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2010年2月17日(水)

ただ企画を練る日々から生まれた――『100万トンのバラバラ』制作者インタビュー

文:電撃オンライン

■初心者からゲーマーまで楽しめる絶妙なバランス

『100万トンのバラバラ』 『100万トンのバラバラ』 『100万トンのバラバラ』
▲説明書を見ずに始めても、序盤のステージはサクサクと進められる難易度だ。プレイしながらルールを覚えることができるはず。

――僕はパズルアクションが苦手なのですが、プレイをさせていただいて、ストーリー10くらいまではサクサク進むことができました。その後段々と難易度が上がって、20を超えたあたりから、何度もリトライするようになりましたが。そのあたりのバランス調整はどのように?

池田:バランスは完全にアクワイアさん主導だったんですが……SCEのチューニングチームから、もっとこうしたほうがいいよ、というのがあった時に、ちゃんと聞いたのがよかったのではないですかね。

小島:社内にバランス調整を見てくれるチューニングチームがいて、そこにチェックしてもらうと、もうちょっと簡単にしたほうがいい、難しくしたほうがいい、と意見をたくさんもらえるんですね。出てきた意見をこちらでも反映して調整する、というのを繰り返しやったので、バランス調整はかなり時間かけました。なので、今言われた通りのバランスになっていると思います。

――では狙いとして、最初は詰まることなく進めるように?

小島:そうです。見た目はかわいらしいので、子どもや女性の方でも触っていただけるようにしました。ただ、そのまま簡単なゲームで終わらせるつもりはなく、いわゆるゲーマーの方でも楽しめるゲームにしたかったので、後半は鬼のような面もあります(笑)。

――ちなみに僕はノーマルでしかプレイしていないのですが、イージーとノーマルとハード、難易度の差があると、どんなところが違うのですか?

池田:いろいろ違いますね。制限時間を変えたり、敵の数を変えたり、敵の配置を変えたり、敵のAIを変えたり……1つだけ変えると適当になってしまうので、いろいろなところで調整していますね。

寺島:戦艦を修復する敵はかなりいやらしくて、ノーマルだと多少時間のかかっていた修復が、ハードになると一瞬で終わってしまいますよ。ホーミングしてくる敵も、すごい追跡の仕方をしてきますし。

『100万トンのバラバラ』 『100万トンのバラバラ』 『100万トンのバラバラ』
▲戦艦の破損箇所を修復する敵、ティトリを発見したら追尾してくる敵、ミサイルを打ち出す敵など、さまざまなロボットが戦艦の装甲の上に。

――では、ハードになるとアクション的にかなり難しくなる感じなのですね。

池田:そうですね。ハードだとかなり凶悪なステージもあります(笑)。

中塚:このゲームは、ストーリー10くらいまでは簡単ですけれど、ゲームを結構やっている方にとっては、敵も全種類出そろって、いろいろ詰め込まれた後半のステージのほうがおもしろく感じると思うんですよ。なのでハードは、そこからさらにおもしろくなった感じかと。

――でも心は折れると?

池田:心は折れますね……うん、折れる(笑)。でも折れて1回止めるんですけど、またやりたくなると思うんですよ。なのでぜひリトライしてください。


■細部へのこだわりと主題歌

――ちなみにやり込み要素とも言えるレコードの部分ですが、スコアのやり込みだけでなく、“じゅうみんひょう”や“はかば”など、おもしろそうなやり込みもありますよね?

池田:“じゅうみんひょう”は、割とわかりやすいと思います。ステージの中で、仲間っていわゆる体力回復みたいな位置付けじゃないですか。それをただのアイテムとして終わらせないようにするため、何らかのコレクション要素にしたいなあと思ったんですね。なので仲間たちを町の住民にして、登録できるようにすれば、1個のコレクションできる要素、長く遊べる要素になるんじゃないかと考えました。

 それをプラスの要素とすれば、やられた時のマイナスの要素でも、コレクションできればおもしろいんじゃないかなって。なので“はかば”モードを入れました。

――やられていく住民をコレクションする要素というのは、あまり聞かないですよね。ちなみに、“はかば”を入れようと考えたのはどなたなのですか?

池田:それは僕ですね。アクワイアさんには1回反対されたんですけど。「いるのこれ?」って。でもプロデューサーの小島さんから、“はかば”は引きになるから入れたいっていう意見もあって。

小島:単に“はかば”が好きなだけかもしれないですけどね。最初見た時に、暗いんだけどすごくかわいいと思ったので。

――中身も“じゅうみんひょう”より、“はかば”のほうができることが多いですよね?

池田:そうですね(笑)。“じゅうみんひょう”は、リストが上下するだけですけど、“はかば”は(横スクロールでティトリを動かせて)ジャンプできますからね。僕が仕様書を書いた時に、右に押すと右に歩けると書いたんですけど、まさかそのままになるとは(笑)。

――花を添えるというのも仕様書に?

池田:あれはアクワイア側からですね。僕はパンチとキックがしたかったんですけど、「それは意味がわかりません」と言われて(笑)。でもジャンプについては、横スクロールだったらジャンプができないとすごいストレスだと思って、とりあえず僕がすごいこだわりました。

――“はかば”のこだわりがすごいですね(笑)。

池田:でもちゃんと人間がいるんだぞ、というのがわかってほしくてこだわりました。

『100万トンのバラバラ』
▲ジャンプ、花をささげる、思い出す、とオマケなのにいろいろなことができる“はかば”。墓が立っていくのは悲しいが、ゲームの世界に人が生きているのが感じられるだろう。

――レコードでは、他にもテーマソングが聞けますよね。あの曲はサビの部分がすごい耳に残ると思うのですが、テーマソングはどうして作ろうと?

池田:あれは、プロモーション会議で出てきたアイデアですね。わりと制作が終わりかけた時に、「プロモーション本気出すぜ、主題歌作ろう!」という感じでした(笑)。最初はちょっと半信半疑だったんですけれど、ゲーム中の音楽を作ってくれたノイジークロークの坂本英城さんが作ってくれるなら間違いないだろうと。時間的には結構ギリギリでしたが、めちゃめちゃハマってくれてよかったです。

――歌詞はどなたが?

小島:僕ですね。新型インフルエンザで1週間ほど休みまして……時間が空いていたので3パターンくらい考えたら、僕が一番予期していないものが選ばれました(笑)。それから、坂本さんが最初に書いてくれた仮曲のバージョンで、音声合成ソフトで歌詞を当てはめて聞いてみたら、みんなで「ああ、これだ!」となって。坂本さんの中では、わりとでき上がっていたのかなと思いました。本当は、ものすごく試行錯誤があったみたいですけれど(笑)。

玉置:坂本さんにお願いしますって言った時には、すごい青ざめてましたからね。この日までにとお願いした期日のギリギリに上がってきて、「すごい心配してたんですよ」って言ったら、「バレてましたか、実はまったくイメージが浮かびませんでした」と言っていました(笑)。

池田:テーマソングは3月24日に発売されるサントラにも収録されるので、ぜひ聞いてみてください。このCDにはキャラの寸劇も入っていて……ゲーム中と同じ声でやりとりしているので、何を言っているかわからないかもしれませんが、ゲームをクリアした方であれば「ああ、なるほど」とわかる作りになっているとおもいます。

→初めてのゲームを制作しての感想(4ページ目)

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

データ

▼『100万トンのバラバラ』
■メーカー:SCE
■対応機種:PSP
■ジャンル:ACT
■発売日:2010年2月18日
■価格:UMD版 4,980円(税込)/ダウンロード版 3,800円(税込)
 
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