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2010年4月16日(金)

松屋らしさと男らしさを両立! 『龍が如くオリジナルカレー』スタッフが苦労を語る

文:電撃オンライン

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――場違いな質問になるんですが、レトルトカレーはそもそもどうやって作るんですか? パウチ(袋)にルーだけいれて、その後で野菜や肉という具材を入れて、密封するのでしょうか? それとも、すべての具材を煮込んでできあがったものをパウチに入れていくのですか?

大林さん:今回のカレーは、具を別にいれています。とり肉とにんじんは軽く煮込んでから入れ、その後にカレールーを入れます。それを高圧で加熱するんですが、温度が非常に高いので、風味を失わないようにするのが難しいところです。あまり長時間圧力をかけすぎると肉や野菜の素材がおいしくなくなってしまうので。

 レトルトは121℃で4分以上加熱殺菌というのが食品衛生法で決まっているんですが、4分間加熱すればいいというものでもないんです。常温のところから高温に上げていくので、だいたい30分くらいはかけるんですよ。しかしスパイスは熱に弱いので、いいものを使わないと風味が薄れてしまう。今回はスパイシー感にこだわるために、いいスパイスを豊富に入れています。

――缶詰は真空にすることで日持ちすると思うんですが、レトルトはどれくらい持つんですか?

大林さん:レトルトは2年くらいは持ちます。しかし、今回はセガ様とのコラボということもあり安全性を重視し、1年とさせていただきました。

――レトルトカレーを使ったサブストーリーがゲーム中に入っていますが、苦労したところはどこですか?

尾崎さん:締め切りです(一同笑)。ゲーム内にもアイテムで登場するので、「カレーを出せなくなってしまったので、牛めしに変更します」ということはできませんでした。サブストーリー中に出てくるのがキレンジャーなので、牛めしだと違和感があります。また、名称と価格も早めに決める必要があったため、バタバタしました。このサブシナリオもうまく作ってもらいました。担当者としては、思わずニヤッとするようなものに仕上げていただき、感謝しています。

『松屋×龍が如くオリジナルカレー』 『松屋×龍が如くオリジナルカレー』
▲ゲーム内に登場する松屋と『オリジナルカレー』。松屋に関する2つのサブクエストを楽しめる。

――あのシナリオを見ると、カレーを食べたくなりますよね。商品が発売され、どんな意見が届いていますか?

石塚さん:把握している範囲内では、かなり好評です。『龍が如く』ファンからも松屋のファンからも、「おいしかった」という意見が多数届いています。

大林さん:私はWeb上で通販を担当しているのですが、店頭で発売した18日から広報に問い合わせが相次ぎ、Webも前倒しで発売しました。店舗販売を優先させてもらったのですが、Webも順調に数が出ている印象です。

――現在、安いレトルト食品が多数発売されている中で、あえて300円という価格にした理由を教えてください。

大林さん:今回は準備期間が少なかったこともあるんですが、品質面を追求した結果として、価格が高くなってしまった。結果的に、利益の関係上コンビニエンスストアやスーパーにこの値段で置いてもらうことができなくなってしまいました。松屋店舗とWeb販売に限定することで、よりよいものをリリースするという形をとらせていただきました。

――パッケージも四苦八苦されたと聞きましたが、どんなやりとりがあったのでしょうか?

大林さん:ゲームのよさを殺してしまったらまずいので、デザインには非常にこだわりました。4案出させていただいたんですが、私は1案がお気に入りだったんですよ。店の画像もロゴも前面に出ていて、雰囲気があるかなと。でもセガさんから「もっと松屋らしさを出してかまわない」とアドバイスされました。さらに社内の役員会にかけていただき、2番を選んでいただきました。デザインが決まったことで、方向性は決まりましたね。

『松屋×龍が如くオリジナルカレー』 『松屋×龍が如くオリジナルカレー』
▲こちらが、そのデザイン案。大林さんは、左上の1番が好みだったという。

――箱だけでなく、パウチにも桐生一馬やテキストがプリントされているのには驚きました。

大林さん:ここまでやるなら「中身の袋もやろう!」ということで、レトルトパウチにもデザインを追加しました。オリジナルカレーという文字さえ入っていればわかるんですが、箱を大事に保管される人の場合、パウチだけだとわかりにくくなってしまう。箱から出した後でもひと目でわかり、さらに調理方法も裏に明記されている形にしました。

 さらにですね……そこまでやるなら梱包するダンボールもオリジナルのものを用意しようと! (ダンボールを取り出して)このように箱を組み立てると、龍のタトゥーと、主人公4人が天面に出てきます。このダンボールは世の中に広く出回るものではないんですが、流通関係の方々に『龍が如く』と松屋がコラボレーションしているということを認知してもらえるのではないかと考え、行いました。

