2013年6月14日(金)
E3会場にて、コーエーテクモゲームスが2014年に発売を予定しているPS3/Xbox360/PS4用ソフト『YAIBA:NINJA GAIDEN Z』のインタビューを行った。
『YAIBA:NINJA GAIDEN Z』は、早矢仕洋介氏率いるTeam NINJAと、コンセプトの稲船敬二氏のコラボレーションで制作されているアクションゲーム。『NINJA GAIDEN』シリーズの主人公であるリュウ・ハヤブサとの戦いに敗れ、サイボーグとして蘇った忍者・ヤイバが、大量発生したゾンビを斬り倒していく。
▲アメコミのようなカートゥーン調グラフィックが特徴。 |
開発はSpark Unlimited社が担当し、海外メーカーらしいユーモアあふれるシステムや演出、技がふんだんに盛り込まれている。ゾンビをつかんで振り回すなど、敵を利用して攻撃できることが特徴の1つ。右手に持った刀で通常攻撃を行い、サイボーグ化した左腕を使って特殊な攻撃・動作を行う。攻撃をつないでコンボを決めていくとゲージがたまり、ゲージがMAXになれば、圧倒的な速度で攻撃ができる“ブラッドラスト”モードが発動可能となる。
▲ゾンビの種類によって、武器として使った際の性能が大きく異なる。 |
▲取材の際に見せていただいたヤイバのフィギュア(非売品)。 |
スピード感あふれるアクションやド派手な攻撃で、ゾンビをメチャクチャにする爽快感というコンセプトを持つ『YAIBA:NINJA GAIDEN Z』。E3 2013のプレイアブル出展も大盛況な本作について、コーエーテクモゲームスの早矢仕洋介氏と、コンセプトの稲船敬二氏にインタビューを行った。(※インタビュー中は敬称略)
▲稲船氏(写真左)と早矢仕氏(写真右)。 |
――E3 2013に出展されて、海外の方からの評判はいかがですか?
稲船:正直、本当に評判いいですよ。反応もいい。コーエーテクモゲームスさんが、WESTホールの入口付近というすごくいい場所にブースを構えていて、そこの一番いい所に設置されているので、ぶらっと通りかかった人が「COOL!」と言って触ってくれる。触った人の表情もよくて、あまり期待してなかったのに「あ、結構おもしろい」みたいな。期待してないって変な言い方ですけど、今回のE3はやはりPS4やXbox Oneに注目が集まっているじゃないですか。
早矢仕:アートスタイルの独自性もありますが、そもそもアクションゲームが少ないこともあって好評ですね。「新しい刺激を受けた」と、想像を超えた反響が返ってきています。
――今回、稲船さんと早矢仕さんがコラボするという、驚きの組み合わせでゲームを作成されていますが、化学変化というか、組んでみて感じたことはありますか?
早矢仕:できあがってきたゲームが、ニンジャ×ゾンビというコンセプトそのままなんですよね。我々Team NINJA側も自分の色を出そうとするし、稲船さんもゾンビのカラーを出そうとする。そんな中、どちらか一方に染まることなく、うまく混ざり合った新しいゲームができあがったという感触です。
稲船:これは僕だけじゃ作れなかったし、早矢仕さんたちだけでも作れないゲームだと思うんです。ゾンビとニンジャって、相性がよさそうに思えるけど、西洋と東洋という違いからか、なかなかうまく組み合わせられないんですよ。その部分がうまく混ざり合うためには、やはり1つのチームでは無理だったんだろうなと。
『NINJA GAIDEN』というものの根本を知っている人たちがかかわらないと同じ手触りにならないし、ゾンビの根本を知っていないとゾンビらしさが出てこないんですよね。ただゾンビを斬るだけのニンジャゲームになっても意味がありませんし。
そういった意味で、『YAIBA』はゾンビを斬るだけのニンジャゲームにはなっていません。ユーモラスなところもあるし、ゾンビとニンジャという異なる素材もいい形で組み合わさり、開発を担当しているSpark Unlimitedからもすごくいいアイデアが出てきた。だから、ノーチェックだった人たちが、ひと目見て振り向いてくれる仕上がりになったんだと思います。
――海外のデベロッパーであるSpark Unlimitedが開発されているわけですが、ゲーム中のブラックジョーク的な発想は、やはり海外の方のアイデアだったりするのでしょうか?
