2010年3月30日(火)
――もとは男性向けのゲームとして作ったこの『龍が如く』。ユーザーの幅が広がってきたように感じるのですが、なぜだと思いますか?
よく聞かれる質問なんですが、実際はそんなに変わっていないんですよ。メインとなるユーザー層は8:2で男性で、年齢層が高い。逆に“低年齢層は意識しない”ことを意識していますし、そこは変わっていないですね。
――『龍が如く』という大きな柱ができたように見えるのですが、そこについてはどう思いますか。
僕の中で1作目の『龍が如く』は、当時あったいろいろなことへの挑戦だったんですよ。それがかなわない挑戦だったことを告げられて、僕自身がゲーム制作をやめるという選択もあったんですね。現状は、売上も延びて、ゲームを作り続けているという状況ですが……。もちろん「うまくいく!」と信じていたんですが、逆の結果が出る可能性もあった。そういう決意のもとで取り組んだ作品が認められたうのは、ファンの皆さんのおかげ。ありがたいの一言です。また、決意を持ってなにかをやれば結果が出るのは、開発スタッフも感じていると思うので、この成功が、他のタイトルにかかわった際に新しいものを生み出していくエネルギーにつながればと思います。
――今「新しいものへのエネルギー」という発言がありましたが、名越さん自身は、現在どんなゲームやジャンルに興味を持っていますか?
う~~ん……興味があることが多すぎて、しぼることができないんですよ(笑)。複数のタイトルをプロデュースすることはありますが、体は1つなので手を出せない状況ですね。
――たとえば、ジャンルやハードだと?
『龍が如く』は国内の男性をターゲットにした作品ですが、別に海外に興味がないわけではないですし、子ども向けタイトルを作りたくないわけではありません。これまでコンソールを中心にリリースしてきましたが、PCやケータイという市場を無視しているわけではありません。やはりクリエイターはなにかに取り組んでいても、つねに他のことが気になる生き物なので。ゲーム業界に入って20年になりますが、未だに「あれもいいな」とか「これをしたいな」と浮気したくなる心を抑えるのが大変なくらいです。
――特に最近は、選択肢が多いですしね。
なので、ますます悩みますね。興味はどれにもありますし、どれもおもしろいことはできそうだし……そういう意味では今のクリエイターの人は選択の幅が広くて幸せなのか、選択肢が多すぎて大変なのか、難しいところですね。僕が若いころは、逆に選択肢がなかったので(笑)。あと、出口が多くなったというよさはあると思いますが、1つ1つのビジネス的な厚みという意味ではつらい面もあると思います。
僕は古いクリエイターなので、ついていくだけでも大変なんですよ。知らない単語があれば、若いスタッフに「これは何で、どこがおもしろいの?」と教えてもらっています。そういうことを含めて、「なにに興味があるか?」という質問への答えは難しいですね(笑)。
ただ、新しい技術はすべて興味があります。『龍が如く』は、シナリオに時間をかけたりマーケットを研究したりし、頑張ってきたタイトルです。しかし、技術的に優れた連中が作り、それが受け入れられたというのは成功を語る上で欠かすことができない要素なので、新しい技術は大事にしたいと思っています。
――先日、DSの後継機が発表され、裸眼立体視に対応しているというアナウンスが出ましたが、どういう印象を受けましたか?
情報自体が出ていないのでなんともいえません……。が、先ほどの話にもかぶるんですが、新しいハードの誕生というのは遊び方が生まれ変わる瞬間ですから、そこは個人的に楽しみですし、期待したいですね。
――完成披露会で、この先の展開として新タイトル“PROJECT K”が発表されましたが、なぜこのタイミングで出したのでしょうか? また神室町を舞台にしたということですが、これまでのシリーズとのつながりはあるのでしょうか?
それについては、申し訳ないんですがまだ何も語れません。今後の情報が出てくるのを、もうしばらくお待ちいただければと思います。
――わかりました。では最後に、まだ本作を購入していない方へのメッセージをお願いします。
他に類を見ないタイトル、孤高のタイトルとして、チャレンジャー精神を持ってやってきました。結果として本数が出るタイトルになり、貫禄も出てきたと思いますが、そこにあぐらをかくことなく、前を向いて進んでいく作品になっていると思います。
僕が一番アピールしたいのは『龍が如く4』には“このタイトルでしか”ということばかりが入っているということ。好きなゲームジャンルは皆さんそれぞれあると思うんですが、さわってもらうことで、いろいろなことに気づける作品になっていますので、興味が少しでもあれば、プレイしてもらえればうれしいです。PS3を本体ごと買って遊んでも損はしない作品になっていると思うので、ぜひよろしくお願いします!
神室町で起きた1つの事件をきっかけに、野望うずまく物語が展開する『龍が如く4』。名越さんを含め、開発スタッフが尽力した作品なので、まだプレイしていない人はさわってみては? |
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