News

2010年9月10日(金)

新ワールド“セレスタイト”は成功したのか? 『GE R』中尾氏へのインタビュー

文:電撃オンライン

 8月12日のタイトルリニューアルと同時に、レベルキャップ制限のある新規ワールド“セレスタイト”がオープンした、ハンビットユビキタスエンターテインメント(HUE)のPC用MMORPG『グラナド・エスパダ ルネッサンス』。他社が今までどこもやらなかった、新しい試みをこの新ワールドで行うと大風呂敷を広げた『GE ルネッサンス』プロデューサーの中尾圭吾氏だが、セレスタイト公開から間もなく1ヶ月が経過する今、どのような結果を出せたのか。プレイヤーから手ごたえある反応が得られたのか、中尾氏に聞いてみた。

『グラナド・エスパダ ルネッサンス』
▲ハンビットユビキタスエンターテインメント『GE』プロデューサー 中尾圭吾氏。

──今日はタイトルリニューアル『GE ルネッサンス』で行われた数々の施策、特に新規ワールド“セレスタイト”のその後についてお話いただけるそうですが。

中尾圭吾プロデューサー(以下、中尾氏):『GE ルネッサンス』は弊社のタイトルとしてだけではなく、既存のMMORPG作品と比較して、質・量ともに大掛かり、かつとてもユニークな試みができたと思っています。

──セレスタイトのオープンから約4週間が経過しましたが、実際のところ反響はいかがでしたか? すでに4年ものサービス実績があるタイトルでありながら、改めて『GE』でできることを、じっくり時間をかけて知ってもらう。という目的のためにあえてコンテンツとレベルに制限をかけた、ということは前回のインタビューでうかがいましたが、本当にこの試みで新規プレイヤーが集まったのでしょうか。また、足並みがそろうことでプレイヤー同士のコミュニケーションをうながすという当初の目標は果たせましたか。

中尾氏:セレスタイトの現状をお話する前に、まずは過去に実施された新規ワールド追加について説明させてください。『GE R』へのタイトルリニューアル以前にも、何度か新規ワールドのオープンがありましたが、いくつかの特徴が見られました。まず、新ワールド公開と同時に既存ワールドの接続者数が必ずある程度現象します。もう一点、開始から一週間もすると最初に入ったユーザーは著しく減少します。

──前者は既存ワールドのプレイヤーが、ちょっと新鮮なプレイ環境を求めて。あるいは先行者の優越感を味わうために、一時的に移住するからですね。

中尾氏:はい、その通りです。後者は完全な新規プレイヤーの方のうち、「このゲームを始めてみたけれど、やっぱり自分には合わなかった」という方。なにより、すでにプレイ経験があり大きく先行する他プレイヤーとの、格差や雰囲気の違いからやめてしまう方による減少です。これは他社含めどのMMORPGでも、一定の割合で起きることでしょう。結果として新規ワールドを追加オープンしたはよいが、大幅にユーザー数を上昇させるには至りませんでした。継続したプロモーションで少しずつ増やしていく感じでしたね。

『グラナド・エスパダ ルネッサンス』
▲タイトルリニューアル前後の全ワールド別、最大同時接続者数。

──しかし、今回のセレスタイトは今までとは違うと。

中尾氏:セレスタイトオープンと同時に“カスティア大陸”というエキスパート以上を対象にした上級コンテンツを実装したので、既存プレイヤーにしてみればそちらを早く遊びたいですよね。アカウントの動きなどはこちらもある程度追跡していたのですが、現役プレイヤーにとってはわざわざレベル制限がある新規ワールドに移住するメリットが薄く、いわゆる移住プレイヤーはほぼいませんでした。

 そしてインタフェースやゲーム序盤のバランス調整、有料コンテンツの一部無料化、レベル100までの制限などをアピールしたのが功を奏して、セレスタイトには『GE R』は初プレイという新規の方、そして過去にプレイ経験がある休眠プレイヤーの復帰が本当に多かったです。