早矢仕:そうですね。「ゾンビはユーモアな存在でなければならない」と稲船さんがおっしゃっていますが、そのための具体案は基本的に現地のスタッフに考えてもらいました。海外目線のユーモアが満載で、日本人の我々では作れなかったと思います。望んでいた以上のものが多くあがってくるので、一緒に組んでよかったなと思います。
稲船:主人公がリュウ・ハヤブサだと、パンツやパンティーが上から降ってくるなんて、できないじゃないですか(笑)。それだとTeam NINJAの作品とは言えないパロディものになってしまうし。ブラックジョークを堂々とやれるのは、『YAIBA:NINJA GAIDEN Z』という新しい作品だからだと思います。そこに『NINJA GAIDEN』のリュウとの対決や、ニンジャのかっこよさを入れ込むことで、よりユーモアが生きてくるんですよね。
――グラフィックがアメコミのようなカトゥーン調なのは、どういった理由からでしょうか?
稲船:ゾンビを『NINJA GAIDEN』の絵で描いてしまうと、リアルなスタイルになっていくじゃないですか。それは嫌だったので、ゾンビらしさを生かしながら、おもしろいアートスタイルがないかと思った時、ふと「アメコミがいいな」と。『Walking Dead』というアメコミ作品があるんですが、あれがすごくよかったんですよ。
アメコミならこんなにゾンビの魅力が増すんだ、と思って提案させてもらって。普通、この手の提案すると「えー?」という反対の声があがって話し合うものだけど、アートスタイルに関しては、それがなかったよね。
早矢仕:そうですね。その場で「これでいこう」とすぐ決まりました。
――スムーズに皆さんの意見が合致したわけですね。
早矢仕:稲船さんもそうですが「このゲームは何が大事で、何を伸ばしていこう」という、目指すところのイメージが各自見えていたんでしょうね。現場も含めて、誰も反対意見は出なかったです。
稲船:制作していて、「やっぱり作りにくい」という声もなかったし、どんどん突き進んでいくことができました。おかげでかなり完成度が上がりましたね。
――アクション表現などに制約が出ると思っていましたが、特にないのはすごいですね。
稲船:まったくないですね。
早矢仕:ゾンビの腕を引きちぎったりする時にやりたかったのは、リアルに描くことではなく、そのパーツを武器にすることなんです。なので、このアートスタイルはユーモアを含めて、より『YAIBA』を昇華してくれるものになったと思います。
――グロくなり過ぎず、ですね。
稲船:血の量は半端ないですけどね。
早矢仕:すごいんじゃないですか(笑)。
稲船:でも、たぶん『NINJA GAIDEN 3』でこの血の量を出したら、元々の『NINJA GAIDEN 3』よりも相当すごいことになるよね。
早矢仕:きっと、かなりグロくなりますよ(笑)。
稲船:それだけの血の量を出してもグロテスクさを感じさせずにいられる。血の表現もそうですけど、それがアメコミのよさじゃないですかね。
――素朴な疑問なんですけど、主人公のヤイバも、実はゾンビですか?
