2013年1月24日(木)
――本作の難易度はこれまでのエクスペリエンスのダンジョンRPGと比べて、どのあたりに位置するのでしょうか?
安宅:本作は、ダンジョンRPGを初めて触る人に遊びやすいような調整をしているんですね。ただ、難易度自体はうちの他のタイトルと比べて、簡単過ぎるというわけではないですよ。
千頭:親切さやわかりやすさといった面では、従来のタイトルよりもはるかに改善されていると思います。
安宅:感覚的には『円卓の生徒』と『迷宮クロスブラッド』の中間になりますね。
千頭:個人的にはかなり簡単かなと思ったのですが、どうも他の人に感想を伺うと、それほど簡単ではないといった感じでした。
▲戦闘時、△ボタンを押すことで直前の行動をリピートさせることができる。ただし、注意しないと魔法を使いすぎてMPがすっからかん、なんてことも。 |
――最初はすごく簡単になっているなと思ったのですが、グリモダール城にたどり着いてから、難易度が急上昇したような印象は受けましたね。
千頭:開発中のグリモダール城は、製品版よりもはるかに凶悪でしたよ(笑)。
安宅:そう感じられるのも当然なように、グリモダール城から難易度が結構上がるようにデザインしています。でも、千頭が言ったように最初は「これ無理じゃない?」と思いました。
千頭:城に入って最初の戦闘でパーティメンバーが確実に3人死んでしまうようなバランスでしたね。
安宅:パーティメンバーによって、戦闘の難易度はもちろん変わってくるのですが、構成で難易度があまりにも上がってしまうのは、やはり避けたいところでした。そのあたりも自由に遊んでもらいたかったので。
千頭:もしかしたら今回新たにダンジョンRPGを遊んでいただく方の中には、ちょっと難しいと感じる方もいるかもしれませんね。
安宅:または、meganeさんのようにダンジョンRPGを遊び慣れている方には、いつもと比べてぬるく感じることもあるかなと思ったので、難易度を自由に変えられるようにしたというわけです。
――ちなみにこの難易度変更によるメリットとデメリットを教えてもらえますか?
千頭:難易度を変えることによる変化ですが、難易度を高くするともちろん敵が強くなって家賃が上がり、そして手に入るアイテムがよくなります。逆に難易度を低くすると敵が弱くなって家賃が下がるかわりに、いいアイテムが手に入りにくくなる。これがそもそものメリット、デメリットですね。
安宅:例えば、通常のレベル上げ時には一番高い難易度の“まるこげ”にして経験値稼ぎといいアイテムを入手しつつ、ボスに近づいたら通常の難易度に戻す。そんな遊び方も可能ですね。
――途中で難易度を変更した際のデメリットはありますか? 難易度“ぬるい”にすると最後までたどり着けないとか……
千頭:いえ、難易度を低くすることによるそういったデメリットはありませんので、プレイヤーの一番楽しいと思える難易度で遊んでいただければと思います。
――本作ではBGMの随所にボーカロイドによる音声が入っていますが、その狙いを教えてください。
▲今回採用したボーカロイド『IA(イア) -ARIA ON THE PLANETES-』。 |
安宅:本作の作曲を担当している神保さんは、これまでのうちのタイトルを長く担当していただいているんですね。ここ10年くらいずっとお願いしているのですが、少し内部的にマンネリに感じていたところがあったんです。そこでちょっと挑戦的なことをしたい、というのがまず最初の段階ですね。
そして、『デモンゲイズ』という作品は、吟遊詩人が語り継ぐ叙事詩といったテーマがありましたので、歌を導入するのはどうかというのが、出発点となります。これまでのタイトルでも声をコーラスとして入れることはありましたが、すべての楽曲にスタジオで録った声を入れるのは大変ですので、ボーカロイドを使ってみようということになりました。
――ボーカロイドが入ることで、これまでの曲ともちょっと違った印象を受けました。
安宅:楽曲に対しても、先ほどイラストで行ったような数値化を行うんですよ。そこで他の作品と『デモンゲイズ』が被らない場所を探っていって、その中で親しみやすくて、ちょっと挑戦的にできる場所を突き止めたらこうなった、という感じですね。
でも、さすがに神保さんにボーカロイドをやりましょうと言った時は戸惑っていましたね。「えっ?」って言われて、こちらも「えっ」って返してしまったりして。
千頭:実際に聞いてもらった結果がどう転ぶかはドキドキしますね。
安宅:そうですね、ボーカロイドそのものが賛否両論ではあると思います。ただ、完璧ではないにしろ、親しみやすさを表現することには成功していると思います。
千頭:社内ではすっごく意見が分かれていたんですよ。自分はどちらかというと反対派でした。自分がボーカロイドの曲を普段聴かないというのもありますが、音楽の評価が高かった『円卓の生徒』からの流れとして来ている本作で、評価が落ちてしまうのが怖かったという部分もあります。また、あまり聞いてないということで、プロデューサーとして判断ができないという側面もありました。
安宅:あれはゴールデンウィークのあたりでしたかね、休日でしたが千頭に曲について、どういうテーマでどこを狙って作るんだ、といったようなプレゼンを行いました。
――デモンとの戦いに流れる曲などは印象的ですよね。ロック調でこれまでの神保さんとはちょっと違う。
安宅:あの曲は神保さんに「どうしても」とお願いをして作ってもらった曲ですね。どちらかというと神保さんは『円卓の生徒』のようなクラシカルな曲を作る方なんですが、こちらからボーカロイドの使い方などのイメージをお伝えして作ってもらいました。ただ、神保さんはやはりすごいんですよ。しっかりと伝えるとまったくブレないものを作ってくれる。
▲暴走時のデモンと戦う時に流れる戦闘曲は、これまでの神保さんの曲調とは異なる非常にロックなものとなっている。 |
――ボーカロイドはただ声を出すだけではなくて、調整なども難しそうですが、神保さんにはもともと経験があったのでしょうか?
安宅:いえ、これが初のはずですね。ボーカロイドの提案をした打ち合わせの帰りにソフトを買いに行って、そこから研究をしてもらった感じです。
――ちなみにBGMはサウンドトラックCDなどで出される予定はありますか?
千頭:残念ながら現状では予定はないですね。需要があればというところで……。
――個人的に非常に欲しいんですが、配信という形でもあると嬉しいなあと。
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