『グラナド・エスパダ ルネッサンス』 『グラナド・エスパダ ルネッサンス』 『グラナド・エスパダ ルネッサンス』

──各種制限を敢えて設定した新規ワールドのオープン、バランス調整、上級者向けコンテンツ。この3つを同時実装したことが、うまく効果を発揮しましたね。しかし、問題は復帰してくれた休眠プレイヤーや新規プレイヤーが現在どれだけ残ってくれているかという、定着率ではないかと思います。それについてはいかがでしょうか。

中尾氏:今回の一番の成果はその定着率です。初動で入ってきたユーザーもしっかりと定着し、ずっと増加傾向です。残念ながら『GE ルネッサンス』が好みに合わなかったという形で抜けていくユーザーも当然多数いますが、最大同時接続はしっかりと増え続けています。これから『GE ルネッサンス』を始めようという方には、新規ワールドのほうが敷居が低いからでしょうし、先のコンテンツも膨大に確保できていますので、一度安定化した同時接続者はそうそう減らないと踏んでいます。

 既存ワールドからもほんの少しですが、新規ワールドにアカウントを作ってプレイした方もいます。その動きを追ってみると「新ワールドとか開拓党ってどんな感じかねえ」と確認しにきたみたいですよ。そういう方はちょろっと様子を見て、あとはもう既存ワールドに戻ってしまいました。新規アカウントのプレイヤーが入る“開拓党”の党員数減少が激しいように見えますが、離脱した60%ぐらいは既存プレイヤーの様子見でしたね。

――ただ、資料から見ると初動の数字はあまりよくなかったようですね……。

中尾氏:実はセレスタイトのオープン直後の新規接続数は、過去の新規ワールドオープン時と比較して、決して多くはないんです。数字にして1.5倍ぐらいでしょうか。ただ、重要なのは先ほど申し上げました定着率の方です。セレスタイトに集まってくれたプレイヤーが、やめずに継続してくれている。ここが重要だと考えています。

『グラナド・エスパダ ルネッサンス』 『グラナド・エスパダ ルネッサンス』
▲過去の新規ワールドと今回の動きの比較。▲過去の新規ワールドオープン時の、既存ワールドの動き。

──注目されたレベル100とコンテンツの制限についての反響はどうですか。もうレベル100に到達したプレイヤーも中にはいそうですし、キャップ解放のタイミングは相当気にしていると思われます。

中尾氏:ゆっくりゲームを遊んで欲しい。経験者と初心者の間に生まれる温度差を避けるという目的で実施したレベル制限ですが、これに対する反響には我々も驚きました。と言いますのも、新規ワールドにはすでに複数キャラクターをレベル100まで育てたプレイヤーが20%近くいます。ただ、そういったプレイヤーの方からも「レベル100以上のコンテンツ解放はもう少し待って欲しい」という声が、サポートなどに寄せられています。我々としては、そろそろレベルキャップを開放し、コロニー戦を含むPvPコンテンツを準備しようと思っていたのですが、それよりもPvEコンテンツ、インスタンスミッションやサブクエスト、NPC編入クエストといったサブコンテンツをもっと楽しみたいという要望が、予想以上に強いです。

――タイトルリニューアル前のインタビューを読んだ既存プレイヤーの中には、サイドコンテンツが山ほどあるといっても、それらはほとんど死にコンテンツではないかという、辛口な意見も出ていましたね。例えば低レベルの召喚ミッションですとか。

中尾氏:既存の仕様でしか判断できない当時ですと、そう思われても仕方ありませんね(笑)。現在はモンスターからドロップする武器が強化済みだったり、スロットがついていたりと、俗に言う“狩り”をする意味が出てきました。召喚タイプのミッションロビーなどは、狭いエリアに敵がわさわさと出てきますから、むしろ効率よくドロップアイテムが集まり、価値の高い装備品を拾えるチャンスが出てきますし、獲得経験値も変わりました。新規の方から見れば死にコンテンツではありませんよ。

