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2011年6月17日(金)

重力を操るA・AVG『GRAVITY DAZE(仮)』インタビューで気になるアソコをほじる

文:電撃オンライン

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■ゲームの基本情報

『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動(仮称)』

――PS Vitaで制作されている本作ならではのポイントの1つに独特な操作感があると思います。操作面ではどこを魅力としてお考えですか?

 携帯機でジャイロを利用できて、これまでにないAR的な感覚が得られるところですね。普通にスティックでカメラを振るのとは異なる、世界の中をのぞき込むような一体感が楽しめますよ。

――“重力コントロール”という斬新なアクションがあるので、操作が複雑なのかなと思ったんですがいかがでしょうか?

 重力コントロール以外の部分は、シンプルというべきか、できるだけオーソドックスにしようと考えています。左スティックで移動して×ボタンでジャンプして……といった形になりますね。そこに重力コントロールが入ることで、いつもと同じことをやっているんだけど、ちょっと違うな、気持ちいいなと感じられる新鮮なアクションを実現しています。

――全体的なゲームの流れについてお聞きします。本作はメインストーリーのエピソードをクリアしていくオーソドックスなステージクリア型になるとのことですが、その具体例をお聞かせください。

 まず、1つの街を舞台としたフィールドの中に、エピソードの起点となる人物や場所があり、そこから新たな展開(エピソード)が始まります。それをクリアするとフリーのフィールドに戻りまして、次のエピソードの起点に行くか、チャレンジミッションをやるか……そんな流れを繰り返してゲームを進めていきます。メインストーリーは一本道ですが、チャレンジミッションでは、メインストーリーでは表現しにくい遊びを楽しむことができますよ。

――チャレンジミッションは、どんな内容になりますか?

 本作の重力アクション自体は汎用性が高いので、何らかの条件を少し付け加えるだけで、様々な遊びを実現することができます。たとえばタイムアタック的なものとか。チャレンジミッションでは、そういった遊びをふんだんに用意しています。

――オープンワールド系の作品ということで、フィールドの構造にも注目が集まっています。重力コントロールによって上下左右の360度、どこにでも行けますよね。これを考えると、制作するのが相当大変なのではと思いますが、その辺りはいかがでしょうか?

 制作は本当に大変です(笑)。オープンワールド系のフィールドというと、平面的に広がりがあるのが普通なんですけど、このゲームには縦軸にも広がりがありますので……。また、当たり判定も大変ですね。普通は、壁は壁として、床は床として必要な属性だけを与えて作るのが基本ですが、このゲームではすべてが壁であり、すべてが床でもあるんです。キャラクターをはじめとするさまざまな“モノ”がどういう角度で壁や床に当たるか、どういう速さで当たるのかもいろいろなパターンがありまして、これらを調整するのはとにかく骨が折れます。いまだに「こういうときに、挙動がちょっとおかしくなるんです……」という声がスタッフから上がってきます。重力を操るというアイデアの作品は、他にもあったのかもしれませんが、それを実現するのはすごく大変なことだなと実感しました。重力を中心に据えたゲームをここまで作り込んでいるのは、前例がないと思います。

――単純に制作時の作業量が、普通のオープンワールド系ゲームのフィールドの何倍にもおよぶ構造になっているわけですね。

 はい。でも、そこはいろいろ工夫していますよ。メインスタッフにレースゲームの開発に慣れている人がいるので、そこで培ったノウハウを上手く持ってきています。たとえば、建物を1つ1つ個別に作るのではなく、入れ子状にパーツを組み合わせて建物の種類を作っていきます。こうしたやり方で、かなり広いフィールドを詳細に構築できました。その構造の長所として、インタラクションも豊富です。看板などにぶつかるとボロッと落ちるみたいな仕掛けも、いたるところで発生します。

『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動(仮称)』

――縦軸にも横軸にも広がる世界で、“あそこに行ってこういったことをする”とか、それに対してギミックの反応があるとかスゴイですね! 操作しているだけでも楽しそうです。

 ストーリーを進めずに、テキトーに「あそこに行くぞ!」とかやってるのが一番楽しいかもしれません(笑)。

――街の住民など、キャラクターの反応も変化することはあるのでしょうか?

 ストーリーに絡んでくるのはどうしても特定のキャラクターになるんですけど、街の住民などは、エリアによって行動とか外見が変わったり、こちらからの干渉による反応が何種類かあったりと、そういう変化はありますよ。特に重力コントロールに他の人を巻き込んだときの表現は、開発当初からおもしろいと感じていたので、さらにいい感じになるよう相当頑張って作り込んでいます。

――なるほど。非常に楽しみです!

