2009年5月26日(火)
トークショーの次なるコーナーでは、ガンダム30周年を記念してアムロ役の古谷徹さんが登場し、ファーストガンダム時代のエピソードを振り返った。
▲ちなみに、入野さんは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』公開の年に生まれたのだとか。30周年を迎えた作品だけに、読者の中にも「作品のスタートと同じ年に生まれた!」という人も多いのでは? |
今でこそ、自らのバイブルとして作品を愛する著名人がいるほど、世間的評価も高い『機動戦士ガンダム』。だが古谷さんによれば、放映当時は戦争を題材にしたことへのバッシングもあったそうだ。とはいえ、当時からすでにアフレコ現場に出待ちの男性ファンが大勢駆けつけ、全国に100以上のファンクラブができるほどの人気もあったという。
▲ガンプラは作らないが、ファンからもらったガンプラは大事に保管していたという古谷さん。2年前に初めてイベントでガンプラを作った古谷さんは、接着剤もいらず色も塗ってある完成度に感心したと話した。その直後、姫路城を作ったら接着も色塗りも自分でやらなければならず、「プラモデル全体じゃなくて、ガンプラだけが進化したんだなあ」としみじみ。 |
古谷さんは、収録時のエピソードについても語ってくれた。アムロがニュータイプの力を発揮するシーンについて、「僕は、ニュータイプではない普通の人間なので、アムロがニュータイプの力を発揮した時に何を感じていたのかわからず、どう演じていいのかわからなかった」と話した。それで編み出した演技法が、映像を見ずに自分で雰囲気をつかみながら「そこ!」とセリフを発する方法。「本当にうまくいったのは1、2回で、後は全部NGでしたけどね」と笑う古谷さんであったが、これにはMCの2人も観客も大きな感嘆の声をもらしていた。
そんな工夫を凝らした演技を続けていたある日、古谷さんは、アムロのひたいの上に光る小さい稲妻のような映像について富野監督に質問をしたそうだ。すると富野さんは、「気づいちゃいましたか」と言って、初めて古谷さんにニュータイプの説明をしたという。これは、アムロ本人が自分をニュータイプと気づいていなのと同じ状況に置くため、あえて古谷さんにニュータイプの話をしていなかった理由があったのだとか。
最後に、「古谷さんにとってガンダムとは何ですか?」という質問に対し、「ガンダムは、僕にとって生きた証です」とおだやかながらもはっきりとした口調で答えていたのは、印象に残る姿であった。
出演者がチームに分かれて得点を競うコーナーや、ライブパートの第2部を挟んだイベントの最後には、出演者からファンへのメッセージが送られたのだが、ここである1人の出演者から衝撃の告白が!
新人声優でありながら黒幕のリボンズを演じていた蒼月昇さん。入野さんからイベントの感想を求められた蒼月さんは、「自由くん、おイタが過ぎたようだね……」とリボンズさながらの貫禄を見せると、サングラスを取り、自らが古谷徹であることを明かしたのだ。
▲誰もが知って……いや知らなかった衝撃の事実に、出演者の皆さんも驚きを隠せず!? 「正直言うと、面倒臭くなってきました(笑)」という古谷さんのコメントには、出演者も観客も爆笑。 |
ちなみに名前を変えて出演していたのは、水島監督の指示であったとのこと。古谷さんが演じただけで、どんな役でも重要な役柄なのでは? と疑われるのを避けるためであるのが理由だ。古谷さんは、蒼月を演じたことについて「いろいろ楽しかったです」と感想を述べていた。
以下に出演者からファンへのメッセージを掲載する。
・戸松さん
Gフェスに参加させていただいてとてもうれしく思っています。劇場版の方も皆さん楽しみにしていてください。どうもありがとうございました!
