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2013年6月1日(土)

斧1本を手に、少女を探してさすらう少年を描いた『無限のドリフター 世界は天使のもの』樹常楓先生を直撃【Spot the 電撃文庫】

文:てけおん

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第78回となる今回は、『無限のドリフター 世界は天使のもの』でデビューした樹常楓(きつね かえで)先生のインタビューを掲載する。

『無限のドリフター 世界は天使のもの』
▲崎由けぇき先生が描く『無限のドリフター 世界は天使のもの』の表紙イラスト。

 本作は、荒廃した遠い未来を舞台に、大切な少女を探して世界をさすらう少年の姿を描いた物語。極少数のエリートが空中都市へと避難したこの世界では、取り残された多くの人々は常に死と隣り合わせの状況で、細々と生きるしかなかった。

 そうした狂った世界を、1本の斧を頼りに放浪する少年・マサキ。邪魔する相手をためらいなく殺すことからついたアダ名は“殺人鬼”。彼は、自分に命を与えてくれた少女――美しく無邪気な天使を探して放浪の旅を続けるが……。

 樹常先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 こんな雰囲気の小説があったらどうだろうか、と思い、それまでに培ってきた読書経験をフル回転させ始めたのがきっかけです。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 世界観と、主人公の宿命でしょうか。高度な文明が崩壊した終末世界の雰囲気と、主人公が背負う特異な運命を楽しんでいただければなぁ、と思います。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 冒頭ですかね。そこだけで1週間ぐらいかかりました。それと、言葉選びにもかなり気を使いました。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 応募作として書き終わるまでに2カ月ほど。改稿には結構かかりました。合計で5カ月ぐらいですかね。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 SF的世界観にファンタジーの住人っぽいのを入れようとして、ヒロインが生まれました。SFちっくな天使になりましたけど。主人公はとにかくつかみどころのない人にしようと思いました。結果上手くいって、世界観ときれいにマッチしたと思います。

――小説を書こうと思ったキッカケは?

 SFが好きで、SF作家になりたいと思ったのがきっかけです。とりあえず初めてだし好きなものをぶち込んだ小説を書こうと思い立ち、腕試し的な感覚で、そのまま電撃大賞に応募してデビューすることになりました。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 底知れない世界像を描くことでしょうか。できるだけ世界の縁を表現せずに、ぼやかして書こうとしています。世界はこうなっていると書ききってしまえば、それ以上先に何かを置くことはできないので……。

――初の商業作品というところで、その感想は・

 かなり自覚がありません。未だに見本誌を見ても、ふうんとしか思えない……。

――今後、どういった作品を発表していきたいですか?

 SFちっくなファンタジーちっくな、センスオブワンダーを感じられるようなものを、ふわふわと書いていきたいです。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 大友克洋さんの『AKIRA』と、Ken Ishiiさんの『EXTRA』のMV、マッカーシーの『The Road』、ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と、それからMf Doomの諸々楽曲とライヒの『Eight lines』と80’アングラパンクと……多岐に渡ります。とりあえず、いろいろなものに触れていまして、それで今の土台ができあがったのかなぁと。

――現在注目している作家・作品は?

 超有名な方ですが、チャイナ・ミエヴィルでしょうか。SFとファンタジーの垣根を破壊しつつ、すさまじいものを書き続けている作家さんです。それと、パオロ・バチガルピあたり。

――今熱中しているものはなんですか?

 世界文学と幻想文学と相も変わらずSFです。とりあえず、文学系はラテンアメリカの作品から崩し始めています。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 『Fallout』とか『Skyrim』などの洋ゲー全般です。あとFPSとレースゲームも少々。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 最後まで読んでいただければ、題名『無限のドリフター』の意味がわかるかと思います。題名が気になった方は、手に取って最後まで見ていただければなぁ、と。終末世界を旅する青年と天使の物語を味わってください。後悔はさせません!(多分)

(C)樹常楓/アスキー・メディアワークス
イラスト:崎由けぇき

データ

▼『無限のドリフター 世界は天使のもの』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2013年5月10日
■価格:641円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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