2011年12月13日(火)
――PS Vitaという新ハードで、意識した点や苦労した点はあったんでしょうか?
柴 プロデューサー的な視点から言うと、まだ発売前のハードなので、実際にどのくらいの数のどういった方が遊ぶハードになるのかが未知数で大変でしたね。まあ、これはどちらかというと、社内での会議の際の苦労点ですけど(笑)。あとはもちろん、PS Vitaならではの楽しい機能をどう盛り込むかも意識しました。
丹沢 開発側としては、すごく作りやすいハードでした。ただ、初期においてハードスペックだけを見て考えた仕様が、実機を触ってみると感覚が違う部分などもありましたね。例えばタッチ操作に関する部分ですが、企画書段階ではこう使えばおもしろいだろうと考えていたのに、実際に操作してみると煩雑になってしまって、本体を落としそうになったりしたんです。
岡本 ボタンでの操作とタッチでの操作を同時に要求するのは難しいですね。
丹沢 背面タッチパッドを使って叩くと画面が揺れちゃうので、激しいアクションシーンの最中には向かないんじゃないかとか。開発中にはいろいろなアイデアが出たんですが、遊びやすさを加味して、今回はタッチ操作を使う部分を絞っています。
▲魔王の生命力を回復したり、ゴブリンの補充をしたりできる楽器を使う際は、背面タッチパッドを叩いて演奏。うまく演奏すると、効果が高くなる。 |
岡本 初めてのハードだけに、性能的にもいろいろと試しながら開発していた部分がありました。例えば解像度なんですが、初期は万全を期すために低めの解像度で開発をしていて、周囲に「え? PS Vitaのグラフィックってこんなものなの?」と誤解させちゃったりしていたんですが、途中からもっと高い解像度でもまったく問題ないことがわかって、クオリティを上げました。そうしたら、ワラワラ群れているゴブリンの1匹1匹がさらに細かく見えるようになって、一気に生き生きし始めたんですよね。あの時は、ちょっと雲が晴れた感じがしました(笑)。
柴 東京ゲームショウの少し前くらいまでは、少し心配してました(笑)。
丹沢 ある日を境に、劇的にクオリティが上がりましたからね(笑)。
岡本 開発中はPCのモニタで見ることになりますが、それをPS Vitaへ移行すると、画面の物理的な大きさとか、遊び心地が変わってくるんですよ。だから、エリアの大きさを調整したりして密度感を出したりしています。あとは、右スティックをどのレベルまで使わせるかを意識しました。今回、右スティックは視点移動に使っていて、最終的にはかなり重要になるんですけど、これからPS Vitaを遊ぶ方はまだ右スティックの操作に慣れていないと思ったんですよ。
丹沢 最初のうちは視点を動かさなくても遊べますけど、空を飛ぶボス敵が出るあたりからは、ちゃんと右スティックで視点を変えて、敵の位置を確認しながらプレイしないと苦戦すると思います。
岡本 どのあたりのステージから右スティックでの視点の移動を本格的に使わせるかは、開発スタッフ内で悩んだり迷ったりしたところですね。
――開発中に手応えを感じたターニングポイントはいつでしたか?
丹沢 なんといっても“一斉攻撃”ですね。もう、これを使った時の“やっつけた感”がすごくって!
柴 誰に遊んでもらっても、一斉攻撃の気持ちよさは評判がいいですね。東京ゲームショウでも、やっぱりみんな初めて一斉攻撃を決めた時に「おおっ!」って顔をしたんですよ。あの敵が“バシュン!”って吹っ飛ぶ時にビックリもするし、気持ちよさもあるし。ACTって、そういう部分がないとダメなんですよね。
丹沢 実は一斉攻撃って、開発の中盤に岡本さんのアイデアで急きょ導入したものなんです。
岡本 本当に急だったんですよ(笑)。スタッフに「いきなり何を言い出すんだ、この人は!」って顔をされながら、「ちょっとすいませんがやってくれ」って(笑)。ちょうど週末の夜に寝つけなかったら、一斉攻撃のアイデアがわいてきまして。実はTwitterを見ていて気づいたんですけどね。
▲戦士が行う一斉攻撃は非常に攻撃力が高く、敵を倒した際の演出もド派手! 血しぶきや肉片が豪快に飛び散り、思わずクセになる豪快さだ!! |
――まさか、魔王様のつぶやきがヒントに?
岡本 いいえ、『地獄の軍団』とはまったく関係ないつぶやきです(笑)。“ACTとは何か”みたいなつぶやきをなんとなく見ていたら、“やっぱりこういうことかな”とか、自分なりに結論が出てきた感じです。
柴 プロデューサー視点で一番手ごたえを感じたのは、東京ゲームショウの初日です。Twitterを始めて、0フォロワーから1日で5,000近くまでドーンと増えて。あとはその前日、『地獄の軍団』というタイトルだけ発表した時の皆さんの驚きですね。そうして驚いてくれた皆さんが応援に回ってくれたのが、すごくうれしくって。魔王というキャラもとんがってるし、公式サイトに行くとメタルな曲でおかしいことになってるし(笑)。スクウェア・エニックスというブランドが変な意味で逆に効いたといいますか、グッとつかめたなという気はしましたね。
このインタビューの続きは、ソフトが発売される12月17日にお届けします。発売後だからこそ明かせる開発秘話もありますので、お楽しみにお待ちください!
▲本格的なACTとして楽しめるように、ギリギリまでチューニングを行ったとのこと。その甲斐あって、非常にスピーディで爽快なゲームに仕上がっている。 |
→動画を見ながら細かくチェック!
基本アクション&3種類のゴブリンを紹介!!(4ページ目へ)
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