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2013年6月22日(土)

ネタバレ注意! 『真・女神転生Ⅳ』発売1カ月後だから明かせる深遠なテーマと、気になる数々の謎を開発陣が語る

文:まさん

■先人から続く『真・女神転生』シリーズのチャレンジ精神

『真・女神転生IV』

──次は楽曲についてお聞きします。先ほど、●●の●●はロウのテーマのアレンジをしているというお話がありましたが、今回のBGMは過去の『真・女神転生』シリーズのテイストを感じさせる曲が多いですね。

小塚:作り方としては、新しいテイストも過去のテイストもひっくるめて、とにかく『真・女神転生IV』に合うかどうかという一点で、あらゆる要素をジャッジしながら曲を組み立てていきました。純粋に、その結果がこうなったという形ですね。過去シリーズの曲については、今聴いてもやはり素晴らしく独特な魅力にあふれていて、個人的にも、とてもリスペクトしています。なので、今作にマッチする部分については、そのテイストも生かせればと考えていた部分は確かにあります。これは、アレンジさせていただいた過去作の曲についても同じですね。

──では新しい曲のテイストは、どんなコンセプトで作曲されたのですか?

小塚:言葉では説明しづらいんですが……シリーズ特有の『メガテン』らしい空気感を、『真・女神転生IV』的な解釈で全編に漂わせることをすごく意識しましたね。プレイしている時は常に不思議な感覚になってもらって、プレイをやめると現実に引き戻されるという……ある種の異世界感を大事にしています。ゲーム中の東京を歩き回っている時、現実の東京とは違う“異質感”や“異物感”を感じてもらえればうれしいですね。

──今回、邪教の館はファンにとって耳なじみのある曲ばかりで構成されていましたが、そこもコンセプトありきですか?

小塚:今回の邪教の館はミドーの作ったアプリなので、そのアプリに新曲が入っていると、「その曲は誰が用意したのか?」ということになるじゃないですか。だから、これまでに登場した邪教の館の曲が、アプリの中に入っているという設定ですね。

『真・女神転生IV』
▲ガントレット内のアプリという設定になった今回の“邪教の館”では、合体するたびに『真・女神転生I』から『真・女神転生III』の曲がローテーションで流れる。ちなみに、特殊合体時に聞ける曲も新曲ではなく、古参ファンにはなじみ深いSRPG『魔神転生』の曲だ。

──楽曲1つをとっても、ちゃんと設定が裏付けられているんですね。そのこだわりに脱帽です。ちなみに、曲のコンセプトやオーダーは、山井さんがされているのですか?

山井:いえ。大まかなコンセプトは決めていますが、あとはダンジョンやバトルなどの各プランナーに、必要な曲数を出してもらいました。小塚は最初、そんなにたくさんの曲は作りきれませんって言ってたんですけど、できあがってみた楽曲数を数えてみると、当初の想定曲数より多いという……。

──山井さんが、ムチャ振りでもなさったんですか?(笑)

山井:まさか! 増やしたのは小塚自身です(笑)。

小塚:実際そうでしたねー……。要するに最初から黙って作っておけばよかったんだな、と(笑)。今後、サウンドトラックも発売する予定なのですが、全部で110曲くらい作ったので、CD4枚組になると思います。追加コンテンツ専用の曲も含めて、ゲーム中の曲はすべて収録していますので、よろしければぜひ手に取っていただきたいです。

『真・女神転生IV』
▲ロックを取り入れていた初代『真・女神転生』から、デスボイスが流れる『真・女神転生III』やSF映画を思わせる『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』まで、このシリーズの音楽は常に革新的だ。

山井:サウンドのコンセプトとも関連するのですが、今回はキャラクターデザインを土居にお願いしたり、新規悪魔の絵をたくさんのクリエイターさんにお願いしたりと、いろいろな部分で新しいことにチャレンジしているんです。

