2013年2月13日(水)
――本作は、ミスター・マグナムというしゃべる銃が主人公として登場しますが、どうして彼を主人公にしようと思ったんですか?
『ナイトライダー』がきっかけなんですよ。
――『ナイトライダー』には人工知能の“K.I.T.T.(キット)”を積んだナイト2000という車が登場しますよね。
ええ。K.I.T.T.は結構従順な性格なんですよね。サポートに徹している。これをまったく違う性格にしたらどうかな、と思って横暴な司令官のような性格にしたんです。でも、案外普通と言いますか、ただヒロインがカワイイだけなんですよ。ですのでヒロインを思いっきりアホで無能にしました。そうすれば、ミスターの苦労を読者に共感してもらえるんじゃないかなと考えたんです。
――序章では“アホで無能”なアリスとは違うアリスが登場しますよね。これは最初からこういう構成だったんですか?
そこはかなり書き直してはいます。でも、構成としてはほぼそのまま通した形になりますね。
――アリスが素人に毛が生えた程度の腕前なのにものすごい動きをしたりする、その片鱗というか理由が垣間見えるくだりだと思いました。
序章は、そういうところを狙っています。それに、後の“アホで無能”なアリスとのギャップもおもしろいところだと思います。昔のアリスを返してくれ、といったミスターの気持ちがわかってもらえるのではないかと(笑)。
――確かにアリスは相当アホですからね……。ちなみにお気に入りのシーンはどこですか?
ラストがジーンときますね。って、自分で書いているんですけど(笑)。実は、執筆している最中にも泣いている時があるんですよ。他の人が見たら引いてしまうかもしれませんが。
―― 一番時間をかけたのもラストですか?
時間がかかったのはクライマックスからラストまでですね。どうあがいてもそこだけは力を抜けない部分で、こちらも集中しないと読んでくれる人の集中が途切れちゃうので、特にミスできないんですよ。もちろん他はミスしていいという意味ではありませんよ。
――お気に入りのキャラクターは誰ですか?
第1巻については、敵キャラのゾォードが結構気に入ってるんですよ。
――メインキャラクターでは誰がお気に入りですか?
メインだと、アリスは頑張って作りました。本作は、1回失敗してしまって普通の西部劇になっちゃった経緯があって……。その時は、宗教問題が絡んできて、西部劇ではなくファンタジーに寄ってしまったんですよ。
それもあって、アリスはアホにしました。そうしたことで、ミスターが主導権を握ってテーマを決められて、旅ができるようになりました。戦闘もアリスが考えるのではなくミスターが主導権を持っている。その形に落ち着くまでに迷走しました。
――アホであるがゆえなのか、アリスはたまにミスターの言うことを聞かなかったりしますよね。
ええ。そこで方向転換を強いられて、よけい始末に負えない事態になっていきました(笑)。
→あの“パンツをはいてない”キャラについても聞いてみた!(3ページ目へ)
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イラスト:蒲焼鰻
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