稲船:1回死んでるようなものだから、ある意味ゾンビみたいなものなのかもしれません。でも、ニンジャだから生きていられるんです(笑)。普通の人なら即死ですが、ニンジャは大丈夫です。相当やられても、ニンジャは生きていられます。
早矢仕:あのメカがないと生きていられないかもしれないけど……(笑)。ちなみに、メカ設定もゲームの中で生きてきます。
――先ほど、ロケットパンチとかを見せていただいたんですけど、すごいアイデアでした。
稲船:新しいでしょ? 腕を飛ばすかと思いきや、体ごと突っ込んでいくという(笑)。
早矢仕:デベロッパーがすごくノリノリで作ってくれまして。あと、『NINJA GAIDEN』のリュウとは違うリュウが使っている“何とか拳”みたいなのもありますよ(笑)。「絶対あれじゃん!」みたいな。
――ぜひ“何とか拳”を見てみたいです(笑)。最後に『YAIBA』の見どころを教えてください。
早矢仕:今回、稲船さんやSpark Unlimitedと進めている『YAIBA』は、ゲームの新しい座組み作りを含めたチャレンジですが、触ってもらうと“どこか安心する新しさ”を感じてもらえるものになっていると思います。他にもいろいろと新しいチャレンジをしたいと考えていますので、今後の情報を楽しみにしていてください。皆さんのもとにお届けできるまで、まだお時間がありますが、まずは今回のプレイアブルでいい意味の安心感というか、期待をふくらませていただければと思います。
稲船:『YAIBA』はTeam NINJAと僕らとSpark Unlimitedのニンジャ、ゾンビ、メカをうまく組み合わせて、1+1+1=3ではなく10にしたいと思っています。そのためには、やはり『NINJA GAIDEN』の安心感が必要だし、僕がゾンビゲームにかかわる安心感も必要だし、海外の技術力や表現力というところも重要なファクターです。このE3バージョンでは、そういったことがうまく噛み合って実ったと思いますし、今後もこの方向性で攻めていくので、日本のユーザーも期待してくれていいんじゃないかと。変に「どうせ洋ゲーでしょ」みたいに思わずやってほしい。ハイブリッドなので、洋ゲーではないです。
早矢仕:洋ゲーでもないし、日本のゲームでもない。でも中途半端になっていない。新しいハイブリッドなゲームになっていると思います。
稲船:もう少ししたら、日本でも遊べる機会が来ると思います。まずはYouTubeなどの映像で楽しんでください。
――ありがとうございました。ところで少しお時間をちょうだいしまして、PS4とXbox Oneについてお聞きしたいと思います。両カンファレンスでいろいろ発表がありましたが、その率直な感想をお聞かせ願えますか?
早矢仕:今までであれば「こんなグラフィック、すごいでしょ」というアピールが必ずあったと思うんですけど、どちらもマシンパワーを前面に出してこなかった印象がすごく強かったですね。これからのハードは、皆さんの生活に入り込む“サービス”として展開していく時代になったなと思いました。そして、それを体現するゲームを我々が作っていかなければならない。そういう環境を、次世代機が用意してくれたんじゃないかと思います。
稲船:「性能が上がったから、こういうグラフィックにしてほしい」とか、「こういう処理ができるから、こんなことをやってほしい」と言っているのではなく、遊び方を変えてほしいという提案が両社ともあるような気がするんです。それに応えられるのは、途中までPS3やXbox 360で作っていたゲームではなく、このハードに合わせて考えられたうえで、今から作られるゲームだと思うんですよね。
現時点では現行ハード向けに作られたタイトルが多いように見えますが、遊び方のまったく違う、魅力的なゲームが出てくることは確信しているので、そこをユーザーには見てほしいなと。ローンチタイトルでいろいろなことを判断されがちですが、デベロッパーとしては、長い目で5年も10年も続くハードだと思ってほしいですね。
――次世代機でこんなゲームを作りたいというものがあれば、教えてください。
早矢仕:いろいろな企画が走っているので、それを皆さんに見せられる日が楽しみです。
稲船:“新しい遊び”のアイデアがあるので、それを実現できたらいいなと。早矢仕さんのところは作ろうと思えば作れるけれど、僕らは誰かと組まないと作れないので(笑)。そういう点ではひとハードルありますけれど、それを越えたうえで作っていきたいなと思っています。
電撃オンラインでは、“E3 2013”に関する緊急アンケートを実施しています。アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で、電撃オンライン×電撃PlayStation ゲーム詰め合わせ福袋を3名にプレゼント! 投稿の締め切りは6月16日(日)の23:59です。奮ってご参加ください。
YAIBA: NINJA GAIDEN Z (C)2012 TECMO KOEI GAMES CO., LTD. All Rights Reserved. YAIBA, NINJA GAIDEN, and the Team NINJA logo are registered trademarks or trademarks of TECMO KOEI GAMES, CO. LTD. Co-developed by comcept Inc. Spark Unlimited.