2012年11月21日(水)
――前作から約2年半ぶりということになりますが、そのブランクによる苦労などはありましたか?
小西:ケンシロウを演じることは前作の収録以降ありませんでしたので、少し不安はありました。けっこう間も空いていましたし。収録スタジオに入った時は、ケンシロウが自分の中に降りてくるか不安だったんですが、収録現場ではムービーパートの映像を見ながら演じられたので、わりとスッと取り戻せました。ですので、「あたたた」以外は、ものすごく苦労したということはなかったですね。収録中、スタッフの方に「いやぁ~、楽しいっすね」って言っちゃうほど、自分自身も楽しみながら収録させていただきました。
鯉沼:今回、ケンシロウはけっこうしゃべりますからね。原作でもそうですが、状況説明を彼がしてくれるので。本作では見せるイベントとマンガ的な読むイベントを用意していまして、そちらの説明セリフもお願いしているんです。なので小西さん分は3日に分けて収録させていただきました。「あんまりやりすぎると、うちの声優が壊れますんで」と声優事務所さんから怒られながら(笑)。
小西:収録を終えた後に、別の仕事があったんですが、収録現場に行ったら担当の人に『真・北斗無双』の収録で頑張った後だから、あんまり無茶をさせないでって気を使われました(笑)。
――収録に3日かかったということですが、お仕事的にはハードな部類だったのでしょうか?
小西:どうなんでしょうね(笑)。ケンシロウのセリフは叫ぶというよりは、腹の底で怒っているというのかな。彼ってずっと哀しんでいるんですよね。だから普通に怒鳴るよりは、哀しみがあって怒りがあふれるみたいな感じで演じました。だから、あまり「わーっ」と声を荒げて怒鳴るような場面はなかったので、そういう意味では大変ではなかったですね。
――今回『真・北斗無双』は、ラオウ編からさらにボリュームアップして、天帝編、修羅の国編も加わりました。セリフ数も相当多かったのでは?
小西:そうですね。収録はムービーパート、シナリオのパート、それからゲーム内の掛け声と3つに分けていただきました。
――前作の収録時は鯉沼さんが成熟したケンシロウでというお願をされたようですが、今回はいかがだったのでしょうか?
鯉沼:基本的に前作と同じテイストで、ということをお願いしました。
――ラオウ編から天帝編に物語が移る時、かなりの年月が経ちますが、演技が変わるということはなかったと?
小西:そうですね。ただ時代が進むに従って、ケンシロウがどんどん感情的になっているような気はちょっとしました。演じてわかったんですが、修羅の国編ではケンシロウはけっこうしゃべるんですよ。修羅の国の人はあまりしゃべらないですから、余計に感じるのかもしれませんが。ラオウ編までは、感情をシャットアウトしていたのかなって。その後にリンがさらわれて、修羅の国に行くあたりから、ちょっとずつ心を覆っていた鎧が取れてきたのかなって感じがしましたね。
鯉沼:ユリアと過ごした後ですので、多少感情が豊かになったという感じはしますよね。
――密度が濃い形で原作を追体験できるというのは、ユーザーにとってもうれしいですよね。
小西:濃いですよ、進まないっす(笑)。ちょっとプレイしましたが、それくらいではシンにすら会えませんでしたから(笑)。ラオウ編のエピソードだけでもかなり遊びごたえがあると思います。
鯉沼:意外ですが、天帝編や修羅の国編は、今までほとんどゲーム化されていないんですよね。原作ファンのお話を聞いてみますと、後半のエピソードが好きという人もかなりいるのに。そういう意味でも『真・北斗無双』は、かなり幅広い『北斗の拳』ファンの方々にお応えできる作品になっていると思っています。
小西:ファルコがカッコイイですよね。強くて爽快でしたね。東京ゲームショウバージョンを触らせていただきましたが、ハンパないっすね。丸太みたいな太くてたくましい腕をしたキャラですし(笑)。
――お二人にお伺いしますが、『北斗の拳』でお気に入りのシーンや好きなセリフはなんですか?
鯉沼:サウザーの最後のシーンとも言える、オウガイのもとに行くシーンはどうしても入れたかったシーンの1つですね。ちゃんとオウガイのモデルもしっかりと作ったんですよ。そのシーンでしか登場しませんが(笑)。とにかく、お師さんに抱かれて死んでいくサウザーというのをどうしてもやりたくて。あそこだけは現場から反対があろうとも、これだけは前回やり残したことなのでやらせてくれとお願いしたシーンでもあったので、印象は一番深いですね。ちゃんと聖帝十字陵も崩れて、それを見届けたトキとラオウが別れていくというところまでしっかりやっているので。元々あのシーンが好きでしたので、ぜひ期待していてください。
小西:メチャクチャ演出が細かいですよね。ちなみにさっきもプレイしていたんですが、ザコがお金をばらまくシーンがありましたけれど、あのお札って昔の1万円札じゃないですか? こういったところまで凝るなんて細かいなぁと(笑)。
鯉沼:一応、通貨はジュドルなんで。1万円札に見えますが、違うんですよ(笑)。
――原作の再現度も凄まじいですよね。コマ割り風なビジュアルでイベントが進行したり、原作を読んでいた人にとってはそういう部分も期待できるのではないでしょうか。
鯉沼:あまりやりすぎると「マンガを読めばいいじゃないか?」と言われてしまいますからね。あくまでもゲームとしてテンポよく、それでいてなるべく原作に近い形で制作しています。ゲームをプレイして、もっと詳しく知りたくなったら原作を読んでいただく、といった架け橋の関係になれればいいなと思っています。
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