2013年1月30日(水)
――バトルはもちろん、フィールドのグラフィックもガラリと変わりました。その点で見せ方を工夫したり、苦労されたところはありますか?
眞島:フィールドは、そもそもの大きな変更点として、エンカウントがシンボル式になりました。それによってモンスターが目に見えるというのはもちろん、キャラクターも含めて3Dで立体になっています。今までのユーザーの視点を“空撮”とするのなら、本作のカメラはほぼ正面から見る形で調整しました。
空撮で見ている分には、歩いているキャラクターが多少カクカク動いていても気にならないんですが、視点が変わるとなめらかに動かしたくなりますし、スケール感としておもしろく見えるようにしたくなるんですよね。
それはキャラクターだけではなく、フィールドやダンジョンの構造も同様です。今回の視点に一番合った見せ方するために、ひたすら調整をしていきました。
▲立体的な演出を生かしたギミックも満載! この画面写真のように、どこが上だかわからない、ユニークな場所も存在する。 |
――PS版は3Dを生かした視覚的な演出やギミックが特徴の1つでしたが、それを3DSで作るというところでやりやすかったり、逆に難しかったりした部分はありますか?
眞島:元々3DCGで作っていたので、立体で見せた時のおもしろさという部分はけっこう意識していました。ただ今回は3D立体視になるので、そうなると奥行き感や立体感を楽しんでもらいたいという感覚が生まれましたね。
とはいえ、奥行きの演出は結構難しい部分があります。奥行きを演出するために10秒以上もえんえんと歩かせるとしたら、それは本末転倒じゃないですか。
ユーザーになんのメリットもありませんし、単純に距離を長くすれば遠近感は出るかもしれませんけど、ゲームの本質ってそういうことではないと思います。そこで、どうすれば3D表現をストレスなく楽しんでもらえるのかと、最初の段階でカメラのチューニングを頑張りました。
藤本:かなり話し合いましたね。それでも、最後の最後まで微調整はしました。
眞島:どうしても、個人差もありますからね。我々が「これがいい」と提出して、藤本さんから「もうちょっと、こうがいい」と言われることの繰り返しです。広角にするか、もっとズームして寄った感じにするか……。やっとのことで調整を終えて堀井さんに見てもらったら、「こんな感じはどう?」なんて意見が出てきたり(笑)。
石版の台座も、元々は神殿にある部屋の中に台座が置いてある構成だったんですが、3DS版では舞台の奈落のように、かなり下がった場所にまとめて設置する形にしました。細かい部分なんですけど、あまりに立体的なものを再現すると、逆に普通にプレイする際の視点では見にくくなってしまうことも多々あります。ただ、結果的に、「ここは底なしに深いんじゃないか?」と感じられるような、うまい見せ方になったと思います。
――3D演出にもかなり力が入っているようで、本当に楽しみです!
眞島:バトルの3D演出もすごいので、ぜひご期待ください。ただ、携帯機になって手軽にプレイができるようになったとはいえ、やはり『ドラゴンクエストVII』は大ボリュームです。ですから、過剰に3Dを強調するとユーザーの目を酷使させてしまうことになってしまうので、その部分は気をつけました。
かと言って、じゃあ3D機能を切ればいいと言うのも意味がないじゃないですか。なので“長時間プレイする”ということを想定した時に、目の負担にならないように楽しんでいただけるように相当気をつけましたね。特にバトルのエフェクトは、やろうと思うとものすごく立体的に見せることができます。3D演出はデータで再現するものですから、実際にはありえない、とんでもないレベルの立体演出もできるんです。でも、人間って実際にありえない立体を見続けていると、目や頭がめちゃくちゃ疲れてしまうので、加減が必要なんですよ。
杉村:長時間プレイする部分はバランスよくしつつ、ストーリー的に重要なところでは思いっきり3Dを使って見せています。きっとプレイ中に「おお!」と驚いていただけると思います。自分はあるシーンで、思わず首を振って、飛んできたものをよけようとしちゃいました(笑)。
――楽しみな反面、3D酔いの心配もあるのですが……。
眞島:僕自身が3D酔いしやすいタイプなんですが、そういう人間が平気で繰り返しプレイしているので特別酔いやすいという問題はないと思います。
杉村:具体的には、カメラワークとカメラの揺れの問題が大きいので、その部分をしっかりと調整しました。フィールドではお好みにあわせて2パターンのカメラを選べるようになっています。
眞島:ちなみに今回の開発を経て、ゲーム機の画面の枠が大切だということがわかりました。絵画の額縁みたいなもので、3DS本体の画面の枠よりも飛び出して見える状況が続くと、すごく疲れるんですよ。3Dの奥行きを表現する際は、画面の枠も含めて考えないと成立しないと思い、それを含めて調整を繰り返しました。
杉村:それから、『ドラゴンクエスト』シリーズの特徴として、メニューを開くと画面が切り替わるのではなく、ウィンドウがどんどん重なっていきますよね。そのウィンドウと3Dの距離にもこだわり、プレイしやすくなるようにしています。
▲しっかりと立体的に表現されたダンジョンやフィールド。かなり遊びやすいカメラワークになっているとのこと。 |
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※画面はすべて開発中のもの。実際の商品とは異なる場合がある。
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