2009年11月20日(金)
10月15日に発売され、そのシナリオの完成度の高さから“神ゲー”、“感動して泣いた”という意見がユーザーの間で急増し、話題を呼んでいるXbox 360『STEINS;GATE(以下、シュタインズ・ゲート)』。本作のプロデューサーである5pb.松原達也さんとシナリオを手がける林直孝さんに、電撃オンラインのギャルゲー番長・ごえモンがインタビューを行った――。
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とまあ、硬い口調はこのあたりにしまして、あまりにも『シュタインズ・ゲート』がおもしろすぎ&好きすぎて我慢ができなくなった僕は、唐突に5pb.へ向かい一ファンとして松原さんと林さんにお話を伺ってきたわけですよ。そのインタビュー記事が、今ディスプレイの前でアナタが見ているこの記事です。本作の開発経緯や裏話、小ネタなど、貴重なお話をたくさん聞くことができたので、ぜひ本作をクリア済みの方にはご覧いただきたいです。未プレイの方には、少々危険な内容になっておりますので(ネタバレ的な意味で)、そこは自己責任で読むようにしてください。
「それでは、これより5pb.へ潜入する。……大丈夫だ、そんなヘマはしない。……ああ、わかってる。エル・プサイ・コンガリ……コングルゥ」(インタビューをどうぞ)
※インタビュー中は敬称略
――まずは月並みですが、Xbox 360『シュタインズ・ゲート』開発の経緯についてお聞かせください。
松原達也(以下、松原):社長の志倉(5pb.代表取締役の志倉千代丸氏)から、Xbox 360『CHAOS;HEAD NOAH(以下、カオスヘッド ノア)』の発売前に、科学アドベンチャー第2弾を考えているとは聞いていまして、「わりと話が作れてきたんだ」という話をしていたんですよ。でも「それ(次回作の話)を聞いちゃうと、おもしろすぎて『カオスヘッド ノア』が手につかなくなるから、今はまだ教えない」と言われてしまいまして(笑)。
――志倉さんは自信満々だったわけですね。
松原:ええ(笑)。で、実際に『カオスヘッド ノア』の目処がついてから、志倉と林、僕の3人で次回作について打ち合わせをして、志倉から「次はタイムマシンモノで行く」というプロットを聞きました。
林直孝(以下、林):その時点ではキャラクターデザインが決まっていなくて、どうしようかと悩んでいたんです。
――本作では、前作のささきむつみさんの絵柄から、ガラっと変わってhukeさんを起用されましたが、hukeさんにしようと思ったのはなぜですか?
松原:当然、『CHAOS;HEAD(以下、カオスヘッド)』と同じで、ギャルゲーチックな路線の絵柄というのは考えはしました。でもそうじゃなくて、今回はユーザー層を広げたかったのもあって、見た目からして「“他のギャルゲーと違うぞ”、という部分を作りたいよね」と話をしていました。そこでちょうど『ブラック★ロックシューター』という作品を見て、hukeさんを知ったんです。そしてこの方なら、他とは違うものができるんじゃないかと声をかけてみたら、いい返事をいただけまして、「じゃあ実際のデザインはどうしようか」という話になりました。それが年明けぐらいですね。
――『カオスヘッド ノア』の発売前には決まっていたんですね。
松原:そうですね。『カオスヘッド ノア』のマスターアップをした直後ぐらいでした。
――今回、プラットホームがXbox 360のみでの発売でしたが、その理由をお聞かせください。
松原:『カオスヘッド ノア』を開発してみて思ったのが、AVGを作るうえで“表現の幅”の制約を考えずに開発できるハードがXbox 360しかなかったんですよ。今回も、「アレをしちゃいけない」「コレをしちゃいけない」と気を使いながら作るのではなく、自分たちの作りたいもの、見せたいものを作ることを考える上では、やっぱりXbox 360しか選択肢がなかったんです。
――PC用ソフトとして開発するという選択肢はなかったのですか?
松原:PCになってしまうと、それはそれで“一般作を作る”という構想と違ってきてしまいますよね。やっぱり、コンシューマで勝負をしたかったのでXbox 360で開発しました。『カオスヘッド ノア』が非常に評判がよく、手ごたえがあったというのも大きな理由です。
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――なるほど。話は変わるのですが、1つだけ前からお聞きしたかったことがあります。志倉さんが前作と本作の原作を執筆されていますが、原作段階でどの程度の物語、シナリオが構成されているのでしょうか?