『松屋×龍が如くオリジナルカレー』 『松屋×龍が如くオリジナルカレー』
▲箱とレトルトパウチのデザイン。温めるだけのレトルトパウチにも、桐生とゲーム中の松屋がプリントされている。
『松屋×龍が如くオリジナルカレー』
▲今回のためにつくられたオリジナルのダンボール。実際に『オリジナルカレー』を店舗に輸送する際は、透明なテープを使ってロゴや文字が隠れないようにしているとか。

――食券に当たりが印刷されているというのは、めずらしいと思ったのですが……。

尾崎さん:セガさんから「ぜひやりたい!」という声をいただきまして、実現しました。システムはあったんですが、これまでやったことがなかったんですよ。印刷がずれると変な位置で切れてしまうので、これも大変でした。でも、いい経験になりました。実は前回のコラボ時に、食券の裏にある『龍が如く』のQRコードを見た他のメーカーさんから「うちもやりたい!」とご提案いただいたんですよ。セガさんとのコラボレーションはいろいろなところに影響を与えているんですよね。

――何気なく買って、『オリジナルカレー』がもらえたらうれしいですよね?

尾崎さん:これまでは当たりを出しても、配布するものがなかった。最初はなにかを作って配布することも考えたんですが、オペレーションの面でも、オリジナルカレーをその場で渡すほうが都合がいいだろうと。このカレーは店頭でも売っているので、プレゼントをもらった人で気にいった人は、また店に来るきっかけとなる。コンビニほど大きい規模ではないんですが、プラットホームとして場所を提供できている。もし、お近くに店舗がなくても弊社の通販ページから購入できる。……惜しむらくは、物が減り始めているので、急いで購入していただければと。

――『オリジナルカレー』は店舗にあるものがすべてで、補充はされないのでしょうか?

尾崎さん:最初に全店一律で10個送ったんですが、毎日のように追加オーダーがきています。4月いっぱいは在庫があると思いますが、5月に入ったらすぐになくなりそうな勢いですね。案外、繁華街の店舗で売り切れていても、意外な店で売っているかもしれません。

石塚さん:ワハハハ(笑)。あるかもしれませんね。快速が止まるような大きな駅の近くだと売り切れでも、各駅停車しか止まらない駅だとまだあるとか。

――なるほど。『オリジナルカレー』を探すなら、各停の駅の近くにある松屋さんを狙えと。Webの方はどうでしょうか?

大林さん:Webは、弊社サイトだけでなく楽天市場とヤフーストアに出品していますが、今のところはまだありますね。

――では今後、取り組んでみたいことや、挑戦してみたいことなどありましたらお聞かせください。

大林さん:私は、ご家庭用の冷凍商品を販売している外販部という部署を担当しています。過去にコンビニエンスストア向けにチキンカレーを販売したことがあり、その経験を生かして今回の商品開発に参加させていただきました。今後は、もう一度牛めしの販売をやれたらと思っています。次回もこのコラボに参加できたら、よりいいものをリリースできたらと思います。

尾崎さん:次にお話をいただければ、松屋全店で『龍が如く』メニューをやれたらなと思います! これだけ売れましたから、社内的なストッパーはなくなったと思うので。

石塚さん:自分も次こそは店内メニューを! という思いです。ユニークで話題性のあるものを作れるなら、両社にメリットがあると思います。もし、今回のようなレトルト商品であれば、販路の拡大を狙い、さらに話題作りできる形をやりたいですね。

尾崎さん:先日、打ち上げの時にお話させていただいたんですが、名越監督は下積みのころに、新宿の松屋で牛めしを食べていたらしいんですよ。松屋ってみそ汁がつくじゃないですか? ところが名越さんは、それを知らず「俺はみそ汁を頼んでいない」と飲まなかったらしいんですよ。でも、ある時に横にいた女性の人に「そのみそ汁はあなたのよ」と教えてもらい、「この値段でみそ汁がつくのか! なんてすごいんだ!」と感動されたらしいんですね。

――それはおもしろいエピソードですね。

尾崎さん:名越監督が当時食べていた松屋が、歌舞伎町をはさんで存在していた新宿1号店だったらしいんですね。なにかの縁があると感じました。ぜひまた次回、コラボレーションを行い、いいものを行いたいです。

『松屋×龍が如くオリジナルカレー』
▲1時間に渡り、開発エピソードを披露してくれた開発スタッフの面々。『オリジナルカレー』は、まだ店頭で販売している店もあるようなので、食べていない人はぜひ味わってほしい。

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データ

▼『松屋×龍が如くオリジナルカレー』
■メーカー:松屋
■発売日:2010年3月18日
■価格:300円(税込)
▼『龍が如く4 伝説を継ぐもの』
■メーカー:セガ
■対応機種:PS3
■ジャンル:A・AVG
■発売日:2010年3月18日
■価格:7,980円(税込)
 
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