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2012年8月28日(火)

ソーシャルゲームは海外でどう受け止められているのか? グリー・メディア事業本部長が“gamescom”で語った、世界でのこれからの展開

文:電撃オンライン

 8月15日~19日にドイツ・ケルンにて開催されたゲームイベント“gamescom 2012”。このgamescomで行われたグリーのインタビューをお届けする。

 日本のみならず、海外市場でも新スタジオの設立やタイトル展開など、さまざまな動きを見せているグリー。gamescomの会場でも、多数のタイトルを出展して訪れた来場者の注目を集めていた。

 そこで今回、その会場でグリー 執行役員・吉田大成氏へのインタビューを実施。E3から続く海外への出展の手応えと、日本を含めたこれからの展開についてうかがってみた。

■海外でのソーシャルゲームの受け入れられ方に大きな壁はない

▲グリー株式会社 執行役員 メディア事業本部長 開発本部副本部長 吉田大成氏

――グリーは去年~今年にかけて、東京ゲームショウや、E3などの国内外の主要のゲームイベントに大規模な形で出展されていますが、まずはその意図からお聞かせください。

 去年の東京ゲームショウに関しては、ちょうど日本市場においてソーシャルゲームがスマートフォンにシフトしていくタイミングだったので、そういったことをお客様に認知してもらいたいと考え、出展することにしました。

 今年に入ってからは、海外展開タイトルや、日本以外の拠点で作っているゲームタイトルが出始めているので、そういったところをメディアの方々やデベロッパーの方々に見ていただきたいなと思い、E3、ChinaJoy、gamescomといった、主要な展示会に出展しています。

――時系列的な印象の違いもあると思いますが、それぞれの展示会に出展されたときの来場者の反応はいかがでしたか?

 海外に大規模な出展をするのはE3が初めてだったので、出展前はB2B(Business to Business/企業間での取引のこと)やデベロッパーがメインの展示会において、実際に集まってもらえるのか、どういう評価がもらえるのかなどが気になっていました。

 でも思った以上にスマートフォンというプラットフォームに対して好感触な他、「スマートフォンのネイティブアプリでもここまでのことができるんだ」と反応していただけたのが、E3だったと思います。

 一方、今回のgamescomについては、E3と比べるとタイトルに目新しさはありませんでしたが、メディアからの反応は大きかったですね。日本で伸びていて北米でも成功し始めているという情報が、徐々にヨーロッパの中でも広がっていて、それを受けて欧州でグリーが、今後どのようにやっていくのかというところにすごく興味を持たれていたようでした。僕らが想像しているよりも取材の件数が多かったり、問い合わせも多かったですね。

――欧州ではスマートフォンの普及率がかなり高く、据え置き機のゲームファンももちろんいる一方で、スマートフォンでアプリを楽しむ人も格段に増えている印象があります。

 去年、gamescomへ視察に来た時のB2Bのブースは、まだ家庭用ゲームの会社さんが非常に多かったですが、今回はスマートフォンのアプリを作っている会社さんが多くなっていますね。本当に、ここ1年間で大きく変わったなと感じます。特にアメリカとは少し違う点として、ヨーロッパでは社員数が10名~20名ぐらいのスタジオでゲーム開発をしている会社が多いこともあります。

 そういったところがスマートフォン向けのアプリをリリースし始めたのが、ここ1年の変化ですね。ここから先1年を考えると、今以上にそのような方向へシフトする可能性も十分あると思います。

――いわゆるソーシャルゲームは現状、世界でどのような感じでプレイされている印象ですか?

 ここ最近、タイトルのリリースとともにマーケティング活動やプロモーションを行い始めた際は、世界的にどういったものが受け入れられるのかという部分については、仮説ベースの展開でしかなかったんですが、結果として日本で受け入れられてきた『探検ドリランド』や『聖戦ケルベロス』のようなタイトルが北米でも受け入れられ、お客様も徐々に増えています。

▲GREEブース内での『探検ドリランド』。▲『探検ドリランド』

 欧州でもほぼ同じような形の利用状況になっていますね。日本から出てきたことに対してすごく大きな壁があったかというと、そういうこともなく受け入れられてきているかなと思います。

――やっぱり、簡単操作で直感的にプレイできるところが、国境を越えやすくしている部分かもしれないですね。

 そうですね。今年の初めぐらいまでは「日本のソーシャルゲームは受け入れられない」みたいな意見のほうが多かったのですが、結果が出始めたことで、ここ1~2カ月は積極的に世界に出ていくべき、といった流れに変わってきていると思います。

 海外からの評価としても、日本のゲームはゲームモデルやイベント性、プレイを盛り上げる秘策が優秀ということで、会場を訪れたデベロッパーの方々から、どうすればそういったものができるかという問い合わせをいただくこともありました。

――世界規模の展開ですと、コンシューマ機の場合はどうしてもバジェットの大きさが重要になってきますが、スマートフォンのアプリで世界的に受け入れられるには、やっぱりアイデアや打ち出し方が一番重要になってくる感じですか?

 そういう面もありますね。あとは家庭用ゲームと違ってダイレクトに販売がかけられることと、随時リアルタイムでアップデートできる点も大きいです。2~5年規模でゲームを開発するというよりは、初期のバジェットが少なくても半年ぐらいで作り込んだものを出し、利用状況を見て、お客様と一緒に進化していけるのが強みではないかと思います。

海外で課金についてどう思われているか→(2ページ目へ)

(C) GREE, Inc.

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