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2010年9月28日(火)

【洋鯨亭 第28回】もっと早く遊べばよかった! “あの”サイコスリラーを紹介

文:電撃オンライン

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■自分の書いたシナリオに苦しめられるアラン

 実はこの世界の出来事は、アラン自身が書いた小説の原稿通りに起こっているため、アランは自発的に行動をしているようでいて、実は決められた運命(物語)をなぞっているという設定なのです。朝だろうが夜だろうが構わず行動をすることになり、結果“闇に支配された人”と遭遇してしまう……まぁそれも小説の一部なので、避けることができないわけですね。

 その原稿を書いたのは、周囲のさまざまな情報や発言からするとアランということになってはいるものの、当の本人には書いた覚えがないため、物語の内容をアランが知っているわけではありません。よって、アラン自身もプレイヤー同様に、先を探りながらの展開となります。しかもなぜか原稿はアランの手元には1枚もなく、彼は行く先々に落ちている原稿を1枚ずつ入手していくことになるのです。

 ただし原稿は物語の流れにそって順番通りに入手できるわけではないため、入手したタイミングによってはすでに起こったことが書いてあったり、これから起こることが書いてあったりと、必ずしも今後についての“予言”として役に立つわけではありません。

【洋鯨亭 第28回】もっと早く遊べばよかった! “あの”サイコスリラーを紹介
▲アランの行く先々で発見できる原稿は、すべてが見つけやすい場所にあるわけではありません。苦労して手に入れた原稿にこれから起こることが書かれていた場合は、多少心構えができるというメリットが。

 では、すでに起こってしまった出来事について触れた原稿が役に立たないのかというと、必ずしもそうではありません。なぜなら、“自分がいない場所で起こった出来事の詳細が、原稿を読むことで判明する”というケースがあるからです。こうして、シナリオが断片的に判明していくわけですね。

 また、先ほどアランにはこの原稿を書いた覚えがないと書きましたが、アランは夜の町や森をさ迷う途中、さまざまな建物の中に置いてあるTVを見つけます。そして、決まってそのTVには、机に向かって原稿を書いているアラン自身の姿が映っているのです。

 TVの中のアランは、妻のアリスを助けるため(?)に必死に原稿を書いているようですが、はたしてこの映像は何を意味するのでしょうか?

 ……と、あまりシナリオ部分に触れてしまうと、これからプレイしようと考えている方の興を削ぐことになるので、これ以上は控えておきますね。いろいろとわかりづらい部分があると思うのですが、この一見、荒唐無稽かつサイコサスペンスな雰囲気が、本作の最大の魅力でもあります。

■ホラー小説ファンもそうでない人も楽しめます

 このゲームには、実はホラー小説や映画好きの人なら思わずニヤリとできる要素がちりばめられています。あ、もちろんそういった作品を知らない方でも楽しめますのでご安心を。

 ちなみに私はゲームのシチュエーションからは映画の『ミザリー』などを連想しました。また、制作側もそういった作品を意識してか、アランのセリフにもとある作家のセリフを引用したりしています。また、小ネタながらおもしろかったのが、いろいろな場所のTVで見ることができる作中番組『ナイトスプリングス』です。これは、懐かしいTV番組『トワイライトゾーン』を彷彿とさせる実写の短い番組。ご存知ない方は『世にも奇妙な物語』のような番組を思い浮かべてもらえればいいかと思います。

 この番組が単にプレイヤーの恐怖心をあおる目的だけではなく、ゲームと軽く関連性を持たせることで内容理解の手助けにしている点は、おもしろいなぁと思いました。

【洋鯨亭 第28回】もっと早く遊べばよかった! “あの”サイコスリラーを紹介
▲TV番組『ナイトスプリングス』。敵の追撃を逃れた小屋でこの番組を観ている時は、どこからか襲撃されるのではないかという恐怖感を覚えます。

 本作はシナリオ重視の内容ということもあって、今回は物語部分にはあまり触れないように紹介しました。こういったサイコスリラーというジャンルからすると、日本ではノベルタイプのゲームになってもおかしくないですよね。

 ところがその辺はさすが洋ゲーと申しましょうか、STGを要素含めたアクションゲームで進める本作には、ノベルタイプのゲームとはまったく違った魅力がありました。ちなみにこの物語は章単位で区切られていて、次の章の冒頭では、海外の連続TVドラマのように「これまでのアラン・ウェイク」といったナレーションとともにあらすじを見せてもらえます。そのため、章の区切りでいったんプレイを終了した場合、2~3日空けてから続きを遊ぶというようなスタイルでもストーリーがわからなくなることはないでしょう。

 また、操作がシンプルかつ登場するアイテムが多いわけではないので、アクションに必死になりすぎてシナリオを追うことがおろそかになる、というようなこともありません。できることが少ないので、いい意味でシナリオをしっかりと理解し、精神的に追い詰められていく感覚が味わえます。

 なんにせよ、物語の内容はもちろん、懐中電灯を頼りに夜の森の中を探索するのはドキドキハラハラしますから、ぜひゲーム内の時間に合わせて夜にプレイすることをオススメします。そして皆さんにも、シーンが夜から朝に替わり“闇に支配された人”に追い詰められることのないひと時のあの安心感を、ぜひ味わってほしいですね。

 あ、次週はちょっとした事情から掲載を10月5日(火)から6日(水)にずらします。理由は、そのときにお話しますね。

■お知らせ1:『電撃FPS』発売中

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