林:『カオスヘッド ノア』の場合は、かなり深い段階のストーリーレベルまで志倉が作っていて、僕が見せられるものに組み替えて、肉付けしていきました。今回に関しては物語の根幹とも言える“過去に送信出来る“Dメール””と、それを使った“タイムリープ”という設定、さらにその“裏付け”部分に重点を置いて志倉が作っていて、シナリオ部分は僕と、(ニトロプラスの)下倉バイオさんの2人がメインで話を作っていきました。
――下倉さんもシナリオを書いているのですか?
林:いえ、下倉さんはテキストそのものにはかかわっていません。プロットというか全体の構成部分に関して、特に後半の部分でアドバイスをいただきました。
――アドバイスをもらったというのは、やはりタイムリープ部分ですか?
林:はい。タイムリープ部分でたくさん参考になるアドバイスをいただきました。ちょうど下倉さんも『スマガ』(※1)という同じようなループモノを担当されていて、その経験を生かした素晴らしいアイデアをどんどん出していただき、2人で「こうしたらいいんじゃないか」と相談しながら話を構築していきました。
※1……2008年9月にニトロプラスから発売されたPC用ゲーム。主人公が何度も生き返りながら、最高のハッピーエンドを目指す“人生リベンジアドベンチャー”。
――タイムリープモノをテーマにすると、やっぱり“何回も同じテキストを繰り返してしまう”ことが多いですよね。その部分はかなり意識して執筆されたのですか?
林:そうですね。同じ文章の繰り返しというのは、あまり僕はやりたくなかったんです。なので、なるべく“テンポのよさを重視した展開や文章”を書くように気をつけました。
――“テンポを重視した”という点は、ゲームをプレイしていてすごく感じました。プレイしていると、1章ごとに止め時が見つからなくて、最終章まで1日半くらいぶっ続けでプレイしてしまいました。ものすごくおもしろかったです!
林:ありがとうございます(笑)。科学アドベンチャーシリーズのシナリオは、海外ドラマをなるべく意識して作っているところがあります。『24 -TWENTY FOUR-』や『プリズン・ブレイク』などですね。海外ドラマだと、大体1時間の話が十数本続いて1シーズンなんですが、1話ごとに毎回毎回気になる展開で終わるじゃないですか。だから、ついつい先を見ちゃうんですよ。そこを参考に、章で区切るようにしつつ、その章の最後に山場を持ってくるようにしています。これは『カオスヘッド』のころから気をつけている点です。
――その『カオスヘッド』は“妄想科学アドベンチャー”とジャンルが銘打たれていましたよね。妄想トリガーなど“妄想がテーマ”になっている作品ですが、本作の“想定科学”というのはどのような意味を持っているのでしょう?
林:“想定された科学”という意味ですね。
松原:“想定された科学”というよりも“想定されうる科学”と言った方が正しいですかね。今回は『カオスヘッド』以上に現実とのリンク感を重視して作っています。秋葉原の街が舞台なんですが、お店の名前などが全部実在していたり、僕たちに身近な携帯電話というアイテムを使ったり。なるべく理論的に“遠くない未来に実現するんじゃないか”、“この物語は実際に想定しうる物語になっている”というところから想定科学アドベンチャーと名づけました。
林:本作に出てきている理論部分は、すべてまだ仮説として存在しているもので確定はしていないんですよ。でも、“今後はどうなるかわからないよ”というところから“想定”となっています。また、“SFではない”という意味もこめられています。
――シナリオ内で、相対性理論や量子論など非常に難しい分野のテキストが多く出てきましたが、相対性理論や量子論などは事前に勉強されたのですか?
林:その部分に関しては、まず志倉がかなり勉強していますね。僕のところに話がきた時に、志倉がタイムマシン関連の本を10冊くらいドンッと「これ読んどいて!」という感じで置いていきました(笑)。志倉はすべて読破していて、僕も『カオスヘッド』の時以上に勉強しました。
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――かなり難しい分野なので苦労されたんじゃないですか?
林:物理学とか量子論が深くかかわってきますからね。そういう分野って、好きな人は本当に好きじゃないですか。だからヘタなことを書くとツッコまれてしまうので、本気で勉強しましたよ。こんなに勉強したのは学生の時以来ですね。
――林さんのシナリオを読むと、『Lの季節2 -invisible memories-』や『カオスヘッド』のような難しい話を得意とされているような印象なのですが。
林:あっ、そうですか? でも、もともとSF自体は好きな方ではあります。だけど、難しすぎるSFってあまり好きじゃないんですね。適度にエンターテイメントとして楽しめる、ライトなSFが好きです。
――タイムマシンは、うってつけですね。
林:そうなんですよ。でも、タイムシンってすでにやり尽くされているテーマじゃないですか。なので、初めに志倉から企画を聞いた時に「これは……大丈夫なのかな?」という不安が強かったです。
(C)2009 5pb. Inc./Nitroplus
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