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2011年3月29日(火)

【まり探】オーダーはすべてにおいてパワーアップ! 『逆転検事2』インタビュー

文:電撃オンライン

●「今の僕が一番カッコイイと思うおっさんを描きました」

――グラフィックは、バストアップ・ドットキャラともに、かなり強化されていましたね。

岩元:バストアップに関しては、既存のキャラはそれほど変えず、新キャラのほうで頑張りました。新キャラは数も多いですし、アニメのパターンも『1』ではできなかった演出ができました。あまり可能か不可能かを気にせずに、ストレスなくできたのが、強化できたポイントですかね。

 あと、ドットキャラクターはすべて一新しました。御剣をはじめ、すべてのキャラクターを全部新しいドットで打ち直して。ドットキャラに関しては、前作でちょっと不満だったんです。もっとやりたいと。そうしたら今作では、カプコンが誇る神ドッターたちが大活躍してくれまして。おかげでドットキャラは、文句のつけようもないくらい、ポジティブに仕事ができました。ドットキャラは、細かい演技をしているので本当にじっくり見てほしいです! ドットキャラだけを見る周回を設けて、ぜひ堪能していただければと!(笑)

【まり探】

――新キャラクター・水鏡秤について伺います。名前の由来は?

山﨑:名前の“秤”は、裁判の正義と悪をはかる秤(はかり)から、名字の“水鏡”は裁判官のシンボルである“八咫鏡(やたのかがみ)”から取りました。

岩元:デザインコンセプトは、“聖母”と“傲岸(ごうがん)”の二面性です。髪型を編み込んだのは縛り付ける鎖のイメージで、ところどころ直角にしたのは白黒はっきりさせることを好む性格だからという理由です。裁判官服は、どこまでアレンジしていいのか結構迷いましたね。裁判官の服が白くていいのかとか、ハンマーは伸びていいのかとか。結局いろいろやっちゃいましたが。

山﨑:あと、露出度は高くないけどセクシーな感じにしたいとは言っていましたね。

岩元:実は、彼女がどんな下着をはいているのかという設定も決まっているんですよ。絵もあります。日の目を見るかどうかはわかりませんが(笑)。

――えっ、そんな設定まで?

山﨑:岩元さんはいつも、そのキャラクターがどんな下着を着けているか、そこまで想像してキャラクターをデザインしたいとおっしゃっているんですよ。

岩元:キャラクターを作る時は、自分とそのキャラクターのシナリオ担当が、世界で誰よりも一番そのキャラのことを知っていなければいけないと思うんですね。ということは、どんなパンツをはいているか知ってないといけないワケです。それで指示書には、「水鏡 秤はこんなパンツをはいています」「信楽はこんなパンツです」って描かれているという。

山﨑:それくらいの気持ちで、キャラクターを作っているということですね。

――それでは、彼女のパートナーとなる一柳 弓彦ですが……。

岩元:弓彦は、『1』と『2』を通して一番苦労したキャラクターです……。中盤くらいまで練ったキャラクターを、江城さんから完全ボツをくらいました。記念すべき初の完全ボツです。もともと迷いながら作ったキャラクターだったんですが、そこを見抜かれて「ピンとこない」と言われてしまいまして。そこで山﨑ディレクターと話し合って、最初から作り直しました。最初に作ったキャラクターから残ったのは……手袋くらいですかね。

山﨑:あと赤いジャケットも残りましたか。

岩元:そうですね、手袋と赤ジャケくらいです。最初はとにかくカッコよかったんですよ。カッコよければおバカとの落差が付くぞと考えたんですが、プロデューサーの脳に届かないなら、ユーザーの脳にも届かないだろうと。じゃあ、イチから考え直すかということになりました。

山﨑:一柳は、一見デキる検事に見えて、自称“一流”だけど実はアホというちょっと複雑な設定で、いろいろと思惑が多いキャラクターだったんですね。『1』を作っていて難しかったのが、主人公の御剣がわりと完成されているキャラクターなので、大きな変化をさせづらい点。御剣も『2』で成長した部分は大きいんですが、それに合わせてキャラクターをガラッと変えてしまうわけにはいかない。心の深い部分での変化にとどまらざるをえず、パッと見の振り幅が少なくなってしまうんです。そこで、彼の代わりに成長するキャラクターを用意したいなって思っていて、その役目を一柳にやってもらいました。

 今回のライバルは水鏡なんですが、『逆転』シリーズのライバルって必ず負けるという宿命を背負っていて、どうしても推理が間違っているんですね。ロウの時もすごく苦労したんですが、すごさを出しづらいんです。それで今回は、一柳が間違える役をやってくれることによって、水鏡の強さや恐ろしさが引き立つようにしました。一柳はそういう役割も背負わされているんです。

 名前にはもちろん“一流”という意味もあるんですが、“一矢(いちや)なき弓(ゆみ)を引く”という意味がありまして。一本も矢がない状態で弓を引いていて、だから推理が当たらないと、そんな意味も込められています。

【まり探】 【まり探】
▲水鏡 秤▲一柳 弓彦

――江城さんに伺いますが、一柳の最初のデザインはどの点でダメだと感じたのでしょうか?

