかは語られる日が来るかもしれません。
――冒険家の裏設定は、すごく気になります。ちなみに個人的には、ユルヤナの森の仕立屋にいるキツネが普通に人間の言葉をしゃべった時に驚きました。あれは何か裏設定的なものがあるのでしょうか。
▲赤い帽子がトレードマークの冒険家。危険なダンジョンの奥にも平気で登場することから、さまざまなネタが妄想されていたが、まさか隠しボスとして登場するとは! |
中原:そんなに深い裏設定はないんですけど、開発初期に考えていた“動物の国”の名残りですね。
高橋:それともう1つ、あの場所はユルヤナしか人間が住んでいないという雰囲気にしたかったので、ショップがわりに動物を配置したんです。一時期は、冒険家がユルヤナと2人きりで同居しているように見えるので、生々しくてイヤだ(笑)なんて意見も出て、冒険家を配置しないことも検討しました。
中原:それを逆手にとって、老師の家の試着室のカーテンを開けたら冒険家がいるという案も出ましたが、ちょっと悪ノリすぎるかなと。結果として、老師が住む家の外に配置することで、一緒には暮らしていない雰囲気を出す形になりました。
浅野:宣伝として出した前情報以上に、ゲームの中ではユーザーさんを楽しませたいと思いますが、その一方でゲームを遊んだ皆さんの想像がまた我々の想定を超えている場合もありますので、本当にうれしいですし、楽しいと思います。
→勇気をもって従わない!?
今の時代に“完全新作”に挑戦した意気込みと理由(2ページ目へ)
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MAIN CHARACTER DESIGN:Akihiko Yoshida.
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