News

2013年2月5日(火)

新規ルートは物語を根底からくつがえす展開に――『リベリオンズ』シナリオライター・月島総記さんにインタビュー!

文:ごえモン

■後半に行くにつれ加速するジェットコースターデスゲームを意識

――新規ルート・Episode Cについて、ネタバレにならない範囲で見どころを教えてください。

 むむ……それではネタバレにならない程度に、見どころをキーワードの形で列挙してみましょう。

 “修平浮気する”、“琴美所帯じみる”、“悠奈デレる”、“真島大反省”、“黒河ご乱心”、“大祐ワンマンライブ”、“瞳うどんをすする”、“充ちやほやされる”、“スーパードクターはるな”、“トリガーハッピーまり子”、“初音の釣りバカ日誌”、“結衣大激怒”、“玲卍解する”、“司の暗い趣味”。という感じで14人がそれぞれ、意外な一面を見せてくれます(※なお一部誇張・曲解が含まれております)。

『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』 『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』

――……いろいろとおもしろいキーワードが出てきましたね(笑)。

 ……すみません、ちょっとふざけ過ぎたので真面目にお答えします。原作プレイ済みの方じゃないと、何がなんだかさっぱりでしょうし。

 Episode Cは、ただのデスゲームものではないものを目指して作りました。他のルートにはない、物語を根底からくつがえす展開を用意しています。ヒントは14人のプレイヤーたちに与えられたルールの中の、ある“文言”。原作に残された疑問と、その答えの向こうにある真実……これがEpisode Cの鍵になります。

 それにより、既存のルートでは表現しきれなかったドラマ性を実現しようと目論見ました。この辺りも含め、皆様に楽しんでいただければ幸いです。

――Episode Cを読んだ時に「そういえば、こういう話は今までなかった」、「あってもおかしくない話だ」と思いましたよ。これは当初からああいった構想だったのでしょうか? それとも、ボツアイデアがあったりするのでしょうか?

 はい、ボツアイデアは大量にありました。今回はまず最初に原作スタッフの方々から、さまざまな“新規ルート案”というメモをいただき、それを基にたくさんの簡易プロットを用意しました。この仕事が始まった当初は、僕はまだ『ルートダブル』の仕事が終わりきっていなかったので、日向とトラが中心となり、それらの簡易プロットを作ってくれました。

 後に僕が本格的に参加してからは、それらのプロットの中で特におもしろいと思われるアイデアを寄り抜き、3人でEpisode B以降の物語を構築していきました。Episode Bは日向とトラのアイディアのおかげでスムーズにいったのですが、Episode Cはなかなか決まらず、苦労しました。そうして議論を重ねているうち、突発的に生まれたのが、現状のCのプロットです。Episode AともBともかぶらない展開にするにはどうすべきかと何日も考えているうちに、ある日突然アイデアが降ってきました。

――Episode Cはチーム月島のアイデアだったんですね。それを見た時の中澤さんの反応はいかがでした?

 やや奇抜なアイデアだったので、中澤監督にご意見を求めたところ、「それはおもしろい、ぜひやりましょう!」というお墨付きをいただいたので、採用させていただきました。苦労も多かったですが、おかげでかなり予測不能なストーリーになったと思います。

――「予測不能なストーリーになった」とおっしゃる通り、『リベリオンズ』は『CODE:Revise』からかなり変更が加えられていますよね。その辺りの“原作がある”という観点から、執筆するうえで注意した点や心がけたことはありますか?

 まず何よりも意識したのは、“原作を蔑ろにしない”という点です。原作の魅力をスポイルすることなく、与えられた素材を最大限に生かすことを常に心がけていました。

――それは、例えばどのような点でしょう?

 物語上の都合でキャラの性格を変えたり、不自然な振る舞いをさせたりしたら、原作ファンの方々は冷めてしまうでしょう。そんなファンの方々も、原作スタッフの方々も裏切ることなく、それでいて「こんな『CODE:Revise』が見たかった!」と思っていただけるような作品作りを目指しました。

 なので前回のインタビューの中で、原作プロデューサーの寺月さんが「そうそう、これがやりたかったんだよ!」と仰ってくださっていたのを見た時は、かなりうれしかったですね(笑)。

『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』 『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』

――すべてのルートを通して、なんの違和感もなく楽しめましたよ。原作を尊重しつつバージョンアップしようという気持ちが伝わりました。それでは、さきほどの質問とは別に、1本のゲームシナリオとして注意した点、意識した点はありますか?

 小難しいことは考えずに、とにかくストレートにおもしろさが伝わる物語にしたいというのが、シナリオチームと監督の共通の望みでした。また前作『ルートダブル』での反省点はいろいろとあるのですが、それらをできるだけ解消したくもありました。

 そのためにまず文章や物語のテンポを、より向上させることを意識しました。“後半に行くにつれ加速する、ジェットコースターデスゲーム”というのが、私たちの目指したものです。ただし展開が速いだけではなく、読み終えた後にしっかりと心に残る作品にしようということも意識しました。うまくできていれば幸いです。

――これまでのお話の中で、チーム月島の3人でアイデアを……と伺いましたが、どのような作業分担で執筆されているのでしょう。

 ではまず2人についてご紹介させていただきます。

 月島トラは私のデビュー前から、一緒に作品作りをしてきたライターです。私の作品のほとんどは、彼とアイデアを出し合いながら作ってきました。コメディや学園青春ものなど、軽めの作品を得意としており、私の苦手な要素を補ってくれています。また発想力に優れており、皆が思いつかないような奇抜なアイデアを次々と出してくれます。

 日向もやしは私に小説の書き方を教えてくれた師匠のような男で、私がライターになったのは彼の影響が大きいです。きっちりと理詰めで話を作るのを得意としており、何かプロット上の問題点が出た時などは、たちどころに解決策を出してくれます。『ルートダブル』や『リベリオンズ』など、複雑な構成の作品を作る時は、特に頼りになる男です。

 うちのチームはいつもこの3人で、議論を重ねてアイデアを出し合い、物語を作っております。実際にプロットを書くのは主に私の役目なので、皆の意見を取捨選択し、たくさんのアイデアを盛り込みながら1本筋の通った物語に仕上げていきます。

 そしてプロットができ上がったら、3人にそれぞれ得意なシーンを割り振り、共同でシナリオを執筆していきます。一応私がリーダーを務めているのですが、上下関係は希薄です。私の書いたシーンでも、つまらなければトラと日向から容赦ないダメ出しが入りますし、逆もまた然りです。

 そんな風に3人が互いに切磋琢磨しつつ、緊密に連携することで、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう努力しております。

→「チーム月島が担当した作品はどれもおもしろい」と評価してもらうように

(C)FLAT/イエティ/Regista

データ

関連サイト