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2018年2月3日(土)

【おすすめDLゲーム】『Subnautica』で感じる海中ならではのオープンワールド体験とサバイバル性

文:キャナ☆メン

 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回は、オープンワールドの海中世界を舞台にしたサバイバルゲーム『Subnautica』を取り上げます。

『Subnautica』

海中世界のサバイバルに欠かせない“酸素”

 ゲームを開始すると、墜落寸前の宇宙船オーロラ号から逃げ出すため、いきなり脱出ポッドに乗り込むシーンが映ります。「発射まであと3……2……1」と告げるアナウンスが、まるでサバイバル開始までの秒読みのよう。

 そうして脱出ポッドと一緒に放り出された場所が、大きな海の広がる惑星です。謎は多いけれども助けは期待できず、近くに人の気配もなく、海に1人だけの状況。ポッド内にあるわずかな物資とクラフト装置のファブリケーターを足掛かりに、広大な海のオープンワールドを、生き抜いていかねばなりません。

『Subnautica』
▲海に墜落したオーロラ号。サバイバルの始まりです。
『Subnautica』
▲ファブリケーターはかなり万能です。焼き魚から精密機械まで設計図と素材さえあれば何でも作れてしまいます。製作物によっては他の装置が必要なこともあります。

 サバイバルゲームということで、当面は食料と水を確保しながら、クラフト用に素材を集めていくことが重要になります。さらに本作の場合、陸上を舞台にしたサバイバルゲームと違って、“酸素”のパラメータが非常に重要な意味を持ってきます。

 当然のことながら、人間であるプレイヤーが海中を行動できるのは酸素が続く間のみで、酸素が切れれば死んでしまいます。つまり、海中を探索することにつねに死のリスクがつきまとうのです。

『Subnautica』
▲焼き魚を作成中。ゲーム開始時に選択するモードによっては、食料や水がいらない場合などもありますが、遊ぶなら基本となるサバイバルモードがおすすめです。

 例えば、ちょっとした洞窟があったとして、その中には鉱石などクラフトに必要な素材があると期待できます。しかし、外からではどれだけの広さかよくわかりません。つまり予想以上に広いと、途中で酸素が足りなくなるかもしれない……!

 酸素があるおかげで、そういった“この先に進んで生きて帰れるのか”という葛藤と緊張感がつねにつきまとい、プレイしているとたまらなくクセになっていきます。

『Subnautica』
▲実際によくあるのは、素材集めに夢中になってしまい、気付いたら酸素が足りなくなっている状況。つねに酸素をチェックする習慣を身につけないとヤバイです……!

 見方を変えれば酸素はある種の行動制限になっているわけですが、先ほど“当然のことながら”と書いた通り、水中で行動するのに酸素が必要、という理屈は非常にしっくりきます。行動の制限がストレスになるか緊張感になるかは、ある意味で紙一重の部分かと思いますが、素直に納得できる形で緊張感を得られるのは、海であることを生かしたオープンワールドのよさだと思います。

海中探索ならではのおもしろさとゲーム体験の多様性

 海中オープンワールドということで、地面に縛られず自由に移動できるのも本作の楽しいところです。最初から360度のどこにでも移動できる自由度は、未知の場所を探索したいというモチベーションが上がり、海の中を探索しているだけでも楽しさがあります。

『Subnautica』
▲海を泳いでいると、地面に縛られない移動が何とも楽しく感じます。

 また、上から下に広がる世界も新鮮味があって、浅い海の地形だけをとっても、陸上のオープンワールドゲームとは、ひと味違った体験を得ることができます。これまで下から上に登っていくことに慣れていた人間が、その逆をやるだけでも結構楽しいと気付かされるのです。

 さらに本作の場合、東西南北で水平的に探索範囲を広げていく場合と、水深300m以上の深海へ潜っていく場合とで、同じゲームでも異なるおもしろさがあります。

 東西南北に探索範囲を広げていく場合は、未知の場所を探索して素材や設計図を集め、それによって高度なアイテムをクラフトし、さらに探索範囲を広げていくというオーソドックスな楽しさがあります。

