2014年3月18日(火)
皆さん、こんにちは。“電撃MTG”担当ライターのカワカミ雁々です。2014年も明けて早くも1カ月が経ちますが、TCG『マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)』を遊んでいますか?
世間では『テーロス』ブロックの最新エキスパンション『神々の軍勢』が発売されましたね。“神啓”や“貢納”といった新たな能力や、マルチカラーの“神”など、使いでのありそうなカードがたくさん登場しています。
さて、話は少しさかのぼって2014年1月。同じく電撃MTGを担当しているてけおんから、こんなことを言われました。「カワカミ君、『MTG』で何か2014年ならではの企画をやろうよ」と。2人で何をしようかと話し合った末にできたのが、今回お届けする“午デッキ対決”と“どんど焼きドラフト”です。
今回はこれらの企画の対戦を動画でお届けします。名前からしておわかりいただけると思いますが、念のため企画を解説しておきましょう。“午デッキ対決”は、その名の通りクリーチャー・タイプが“馬”のカードをフィーチャーしたデッキでの対戦です。ちなみに『テーロス』までのスタンダード環境に、この条件にあてはまるクリーチャーは5体います。調べずに全部言えるでしょうか?
続いて、もう1つの“どんど焼き”キューブドラフトですが、これは『ラヴニカへの回帰』ブロック、『M14』、『テーロス』に収録されたレア・神話レアの中で、今まで目立った活躍ができていないもの、相方に恵まれていないもの、あるいは素晴らしいスペックを持ちながらも人類にはまだ早すぎたものを使ったドラフトです。残念ながらデッキではなくストレージの中で1年を過ごしてしまったレアカードのみでカードプールを作り、ドラフトを行いました。
どちらもスタンダードの構築やドラフトテクニックの参考には一切なりませんが、 こういうオリジナルの遊び方もあるんだなと、楽しくご覧いただければと思います。
ではまず“午デッキ対決”からお届けしたいと思います。お正月休みに入る前に「じゃあ『午デッキ』作って勝負ね!」と言ったきりで、作ってきたデッキが丸かぶりする危険もあったのですが、カワカミは黒赤、てけおんは青白と、無事に色がわかれていました。対戦の模様がこちらになります。
というわけでカワカミの黒赤デッキが勝利しました。《肉餓えの馬》はともかく《謝肉祭の地獄馬》は思っていたよりも活躍してくれました。高いパワーと“速攻”が同居しているカードはやはり強力です。
後は“トランプル”か“飛行”があれば……と言ったところでしょうか。同じく高パワーで“飛行”を持つ《夢魔》もデッキに入れていたのですが、こちらは引き込むことができませんでした。スタンダードで活躍している“黒単信心”系のデッキがベースになっているので《思考囲い》《地下世界の人脈》といった、デッキを下支えするカードが普通に強かったですね。
てけおんの青白は《アクロスの木馬》で耐えつつ《霊異種》でフィニッシュするオーソドックスな青白コントロールでした。今回は《スフィンクスの啓示》が1回、《思考を築く者、ジェイス》はディスカードとドローが芳しくなかったのが敗因でしょうか。
《至高の評決》と《アクロスの木馬》がすごくアンチシナジーですが、本人に聞いたところ選択的に除去ができる《豚の呪い》も入れていたそうで、《アクロスの木馬》を生かすため四苦八苦した様子がうかがえます。
それぞれが使用したデッキリストも掲載しておきます。何かの参考になれば幸いです。ちなみに冒頭で述べたクリーチャー・タイプが“馬”のカードはカワカミの使用した《肉餓えの馬》、《謝肉祭の地獄馬》、《夢魔》と、てけおんの使用した《アクロスの木馬》、そして今回は出番のなかった《水跳ねの海馬》の5種類でした。また、どちらのデッキにも投入されていた《変わり谷》もすべてのクリーチャー・タイプを持つので“馬”でもありますね。
来年は羊年なので、デッキを作るのはなかなか難しそうですが(クリーチャー・タイプが“羊”のカードは14,000を超える『MTG』でも1種類のみ!)、『テーロス』ブロックでは“ペガサス”や“ケンタウルス”、“ユニコーン”も登場しているので、今年は時々“午”を意識してみるのも楽しいかもしれません。
土地(25) |
クリーチャー(18) |
その他の呪文(17) |
17《沼》 |
4《肉餓えの馬》 |
4《思考囲い》 |
土地(26) |
クリーチャー(5) |
その他の呪文(29) |
7《島》 |
2《霊異種》 |
2《急かし》 |
さてお次はちょっと変わったドラフトで遊んでみたいと思いますよ!
続いて“どんど焼き”キューブドラフトの模様をお伝えしていきます。今回はてけおんとカワカミ、そして電撃オンラインのカール・ハインツ、さらに助っ人としてトリソエでドラフトを行いました。
一般的なドラフトは、その場でパックをむいて行いますが、“キューブドラフト”では、あらかじめカードの束(※この束を“ドラフトキューブ”と呼びます)を作っておき、ここからそれぞれ15枚のカードを取ります。
それをブースターパックと同じように1枚ずつカードをピックしていく、ちょっぴり変わったタイプのドラフトです。
“ドラフトキューブ”の内容次第では、思いもよらないカードが活躍したりする、ワクワク感の強い遊び方です。
一般的なドラフトで目指すのは、マナカーブに沿った構成でできるだけ強いクリーチャーを入れて、色マナを安定させ、汎用性の高い除去を取るといったようなことですが、今回はカードプールがレアのみということで、そんな常識は一切通用しません。
てけおん:この環境って、除去何になるの?