江城:最初に見たのは、ただ単にカッコイイキャラクターだったので、まったく響かなかったですね。ユーザーが第一印象としてカッコイイと認識したキャラクターがバカなことをする、このギャップがプラスに働けばいいのですが、このキャラクターにこの性格は合ってないと思われてしまうと、そのキャラクターは失敗なんですよ。ですから、ボツを出しました。2回目に今のキャラクターの設定が上がってきたときは、一発OKでしたね。一柳は自分のことがわかっていないキャラクターで、ちょっとずれているところにみんながおもしろがってくれ、それに対して御剣が冷静にツッこむと余計おもしろくなります。そのおかげか、開発スタッフの間でも人気が高いキャラでした。

――次は、第三話の主役である御剣の父親・御剣 信(みつるぎ しん)についてお願いします。

岩元:もともと『逆転裁判』の1作目にチラッと出てきたキャラクターではあったのですが、主人公にするためにどうすればいいのかという点で苦労したキャラクターです。どうすれば、ただのメガネの渋いおっさんが主人公になるのかと。

山﨑:『逆転裁判』の時の信のイメージがもともと渋めだったので、その特徴を生かしつつ、拡大解釈をしていってキャラクターを作りました。普段から見た目通りの渋い言動が目立つんですが、心の中の声ではお茶目なところもあったり。御剣もそういうところがあるじゃないですか。クールだけどちょっと天然、というところは親子一緒ですね。

岩元:御剣と違うところは、信は本当にピンチの時しか笑わないんですよ。だからダメージを受けた時に、実はニヤっと笑うんです。

山﨑:『逆転裁判』に登場する綾里 千尋(あやさと ちひろ)の「弁護士はピンチの時ほどふてぶてしく笑うものよ」という台詞は、『逆転』シリーズの弁護士を象徴するキーワードだと思っています。『逆転裁判』で星影(ほしかげ)先生が、千尋と信は弁護のスタイルが似ていると話すシーンがあるんですが、そこの要素をぐーっと広げていきました。

――では、信の助手・信楽 盾之(しがらき たてゆき)についてですが……

岩元:信楽は、過去と現在の2パターンいるのを前提に作ったキャラクターですね。最初に年をとったバージョンのほうが登場するので、まずはそちらから考えましたが、僕の中では過去と現在でどう温度差をつけるかを考えながら作っていきました。今はものすごくごっついおっさんだけど、若いころはすごくかわいい男の子にしたら、みんなガッカリするんじゃないかなって思ったんですが……。

山﨑:それは「ガッカリするからやめましょう!」って言ってやめていただきました(笑)。

岩元:残念ながらその案は没になってしまいましたが、それでもすごくデザインは早く決まりましたね。いいかげんで調子がよくて、でも締める時は締めるカッコイイキャラクターです。ゴドー検事という僕の中で最高にカッコイイおっさんを何年か前に描きましたが、今の僕が一番カッコイイと思うおっさんにもう一回挑戦してみようと思って描いたのが信楽です。今作はおっさんがたくさん登場しますが、カッコよさでいったら信楽が一番だと思います。

山﨑:そうなんですよね、最初おっさんばかりでちょっと焦ったんですが、でもいいおっさんばっかりなので最終的にはよかったかなと(笑)。

岩元:“おっさん絵描き”としては幸せでしたね。ちょっとした小ネタなんですが、信楽が若いころに食べていたピンクのメモ帳は、年をとった今もペンと一緒に胸ポケットに入っています。

山﨑:名前の由来ですが、名字の“信楽”は御剣信の信という文字を入れたかったのと、信楽焼のタヌキからです。タヌキ親父という意味で。名前に“盾”が入っているのは、御剣の“剣”に対してです。

【まり探】 【まり探】
▲御剣 信▲信楽 盾之
【まり探】 【まり探】
▲第三話では、御剣の父親・信とその助手を務める若き日の信楽が、世界一のパティシエ・天海 一誠(てんかい いっせい)の無罪を証明するために奮闘する。

→次のページでは、続編に関する情報を……?(4ページ目へ)

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