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2013年5月27日(月)

『バイオショック インフィニット』はいろんな人に遊んでほしい名作! 本作を遊んだ編集&ライターによる座談会【後編】

文:イトヤン

 こんにちは。洋ゲー大好きライターのイトヤンです。前回に引き続き、これまで『バイオショック インフィニット』の記事を担当してきた電撃2Kの担当編集者とライターによる、座談会をお届けします。

 今回はゲームをクリアした人間の感想も含めて、かなり深いところまで語り合っていますが、決定的な部分のネタバレは避けているので、その点はご安心を。ですので、本作をまだプレイしていない人も、すでにクリアしたという人も、ぜひ読んでみてください! 

『バイオショック インフィニット』

■天空都市コロンビアの住人たちは、正常なところが逆に怖い!?■

イトヤン:『バイオショック インフィニット』は、天空都市のコロンビアが舞台ということで、以前の『バイオショック』とはビジュアルの雰囲気がずいぶん変わりましたよね。そのあたりの印象って、どうでしょう?

ゴロー:コロンビアの風景はメチャクチャ綺麗ですよね。

てけおん:以前の2作はラプチャーという海底都市が舞台で、暗い廃墟の中をひたすら探索してたわけじゃないですか。ところが今回は、空中に浮かんでいて光が降り注ぐ明るい都市っていう、真逆のビジュアルになっているのがスゴイですよね。

チョロ松:確かに雰囲気は真逆なんだけど、実はプレイヤーが置かれてる環境は、以前と同じなんだよね。自分の力だけでは、この場所から絶対に逃げ出すことができないっていう意味で。

ゴロー:コロンビアの屋外は明るいんだけど、建物の中に入ると、以前の海底都市みたいに薄暗い場所もあったりして、やっぱりどこかで雰囲気はつながってるんですよ。

イトヤン:シャンティタウンのスラム街なんかは、ある意味、ラプチャーとも相通じる雰囲気でしたよね。そういう社会の表と裏の両方を描くっていう姿勢は、すごく興味深かったですね。

『バイオショック インフィニット』
▲太陽の光にあふれ、美しい街並みが広がっている天空都市コロンビア。『バイオショック』1作目や2作目の舞台である海底都市ラプチャーとは対称的な光景ですが、その背後に潜んでいる“狂気”という面では、どこか共通するものがあります。

てけおん:一番スゴイなぁと思ったのは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、実際のアメリカで存在していた人種差別の問題を、かなりストレートに表現してるところでしたね。日本だとやっぱり、ゲームの中でそういう問題を描くっていうことを、タブー視しちゃうじゃないですか。それを堂々とやってるのは、ホントにスゴイなぁと思いましたね。

ゴロー:ホントにさりげない、街の親子の会話とかでも、よく聞くとすごく人種差別的な内容で、過激だなぁって思いましたよ。

イトヤン:アメリカだと、血が出るゲームは大人が遊ぶものだっていう意識が強いから、そうした社会的な問題でも、あまりボカさずに正面から表現しますよね。『GTA』シリーズなんかは、そうした面を避けるとゲームとして成り立たないぐらいだし。とはいえ、このゲームでは人種差別とか宗教的価値観とか、現実のアメリカ社会でもかなり微妙な問題に対して鋭く切り込んでるので、特に大胆だなぁとは思いますけど。

てけおん:『バイオショック』の1作目や2作目の舞台になってるラプチャーって、プレイヤーが訪れた時点ではすでに荒廃していて、その意味では不気味で当然っていうところもあるじゃないですか。でもコロンビアはすごく繁栄してる社会なのに、やっぱり不気味だっていうのが面白いですよね。

チョロ松:ラプチャーの住人って、基本的にぶっ壊れた人たちですよね。なんか、意味のわからないことをずっと言ってる怖さというか。でもコロンビアの住人はごく普通な人たちで、普通に接してる時はすごくイイ人だったりするのが、逆に怖いですよね。

イトヤン:コロンビアの人たちは、人種差別だったり過酷な労働条件だったりっていうこの世界の常識を、すべて正しいって信じているんですよね。彼らにとっては当たり前のこと、正しいことだっていう考え方が、実は一番怖い。もちろん、その一方ではコロンビアの常識に属さない、ヴォックス・ポピュライの人たちもいるんですけど。

ゴロー:ヴォックス・ポピュライっていうと、あの革命家の人たちですね。

チョロ松:でも、カムストックたちが悪で、労働者のために戦うヴォックス・ポピュライが善なのかというと、決してそんなことはない。むしろ、どっちもどっちっていう描き方になってる。

てけおん:結局はどちらも、自分が有利になる立場を主張してるだけですもんね。

イトヤン:そこらへんは、非常にオトナな描き方ですよね。

『バイオショック インフィニット』
▲人種差別や宗教による価値観など、現実の世界でも取り扱いの難しい問題に対して、真正面から挑んでいるのも『バイオショック インフィニット』の特徴です。でも本作は、そうした社会問題に取り組むことだけがテーマではありません。これらの問題はあくまで、主人公ブッカーとエリザベス、そして預言者カムストックといった人々のドラマを描くための背景なのです。

イトヤン:『バイオショック インフィニット』には、3種類のDLCが入手できるシーズンパスが告知されてますけど、実は海外でもまだ、どういった内容のDLCがリリースされるのかという情報がないんですよ。プレイヤーの立場から見て、いったいどんな内容だったらうれしいですか? 

ゴロー:ただ単に武器やギアを追加するだけではなさそうだし、かといって本作にはマルチプレイがないから、対戦モードやマップの追加ってわけでもないんだよね? 

チョロ松:武器やギアの追加は、シーズンパス自体の特典として用意されていますから、それ以外の何かでしょうね。後日談的なストーリーとか? 

イトヤン:うーん。エンディングを見た人間から言わせてもらえば、正直言って、ブッカーとエリザベスの物語をこれ以上広げるというのは、難しいと思うんですよね。

てけおん:だとすると、ヴォックス・ポピュライの人たちとか、カムストック側の人たちを主役にした、サイドストーリーですかねえ。あの街って、もっと他の勢力がいてもいいんじゃないかと思うんだよね。

チョロ松:コロンビアっていう、すごく魅力的な舞台が用意されているので、それをより深く掘り下げるような内容のDLCを期待したいですね。

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