 ぜひご期待ください! PS Vitaで開発するということで、本格的な物理エンジンを動かせるようになったので、“物理的に干渉する、される”といった仕組みは全体的に組み込まれています。おもしろいギミックの一例は“乗り物”ですね。街中に列車が走っているんですけど、これも単なる背景ではなく、干渉することができます。乗ることもできますので、ぜひチャレンジを(笑)。

――そういったギミックを利用したバトルや謎解きなどは用意されていますか?

 まわりにあるモノをうまく使って……というシーンは一部のバトルに入れる予定です。パズル性のある謎解きは前面に押し出していませんが、ゲームの要所要所で出てきます。実際問題、重力コントロールは自由度が高すぎて、謎解きに応用しようとすると制限をかけるのが難しいんです。もちろん、ストーリー上では「こんな制限がかかっているが、この能力だけでこれをなんとかしなければいけない」といった場面はありますよ。

――ストーリーを堪能させるという点と重力コントロールという点に、本作のおもしろさが凝縮されているわけですね。

 はい、そこに力を入れています。ですから、謎解きに関しては控えめです。フィーリングというか自由な感じや浮遊感を堪能できることが大事なので、ギミック的な制限を細かくかけるより、思うがままに行動して、それでどんどん新しい展開が生まれていくスタイルを採用しています。

――ところで、プレイヤーキャラクターには成長要素があるとのことですが、具体的にはどのような仕組みでしょうか?

 いくつかのパラメータを個別に伸ばしていくシステムです。街のあちこちに入手できるアイテムがありまして、これらを集めて能力や技に交換するといった方法を検討しています。

――主人公には何種類ぐらいパラメータがあって、どのような仕組みでカスタマイズできますか?

 それは調整中でして……どのぐらいの数にしようか悩んでいるところです。5~10個の間がいいのかなあと考えています。パラメータの種類は、攻撃力や重力コントロールに関係するものなどを予定しています。

『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動(仮称)』

――たとえば、パラメータをある程度まで上げないと行けない場所があったりするのでしょうか?

 それで詰んでしまうとマズイですから、パラメータが高いと楽に行けるけど、低いと苦労するぐらいのバランスにしています。ゲームの基本は重力を操ることですので、パラメータそのものも基本はそこに絞っています。“エナジーゲージ”の量が多ければ多いほどに高いところに到達できるので、そのゲージの減り具合を左右するパラメータなどを用意しています。

――ちなみに、ネットワーク関連で特別な仕掛けはあるのでしょうか?

 “シングルでしっかり遊ばせる”というのが本作のコンセプトの1つなので、ネットワークに関する仕様で特別なものは用意していません。ですが、チャレンジミッションをフレンドの方と競ってもらうとか、そういった基本的なところはしっかり用意したいと考えています。

■最後に

――今年のE3で初めてユーザーが本作に触ることになりましたが、反応はいかがでした?

 そうですね。PS Vitaというハードを含めて、非常に斬新と捉えていただけたようで、とてもよかったです。Webなどの反応も、私が知る限りではおおむね好評のようでホッとしています。やはり、重力を操作するということを皆さんに伝えるのはどうしても難しいものでして、出展する直前まで伝え方を悩んでいました。実は今回出展したバージョンでは、本作で可能なアクションの初歩の部分しか入っていません。ですが独特の浮遊感とかは十分伝わったようなので、第一段階としてはよかったと思います。

――アクションの種類はまだまだあるんですね!

 まだまだありますよ! せっかくなのでいろいろ体験してもらおうと思いまして、今回の出展バージョンにごっそり詰め込んだら、「こんなにいっぱいあったら、試遊で遊びきれないだろ!」と社内で怒られまして(笑)。そこから、ひたすら要素を削って削って削って……。10分で遊べるぐらいに抑えたら、本当に初歩的なアクションだけになっちゃいました。

――取材前に頂戴した画面写真を見て、どんなゲームなんだろうと思っていたんですけど、実際の映像を見たり実機で触ったりしたところ、「ああー、なるほど、こんな動きをするのか!」と思いました。

 そうなんですよね……。止まっているとなんの場面なのかわからないものばかりになってしまって(笑)。ぜひ動画で観て、できれば次の機会に実際に触ってもらって、「なるほど、こういうことなのか!」というのを味わっていただきたいですね。

――それでは最後に、本作に期待しているユーザーに向けてメッセージをお願いします。

 新しいハードへの期待に応えられるような、まったく新しいゲームを目指して日夜頑張って制作しています。ぜひぜひご期待ください!

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

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