・高垣さん
本当に楽しいイベントで、『ダブルオー』という作品を通して結ばれた皆様との絆をすごく感じさせていただき、とても幸せな気持ちです。私もその気持ちを胸に、またフェルトとともに歩んでいきたいと思います。どうもありがとうございました。
・古谷さん
『機動戦士ガンダム00』――その作品の完成度、熱さ、皆さんの愛、ファーストを超えたと思っております。まだまだ続きますけれども、チームも本当にすばらしいチームで、僕もこの1年半楽しませていただきました。これからも『ダブルオー』と『ガンダム』シリーズのすべてをよろしくお願いします。
・中村さん
皆さんに支えられて、続けてこられた作品なんだな、というのを改めて感じております。あと、ずっと気になっていた「ひょっとして隣にいる方は古谷徹さんなんじゃないだろうか?」というモヤモヤが、皆さんと同じタイミングで、晴れてよかったなと思っています。今この場で知らなかったら、後でネットニュースで知るところでしたからね(笑)。皆さん、本当にありがとうございます。
・恒松さん
思えば1年とちょっと前に、同じ会場でG フェスティバルへ初めて参加させていただいたのですけれども、その時も今日と同じくらい緊張したことを思い出しました(笑)。この『ダブルオー』という作品は、登場するキャラクターが本当に多かったのですが、アフレコ現場は大きな1つの家族のようなすばらしい現場でした。本編は終わってしまいましたけれども、世界は新たなスタートを切ったということで、これから彼らがどう動いていくのか、また注目をしていただければと思います。
・神谷さん
前回(Gフェス 2008)の時は、ファーストシーズンが終わるか終わらないかのころでしたが、今回は50話全部やりきった後でこうしてお会いできたので、特別な感情がこみあげてきています。でもまだ終わったわけではありません。スペシャルエディション、そして劇場版とまだまだ続いていきますので、これからも愛してください。『機動戦士ガンダム00』、そして『機動戦士ガンダム』そのものをこれからもよろしくお願いします!
・吉野さん
『ガンダム00』はこのメンバーでよかったなと思っています。でもやっぱり、このメンバーで作品を作ることができて、『ダブルオー』も1つのアニメーションとして、1年半かけて回答みたいなものが出されました。後は劇場版で、「ああ、やっぱりよかったな」と思えたらすごく幸せなことだと思います。この「よかったな」の中には、皆さんと一緒に『ダブルオー』を見届けられた、というのもあります。ありがとうございました。
・三木さん
僕自身、ファーストガンダムはリアルタイムで見ていました。そしてこの『ガンダム00』で、ファーストガンダムを見ていた時に主人公を演じていた古谷さんとご一緒できたことは本当に幸せなことですし、この作品がちょうどガンダム30周年とぶつかっているのも奇跡的な出会いみたいなものを感じていて、僕自身も本当によろこんでいます。『ガンダム00』がこれで終わってしまうわけではなく、スペシャルエディション、劇場版へと続きます。劇場版では、また監督からハードルの高い要求がくるのではないかと思っていますので、その時にまた、そういった要求に応えられるよう自分も成長していきたいと思っています。皆さんありがとうございました!
・宮野さん
皆さん、いつもいつも僕らを応援してくださって本当にありがとうございます。ずっと愛を感じています。出演者の皆さんの熱い思いからも、こういった作品に出会えたこと自体が、本当に幸せなことなんだと僕も噛みしめています。大事な絆――刹那が本編中で得ることができた絆のようなものを、僕もこの作品に出会って、こうやって皆さんが応援してくださるのを目の当たりにして、その絆をどんどん厚く感じています。本当に皆さんありがとうございます。そしてこれからも『ダブルオー』をお願いします。
・水島監督
こういうイベントが行われているということは、自分にとってすごく大きくて大事なことなんだと思っています。「『ガンダム』というタイトルの作品に監督として関われるのは、人生の中でも大きなことだ」と感じています。TVシリーズ50本をやりきったぞ、スタッフと一緒にいいものを作ったぞ、という誇りは持っていますが、さらにスペシャルエディション、劇場版を皆さんにしっかりお贈りしないといけないなと決意を新たにしています。これからも『ダブルオー』、『ガンダム』シリーズすべてを愛していただけたらうれしく思っております。本当にありがとうございました。
▲最後は観客と出演者が一丸となって、「機動戦士ガンダムダブル……オー!!」と腕をかかげ、幕を下ろした。 |
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■G フェスティバル 2009(東京会場)概要