2013年6月21日(金)
柴:こうしてランキングを見直すと、カイムとアンヘルのキャラ人気は本当にすごいですね。僕からすると、ヨコオタロウや藤坂公彦と作り上げたこの2人は、今やライバル的な存在なんですよ。他の商品を手掛ける時も“彼らよりグッとくるようなキャラをどうやって作ればいいのか”っていうのが、常にテーマとしてありますから。藤坂さんはそういう感覚ありませんか?
藤坂:そうですね、あると思います。何年か前にアーケードゲームの『ロード オブ ヴァーミリオン』でカイムやアンヘルのカードイラストを描いたんですけど、自分にとって『DOD』、そしてカイムとアンヘルって、一生つきまとう代表作のような感じで、うれしい反面、それを超えないといけないなとも思っちゃいます。
柴:今考えると、『DOD1』はもっと上手に表現できた部分もあったんじゃないかと思います。ヨコオタロウが描く世界があって、藤坂公彦のデザイン力があって、僕がしっかりプロデュースできれば、もっと違うアピールの仕方もあったかもしれません。
藤坂:あの頃はみんな、“慣れていない感”がすごかったですからね。
柴:そうそう。つたない感じが出てましたよね。でも、ミュージックバンドのファーストアルバムが一番いいっていうのと一緒で、慣れてないけど一生懸命にやった部分とか、荒削りな部分とかがあったからこそ、『DOD』がこれだけ受け入れてもらえたのかなって気もする。
松下:現在の皆さんのお力で作る『DOD1』。興味を抱くファンもいっぱいいそうな気がしますが。
柴:うーん、とはいえ、もう『DOD1』は作れないですよ。時間がもったいないですもん。『DOD1』を作り直すなら、それこそ『DOD4』を作ったほうがいいって気持ちになります。
松下:なるほど。
柴:あとね、少し悔しいけど、やっぱり作れないですよね。作れるけど作れないんだよなー。
藤坂:あー、なんとなくわかるな。柴さんが言いたいこと。
松下:この10年間で皆さんが得たもの、失われたものがあるでしょうし、感覚的に変わってしまった部分もあるかもしれませんしね。
柴:何より、ユーザーさんはもうすでに『DOD1』を体験されてますから。あの心に響く衝撃を与えるというのは、同じ作品であっても絶対に無理だと思うんですよね。
松下:正直な気持ち、それでもちょっと『DOD1』が生まれ変わる姿を見てみたいですけどね。映画とかアニメとかでもいいと思いますが。
柴:今は『DOD3』をお楽しみに、ということで!
▲もはや伝説化、神格化さえされている感のある『DOD1』。柴さんいわく、リメイクを考えるよりは、最新作を作ることに注力したいとのこと。 |
松下:ちなみに、カイムとアンヘルにピーターさんをキャスティングしたのも、やっぱり柴さんなんですか?
柴:そうですね。最後までヨコオさんには反対されましたけど(笑)。
松下:そこは押し切って正解だったと思いますね。
柴:そう思います。ちなみに、自分の意見を押し切ったと言えば、もう1つエピソードがあります。『DOD2』のカイムとアンヘルのラストシーンって、元々はあそこまでドラマチックじゃなかったんですよ。
松下:え? あの燃えて尽きるシーンはなかったんですか?
柴:はい。あっという間に終わったんです。時間にして5秒くらい。それはいかんだろ、と怒りました。
松下:安井さんを怒ったんですか?
柴:はい。まあ、怒りやすいキャラでもあるので、安井さんって、ヨコオタロウに怒られているのも何度も目撃してます(苦笑)。とにかく無茶でもなんでもいいから、あのシーンを作ってくれって頼んだんですよ。あのシーンと最後のシーンのために、『DOD2』はあったんですから。
松下:なるほど。あのシーンが淡白だったとしたら、カイムとアンヘルへの愛着がここまで深まることはなかったかもしれません。それはやっぱりさみしいです。
柴:ちなみに、最後のモノローグ部分。カイムにもしゃべらせようと思ってたんですけどね。
松下:アンヘルの「もうよいのか、カイム……」に対する「ああ、行こう。ともに……」ってところですか?
柴:そう、そこ。あれ、セリフもちゃんと録音してたんですよ。
藤坂:そうそう、思い出しました。録音してましたよね!
柴:でも、実際に録音して聞いてみたら、ちょっと違うかなと。もしかしたら、みんなの記憶にあるカイムの声で、自分で再生してもらったほうがいいんじゃないかと。
松下:結果的に、それは演出として正しかったのかもしれませんね。
▲『DOD2』でのカイムとアンヘルのラストシーンは、キャラ人気投票に応募してくれたファンの皆さんも絶賛の嵐! |
→藤坂公彦さんがスケッチブックにさらさら~。
ヨコオタロウさんの似顔絵を公開!(5ページ目へ)
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Character Design : Kimihiko Fujisaka.
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