カワカミ:《五連火災》か《妖術による金》とかじゃない?
カール・ハインツ:マナベースの補助は?
カワカミ:《彩色の灯籠》か《マナの花》だね
トリソエ:レアのクリーチャーがスタンダードでなかなか活躍できないのってマナ・コストが重いってのが1つの理由だと思うんだけど、軽いクリーチャーっているの?
カワカミ:《血の公証人》とか《形態の職工》でビートダウンできる……はず!!
そんなこんなで始まった“どんど焼き”ドラフトですが、私カワカミの初手がこちら。
鼻血が出るようなパワーカードの群れです。4人ドラフトなのでここから1手目、5手目、9手目、13手目と4枚ピックすることになるのですが、皆さんならどういうプランを立てますか?
僕はとりあえず大型飛行クリーチャーは正義だろうということで《混沌のインプ》か《氾濫の始源体》で迷った末、インプをピックしました。始原体で使えるインスタント、ソーサリーがあまりなさそうというのが理由です。
その後は、強力な除去になりそうな《発光の始源体》、なぐり合いに強そうな《不滅》などを取って、帰ってきた自分のパックでは《矢来の巨人》(《不滅》と超強力なコンボです)をピック、とりあえず白いカードを取っていきます。
そして2パック目、天啓が舞い降りました!
《威名の英雄》に《不滅》をエンチャントすれば最強じゃないでしょうか!? 1パック目で《メレティスのダクソス》もピックしていたので、ここで白の速攻を目指してみるプランが固まります。すると、隣から流れてきたパックにも《威名の英雄》が! これはいける! その後も《アナックスとサイミーディ》、《正当な権威》など、デッキに合ったカードのピックに成功し、最終的に完成したデッキがこちらです。
《威名の英雄》か《アナックスとサイミーディ》に《不滅》か《正当な権威》をエンチャントしてビートしていくデッキです。エンチャントが多いので《アジャニに選ばれし者》のトークン生成にも期待が持てますし、並んだトークンを《天使の散兵》で強化してやることもできます。1パック目ではどうなることかと思いましたが、意外とまとまったデッキになったのではないでしょうか。なお、このあと試しに回してみたところ、土地が18枚では少なすぎたので《不死の贈り物》を抜いて土地を19枚にしています。
また、他の3人は以下のようなデッキを組んでいました。
▲てけおんのデッキは《先端生物学者》4枚、《クローン》、《身分詐称》というコンボデッキ。除去が少なく、遅い環境なら4枚並ぶのも夢ではないですね。 |
▲カール・ハインツは赤黒青のデッキ。《オーガの貧王》で出たトークンを《ドラゴン化》で強化したり、《殺人王、ティマレット》の能力にあてたりしてじわじわと攻めてそうです。 |
▲トリソエは赤緑でまとめた形に。パワーカードが多いので《一族の信号》で何を引いても強く、またこう着状態を一発で打破する《派手な投光》も強力です。 |
では、この4つのデッキで実際にゲームをしてみましたので、こちらの動画をどうぞ!
いかがだったでしょうか。この特異な環境では、いわゆる受けの広い“丸いデッキ”よりも、必殺の動きをできるかどうかが重要ということが伝わってきますね。また、基本的に同ブロックのカードを使って遊ぶドラフトと違い、今回の《威名の英雄》+《正当な権威》のような普通ならありえないコンボが誕生するのもおもしろいところです。
では、続いててけおんとカール・ハインツのゲームを動画でどうぞ。
こちらはてけおんが2ゲーム連取で勝利しました。《先端生物学者》コンボはありませんでしたが、やはり《精神を飲む者、ミルコ・ヴォスク》はリミテッドでは圧倒的な強さ! ゲームが長引きやすい展開では“怪物化”クリーチャーは驚異のパフォーマンスを誇ります。
というわけで、1回戦を勝利した2人による決勝戦をお届けします。速度のカワカミか、パワー&コンボのてけおんか。勝利したのはどちらでしょうか。
第1ゲームはあわや《先端生物学者》が4体並ぶか、という状況でしたが、空気を読まずに除去を引き込んで研究の完成を阻止し、押し切ることができました。そのままの勢いで第2ゲームも軽快(?)にビートダウンしきることができて、勝利することができました! なお、ゲーム中《正当な権威》による追加ドローを忘れています。申し訳ありません。
今回はクリーチャー・タイプ“馬”をフィーチャーした“午デッキ対決”、昨年活躍させられなかったレアを集めた“どんど焼きドラフト”という2つのちょっと変わったオリジナルレギュレーションで遊んでみました。スタンダードで遊んでみたり、パックをむいてドラフトで遊ぶのももちろん楽しいですが、たまにはこういった資産を生かした遊び方をしてみると、新鮮な楽しさがありますし、カードを生かすヒントが見つかるかもしれません。
ぜひ皆さんも、ストレージに眠ってしまっているカードをたまに掘り起こし、遊んでみてくださいね。
(C)2014 Wizards of the Coast LLC, a subsidiary of Hasbro, Inc. All Rights Reserved.
データ