──確かに。さまざまな部分で“革新”を意識していることは、ゲームを遊んでいてものすごく感じられました。

山井:そもそも『真・女神転生』シリーズって、常にチャレンジングな作品だったと思うんですよ。ファミコン時代、ファンタジーRPGが主流のところにあえて現代を舞台にした作品を出して、しかも楽曲はプログレッシブロックだなんて……めちゃくちゃチャレンジャーじゃないですか。先人がチャレンジャーだったのに、20年経った後の僕らが保守的なのはダメですよね。チャレンジこそが『女神転生』シリーズではないのか、と。だから、今回は絵も曲も『女神転生』としての常識をあえてブッ壊していこうよと2人にはお願いしています。

小塚:曲についても、伝統を意識した部分もある一方で、音のテクスチャー的な面では革新を強く意識していますね。全体的にかなり独特な質感にまとまったのではないかと思います。今回は、ダンジョン等のグラフィックも緻密で視覚からの情報量も多いので、そうした背景との親和性も意識しています。

山井:昔のシリーズの音楽も、その時代になかったものをやろうとしているんですよね。だから本作でも、「今までにやっていないことを優先しよう」という話を、開発の初期段階でしています。

──開発が始まり、小塚さんは最初にどの場面の曲から作られたのですか?

小塚:最初に作ったのは、タイトルが出るところのメインテーマですね。まだ開発を始める前に、本作のコンセプトに合う曲を作ってくれと言われ、試しに作ったのがこの曲だったんです。あとは、渋谷の地下街や東京のラージマップも開発初期に作っています。東のミカド国の曲もそうですが、最初に世界観が理解できる曲から作っていきました。

山井:出来上がったものを聞いてみたら、いきなり最初からOKの曲を作ってくれるんです。曲作りに関して言えば、今回は全然悩んでないんじゃないですかね、彼は。

小塚:いやいやいや、当然、作る時には1曲単位で相当苦しんでますよ(笑)。

──なるほど。では、ご自身が作曲された中で特に印象深かった曲や、山井さんや土居さんがお気に入りの曲はありますか?

小塚:東のミカド国のマップで流れるBGMが、地味に気に入っていますね。ただ、東のミカド国の曲って、ゲームを進めていくうちにどんどん聞く機会が減っていきますので(笑)。プレイする方はNPCの話を聞くついでに、じっくり聞いていただけるとうれしいです。

土居:僕は、冒頭のオープニングアニメで東のミカド国の全体像を写しつつ、キャストの名前が表示されている時のあの曲ですね。(開発スタッフ内で)本作の裏のテーマ曲とも呼ばれている曲で、冒頭以外でもアレンジされて登場します。とても気に入っていますね。

山井:渋谷の地下街やラージマップの曲など、東京の街のBGMは印象的でしたね。使っている音源がレトロフィーチャーな80年代風で、逆に新鮮なんですよ。その後、東のミカド国の曲を聞いた時に、小塚は白と黒、両方の印象の曲を作れる人だと確信しました。

小塚:80年代的なサウンドは、確かに意識していましたね。ただ、“懐かしさ”取り入れようという意図は一切なかったです。個人的になのですが……80年代のサウンドを今聞くと、音の感触からある種の“異世界の音楽”みたいな、独特の異質さを感じるんですよね。なので、その辺のテイストが今作の東京の世界観に合いそうだと考えて参考にしました。

『真・女神転生IV』
▲懐かしいフレーズやリズムで、シリーズファンの心を揺さぶる通常戦闘曲や、いかにもな王道ファンタジーを思わせる東のミカド国のBGMなど、本作の楽曲は非常にバリエーションに富んでいる。

→開発スタッフのプレイスタイルは?(5ページ目)

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データ

▼『真・女神転生IV』
■メーカー:アトラス(インデックス)
■対応機種:3DS(ダウンロード版)
■ジャンル:RPG
■発売日:2013年5月23日
■価格:6,300円(税込)
▼『真・女神転生IV 限定モデル』
■メーカー:アトラス(インデックス)
■対応機種:3DS
■ジャンル:RPG
■発売日:2013年5月23日
■希望小売価格:25,880円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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