『グラナド・エスパダ ルネッサンス』 『グラナド・エスパダ ルネッサンス』

――では、レベル100開放はもう少し先になりそうですか。当初の予定はいつ頃だったんでしょうか。

中尾氏:9月14日にエキスパートのスタンスや、ベテラン推奨のクエストに大きなバランス調整が入ります。これに合わせてのキャップ開放を想定していたんですよ。過去に例がない施策でしたから、ゲーム進行が想定より早くても遅くても対応できるように、準備はしていたんです。今セレスタイトで遊んで下さっているユーザーの80%は100レベル未満のキャラクターしか持っていない状態です。サポートメールの要望や、実際のゲーム内の雰囲気を何より尊重し、ゆっくりのんびり遊んでいる方々が追いついてからです。特に最初の開放は時間を掛けると、前々から約束していました。最初の期間でPvEコンテンツや、PvPコンテンツの仕組みなどに慣れてもらおうと考えています。

――中にはもちろん、早いキャップ開放を望む人もいるでしょう?

中尾氏:いらっしゃいますね。その方たち向けにはワールド間移動サービスを適用するのも一つの案だとは思っていますが現在検討中です。とりあえず、早く到達してしまった方にも、ご理解をもらえるように努力するつもりです。

――新規ワールドに関するインタビュー前は、失礼ながら自信満々というよりも「大風呂敷広げてるなあ、中尾さん」という印象でした。しかし、誰が見ても納得できる結果は出せたようですね。ある種の勝利宣言インタビューですね。

中尾氏:うーん、何と回答しましょうか……。勝ち負けという見かたはしていませんよ。今まで本タイトルを未体験だった方、そして当時に『GE』を愛してくれていた方が今回のリニューアルに合わせてプレイして下さいました。お蔭様で、安定したサービスを提供できる結果となりそうです。『GE』にチャンスを与えて下さった皆様にお礼を申し上げます。これからも頑張って運営いたします!

――9月14日のアップデート内容について今、お話いただけることはありますか?

中尾氏:こちらは既存プレイヤー向けとして、対人戦の際のダメージ計算の変更とあまり活躍していないエキスパートスタンスの上方修正。それと2種類の新スタンスが入ります。その他、新規~中級向けとしてベテランクラス推奨エリアのモンスターの経験値や強さの調整、クエストの難易度と報酬のバランス調整が行われます。

――2種類のスタンスというのは、どんなものでしょう。

中尾氏:新スタンスについては実装と同時に情報を公開しますので、もう少しだけお待ちください。

──それにしても中尾さん、なんだかいつもと違ってまったりしてますね……。満足できる結果が出て気が緩んでませんか?

中尾氏:すみません、『GE R』という大きなプロジェクトのピークが一つ過ぎて、ちょっと力が抜けていましたかね。でも、まだまだやるべきことは山積みですから、燃え尽きてはいませんよ。

――では最後に『GE R』プレイヤーに向けたメッセージをお願いいたします。

『グラナド・エスパダ ルネッサンス』

中尾氏:『グラナド・エスパダ ルネッサンス』はかなり挑戦的な試みではありましたが、開発としっかり協力体制を敷くことで無事実装でき、予想以上によい反響をプレイヤーの皆さんからいただきました。  こういった大胆な試みができたのは、今までの4年間『GE』を支えてくれた既存プレイヤーの皆さんのおかげです。色々と至らない点等ありまして、ご迷惑をお掛けする事も多々ありますが、強く支えてくださり、ありがとうございます。また、リニューアルによって新しいプレイヤーの方々が改めて、色々なコンテンツに目を向けてくれている状況は、本当に嬉しいです。9月14日にはPvPや上級コンテンツのバランス調整が再び実施されますので、まだまだ進化する本タイトルに期待していてください。 これからも『GE ルネッサンス』をよろしくお願いします!

――ありがとうございました

『グラナド・エスパダ ルネッサンス』 『グラナド・エスパダ ルネッサンス』 『グラナド・エスパダ ルネッサンス』

(c) 2003-2010 IMC Games Co., Ltd. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.

データ

▼『グラナド・エスパダ ルネッサンス』
■運営:ハンビットユビキタスエンターテインメント
■対応機種:PC(対応OS:Windows 2000/XP)
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■サービス開始日:2010年8月12日
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

関連サイト