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2012年8月28日(火)

ソーシャルゲームは海外でどう受け止められているのか? グリー・メディア事業本部長が“gamescom”で語った、世界でのこれからの展開

文:電撃オンライン

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――海外だと日本以上に、オンラインで購入&すぐ遊べるということにアドバンテージがあるように感じられます。

 それはすごく大きいと思いますね。お客様側としては実際にショップに行って棚を見て買わなければならない、ゲームを作っている側としては、お客様に届けるためにショップの棚に並べてもらわなくてはならない、というところが、大きな壁として存在しているのは確かです。

 それがスマートフォンの普及により、誰もが24時間いつでもどこでもショッピングでき、すぐに遊ぶことができる。流通の仕方が大きく変わってきたなと思っています。

――課金についての受け入れられ方はいかがでしょうか?

 課金形式については、今海外で売り上げランキングに入っているタイトルは、ほぼFree to Playに移行しつつあり、日本との差はあまり感じられませんね。まずは無料で遊んでもらい、その中で価値あるものに対してお金を払ってもらうというほうが、今のスマートフォンのビジネスの主流になっている印象です。

――日本と欧米でプレイヤー層の違いというものは感じていますか?

 僕らもそれは気にしていたんですが、今のところはそこまで大きな差がないかなと思っています。現状は国ごとに平均年齢は異なるものの、男女問わずにプレイしてもらっているので、今後はゲームごとにもっとお客様の層を拡大できれば、日本と同じような形になるのではないでしょうか。

 ちなみに日本との違いとしておもしろいと思っていることは、日本では5分~7分単位ぐらいで1日に何回もログインして遊ぶ方が多いのですが、欧州とか北米の場合はログイン回数が1日3回くらいと少ないかわりに、プレイ時間が15分~20分ぐらいと長めな傾向にあります。それを踏まえ、海外で展開するタイトルのゲームバランスも、1回で長めに遊べるようにといったチューニングをかけていますね。

■世界中に拠点を立ち上げる意図、そして今後のタイトル展開は?

――アメリカやイギリスにスタジオを新設されていますが、そちらのスタジオではやっぱりその国のプレイヤー層にあったゲームを開発する形になりますか?

 基本、各スタジオから出していくものはグローバルに展開していきたいなとは思っていますが、絵のテイストや受け入れられるモチーフが国ごとに違うのも確かですね。ですから海外のスタジオに関してはなるべくそういうニーズに特化できるようにして、各マーケットでナンバーワンになれるタイトルを作っていきたいなと思っています。

――それが海外にスタジオを置く理由の1つでもあるのでしょうか。

 そうです。実際にそこで作っているメンバーが、その地域での遊ばれ方やお客様の状況を目で見ながら開発できるのが一番いいだろうと思っています。

――今回gamescomのブースを見させていただいたのですが、初出展でありながらも、ジャンル的にかなりバラエティに富んだ作品が多い印象を受けました。

 今回は、いろいろなゲームジャンルを出展していますね。今後はこれらのタイトルをリリースしつつ、お客様がどのようなゲームが好きなのか、どのようなテイストが受けられるのかをしっかり把握しながら、今後のことを考えていければと思っています。

――プロモーションの仕方は、各地域ごとに異なる戦略を考えているのでしょうか。

 国ごとに広告の主軸となるメディアが多少違っているので、そういったところは地域別に最適化できるようにしたいですね。日本の場合ならTV-CMが効果的ですが、海外ではそれが難しい場合もあります。どういったやり方でグリーの製品を紹介すれば、現地のお客様に見てもらえるのかは常に考えていくつもりです。

――ちなみに、今回gamescomに出展されたタイトルの中で、特に今回注力しているものがありましたらお聞かせください。

 1つは、『MONPLA SMASH』。このタイトルは日本でも展開していますが、それを今回ネイティブアプリとしてリニューアルしています。グリーが強みにしているカード系のバトル要素を入れつつ、デザインテイストを海外にあわせているので、海外のお客様にも受け入れられることを期待していますね。

 それ以外でいえば、カード系バトルだけでなく『Wacky Motors』といった8人対戦ができるレースゲームなども新しいジャンルとして同時進行で力を入れたいと思っています。あとはFPSやRPGのような、よりコアなゲームファンでも楽しんでもらえるものを現在開発していますね。

▲『MONPLA SMASH』▲『Wacky Motors』

――9月に開催される東京ゲームショウなど、日本では今後どういった形で展開する予定でいますか?

 日本に関しては、まず今運営しているタイトルについては、お客様とコミュニケーションをとりながら、どんどん新しく変えていきたいですね。また、先ほどお話ししたように、他のゲームジャンルにもチャレンジしていきたいと思っています。FPSもそうですし、レースゲームやシミュレーション型のゲームなど、幅広く準備をしているので、そういったものを東京ゲームショウではお見せできればと。

――今のコンソール市場は開発規模が大きくなっていますが、今後はさまざまなゲームをリリースしていくうえで、アプリ系のゲームの開発も同じように開発規模が肥大化していく可能性があると思いますか?

 タイトルによっては、そういったことでお客様に満足してもらうケースもあると思います。でも、すべてそうなるわけではなく、ゲームジャンルやモチーフに応じて、開発でお金をかける部分を変えていきたいと思っています。一方で、グリーの中で使っているライブラリやフレームワークのようなものを共通化していくことにより、アプリの開発コスト自体を下げたり、より短い期間で開発できるようにもしたいですね。

――そういった形でバリエーションを作っていくにあたって、各国のスタジオ同士の情報共有などはどのようになっているのでしょうか。

 これは弊社の強みでもあるのですが、グリーはその情報共有が活発で、開発中のすべてのゲームの内容について、どの拠点からでもアクセスできるようになっているんです。

――各国のスタジオから日本のタイトルに対するフィードバックも?

 できますね。今作っているタイトルは、常にグリー社内の環境でテストプレイができる状態になっていたり、企画書段階のものも見られたりするので、メンバーレベルでの拠点間のコミュニケーションも活発に行われています。

 「今作っているヨーロッパのゲーム、UIがすごくイイけど、どうやって作っているの?」などといった問い合わせが日本から行くこともあるので、拠点ごとに特化する部分とは別に、そういったコミュニケーションでノウハウも融合しながら、新しいことをやっていけるとおもしろいだろうと思います。

――通常ですと、拠点ごとに独立してしまうことが多い中、それは興味深いですね。いい作品のノウハウを共有化することで、各拠点の刺激になると。

 ゲーム開発者からするとすごくいい刺激ですね。韓国のオンラインゲームの開発ノウハウを学べたりとか、ヨーロッパのカジュアル系のゲームの作り方が学べたりとか、アメリカでの分析手法が学べたりとか……。開発スタッフにとっては魅力的な環境だと思います。

――では最後に、これから来年にかけて、グリーさんがどういった動きをしていくのか、ユーザーの方に向けたメッセージをお願いします。

 昨年から世界中に拠点が立ち上がり始め、自社でのゲーム開発はもちろん、現地のパートナーさんとの開発も進めてきました。そこで作られたものを年末に向けていくつかリリースしていくので、幅広いジャンルやモチーフのゲームを、日本を含めて北米や欧州のお客様に提供できると思います。また、スマートフォンでの新しいゲームのあり方を見せられればいいなと考えているので、ぜひ期待していてください。

(C) GREE, Inc.

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