2013年6月28日(金)
――一次コンテンツへのこだわりは、いつごろからあったのでしょうか?
せっかく企画者としてゲーム作れる立場にいるので、自分たちから発するオリジナルタイトルを出さないとダメだと、最初から強く思っていました。
――具体的にそのアイデアが固まったのは、いつぐらい?
PSP『勇者30』の時には、「自分の作品をやりたい!」というのが強くあったと思います。誤解されないようにちゃんと言っておきますが、版権ゲームをやりたくないわけじゃないんですよ。ただ、オリジナルも1本くらいはやらせてほしい、やるべきだろうと。
――マーベラスさんは、4~5年ほど前にオリジナルタイトルを強化したという印象ですね。
DSでオリジナルタイトルを作ろうという流れがありました。『ルクス・ペイン』とか『ルミナスアーク』とかですね。『牧場物語』シリーズは人気でしたが、会社としては他にも柱となるタイトルが欲しかったんです。
――その後、『閃乱カグラ』シリーズを開発しヒットを記録しました。高木さんとして、作品を手がけるうえで一番難しいのはなんですか?
今作ろうとしている作品が、何本くらい売れるのかを予想することは本当に難しいです。その中で、利益が出る範囲で予算を作る。何億円かけていいものを作ったからといって、その分売れるというわけではないんで。
あとは、適正な予算の中でゲームソフトを作って、次につなげることです。いきなり出しきるのではなく、積み重ねていくことは毎回意識しています。
――言われてみると、高木さんの作品は2~3作発売されることが多いですね。
▲時の女神とともに、30秒で目的をはたすという一風変わったソフト『勇者30』。その続編の『勇者30 SECOND』の他にも、Xbox 360用ダウンロードソフト『HALF-MINUTE HERO -Super Mega Neo Climax-』がリリースされている。 |
もう1つ難しいのが、新しい作品を作った時にどうやって知ってもらうのか……心をグッとつかむことができるのかです。例えば、『閃乱カグラ -少女達の真影-』の時に“おっぱいが立体視できる”と言っただけで、「ああ、わかりました」ってなるじゃないですか。
――なりますね(笑)。3DSで見るおっぱいというのはインパクトがありましたし、話題にもなりましたね。
皆、それを見たいじゃないですか? 知ってもらえる、覚えてもらえるものを作るのは本当に難しい! だって、いいものはたくさん世に出てくるじゃないですか? 情報を見た時に「コレはいいな!」って思ったとしても、買う時までは覚えていないことが多いんですよ。それをさけるために、覚えてもらうために爆乳プロデューサーという施策を含めていろいろな情報を出そうとしています。
――変な話、高木さんの名前や顔を覚えてもらうでもいいと。
そうですね。企業のブランドイメージを作るのって、ものすごく大変じゃないですか? でも、もう少し小さいところで、タイトルやバカなことをやっているプロデューサーの顔を覚えてもらうことならばできる。例えば『閃乱カグラ』ではないタイトルの時に「あの爆乳プロデューサーの高木が作っているなら、これは買いだな!」みたいになったら、うれしいですね。
――それはいいですね。
『勇者30』をおもしろいと思ってくれたユーザーの中に、『閃乱カグラ』を買ってくれた人がいたというのはすごくうれしいです。あのタイトルがおもしろかったから、こっちもやってみようと思ってもらえた。もしくはたまたま買った2本が、どちらも自分が手掛けていたということも感激でした。
▲当時、まだ普及していなかった3DSの話題を集めた『閃乱カグラ -少女達の真影-』。シナリオを北島行徳さん、キャラクターデザインを八重樫南さんが担当している。 |
――何か、共通してひかれるものがあったんでしょうね。
そうだと思います(笑)。
――ただ、もう5年以上も爆乳プロデューサーを名乗ってきたことで、ユーザーの中にも浸透したのではないでしょうか?
どうでしょうかね? ただ、ニコニコ生放送の時に水道橋博士さんにほめていただいたんですよ。普通の人じゃなくて、キャラを打ち出していくのは見ている人からもわかりやすいし、続けたほうがいいって! 博士に太鼓判を押していただき、「ああ、そうなんだ」ってすごく自信をもらいました。
――『閃乱カグラ』という作品を手掛けたことで得たものを教えてもらえますか?
うーーん、なんでしょうね。企画者なので、オリジナルコンテンツで話題になるものを出したかった。その中の1つとして、“アクションゲームで美少女キャラがたくさん出て、ちょっとエッチで、ちゃんと遊べるもの”があったんですよ。お色気だけの一本釣りじゃない、遊べるゲームを作りたかったという夢が、いいところまで実現できたと思います。中、高生からずっとためていたうっ憤を出せたかなと。それは1つ叶ったこと、得たものですね。
――うっ憤を射出できたと。逆に、失ったものはありますか?
結構ありますよ(笑)。体重は増えて……むしろ得ていますね! 健康は確実に失いましたね。最近はジムで水泳をやるようにしています。
――現在、『閃乱カグラ』はグッズの展開も幅広くやられています。作品を生みだす際に、そこも意識していたのでしょうか?
具体的に何を作りたいというのは思っていませんでしたが、ビジョンとして思い描いていました。『少女達の真影』を作っていた時、ソーシャルゲームの勢いがすごかった。「コンシューマゲームを作っている場合じゃないのでは?」という風潮もあったんで、それが悔しかったんですよ。
それもあって、ゲーム単品を作っていてもまずいと考えるようになりました。ゲームを基本として、アニメやグッズなど派生していけるものにする。ゲームを作るのではなく、コンテンツを作らないと生き残れないという意識があったんですね。それが強く出たため、今の流れがあるんだと思います。
――3DSで10万本の『閃乱カグラ』ですが、3DSより普及していないPS Vitaではねました。そこは予測していましたか?
1.2~1.3倍くらいになるとは思っていましたが、それをさらに上回る反響で驚いています。1本目『少女達の真影』が6~7万本出ている時に、『閃乱カグラ Burst -紅蓮の少女達-』と『閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-』の企画を立ち上げたんです。
その当時から会社としては『SHINOVI VERSUS』が10万本超えたらいいねという雰囲気でしたし、自分としても10万本超えを狙っていました。『Burst』については前作より売上が下がると予測されていたので、前作の本数を超えることが一つの目標でした。
▲シナリオの追加や、キャラモデルの刷新など、さまざまなところに手を加えた『Burst -紅蓮の少女達』。前作『少女達の真影』のシナリオもまるまる収録されている。 |
――きわどい話ですが、『Burst』の売上が下がると言われた時、ペイラインを下げるために開発予算を少なくしたのでしょうか?
いえ、逆に売上が下がるとしてもコンテンツとしてここが勝負の決め所と思っていたので、むしろ開発予算を増やさせてもらいました。TVアニメも動いていたので、黒字には確実にする。そのうえで、跳ねるかもしれないという可能性に乗っかってもらいました。結果的には10万本を超えて、ちゃんと『Burst』も跳ねたので安心しました。
――現在の『SHINOVI VERSUS』の出荷数はどれくらいなのでしょうか?
国内が17~18万くらいで、アジアが3万本超えだったかと。アジア全体で20万本を超えたので、予想より出ましたね。
――発売日に海外のファンが購入したというやりとりをツイッターでされているのを見て、タイトルとしての成長を感じました。
日本語のままでアジア版をリリースしているんですよ。自分でもシリーズが大きくなったのを感じた瞬間でした。
▲人数、グラフィック、システムを大幅に強化した新シリーズ『SHINOVI VERSUS』。シリーズ最高の売り上げを記録して、なお爆進中だ。 |
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