 探索の過程でオーロラ号の乗組員に関するデータを発見することもあり、最初はまったく不明であるストーリー的な背景を徐々に知ることができるのも、楽しみの1つです。

『Subnautica』
▲海に沈んでいた他の乗組員の脱出ポッド。通信機を使うと、ヒントを得られることもあります。
『Subnautica』
▲探索範囲を広げていく過程で、基地を築くことも重要。最初は通路を繋ぎ合わせた、潜水艦の船内のような狭い居住区しか作れませんが、見た目に海中らしさがあります。

 また、ある程度まで探索範囲を広げて設計図を入手できれば、小型ビークルや潜水艦などの乗り物をクラフトできるようになり、飛躍的に探索範囲を広げたり、乗り物自体のおもしろさを体験できたりします。

『Subnautica』
『Subnautica』
▲乗り物を作れるようになると、一気に行動がラクになります。深海に潜るようになると過酷な環境が待っているので、思えばこの時期が我が世の春だった気も……。

 そうした乗り物をクラフトし、専用モジュールである程度のアップグレードを行うと、いよいよ深海探索の準備が整ってきます。深海を探索する場合は、まず“光の届かない真っ暗な世界である”というのが大きく違います。

 浅い海でも夜になると真っ暗になり、慣れるまでは探索するのがなかなか怖いものなのですが、深海には乗り物をあっという間に破壊するような巨大生物も棲息するなど、暗くて怖い以上に実質的な危険の度合いが高まります。

『Subnautica』
▲非常に攻撃的で、積極的に襲いかかってくるゴースト・リヴァイアサン。その姿を見たくない相手です……。

 真っ暗な世界を危険に怯えながら探索し、もし乗り物が壊れるような事態に陥った場合、脱出できても酸素不足や敵の襲撃で帰りようがないという絶望的な状況は、緊張感と恐怖感に支配され、息の詰まるような思いすらします。

 酸素について触れた部分で“つねに死のリスクがつきまとう”と書きましたが、正直、深海で感じる死の身近さはその比ではありません。“もし人気も街灯もない夜道を1人で歩くなら、こんな怖さではないか?”と思える恐怖です。ただそれだけに、生きて帰れた時の安堵もひとしおで、たまらない解放感があります。

『Subnautica』
▲非常にわかりにくいですが、潜水艦のカメラがゴースト・リヴァイアサンの姿をうっすらと捉えました。暗闇の中、幽霊のように浮かび上がる姿が怖すぎます。

陸上とは違う体験ができるオープンワールド。誰にでもおすすめ

 『Subnautica』は、2014年12月にアーリーアクセスが始まり、3年強の時を経て今年の1月23日にまずPC版の正式リリースが行われたタイトルです。筆者は正式リリースを機にプレイしてみたのですが、まだまだ触れてない部分がありながら、陸上のオープンワールドとはまた違う体験を得られる、海の世界ならではのおもしろしさを味わっています。

『Subnautica』
▲ちなみに序盤は、このブラダフィッシュが水の素材として非常に貴重です。

 繰り返しになるのですが、海中という空間を自由に動き回れることがまず楽しいですし、食料や水に加えて酸素を意識しないといけない部分もサバイバルのアクセントになっていると思います。さらに深海の探索では、心臓が縮み上がるような恐怖を体験できます。

 日本語に公式対応していてプレイも快適ですし、ゲーム的にも言語的にも、基本的に誰にでもおすすめできると思います。オープンワールドのサバイバルゲームということで、ボリュームが膨大でプレイに時間がかかりますが、気長に少しずつ楽しめる1本としていかがでしょうか?

(C) 2018, Unknown Worlds Entertainment. All rights reserved.

データ

▼『Subnautica』
■メーカー:Unknown Worlds Entertainment
■対応機種:PC
■ジャンル:ADV
■配信日:2018年1月23日
■価格:2,570円(税込)

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